第14話

「駅の近くならまだ開いてるところあるかも」


タオルケットと、持ってきたスーツのジャケットを被せて寒空の下へと駆け出した。


残業終わりのOLや飲み帰りのサラリーマン、コンビニ前でたむろする不良達がちらほらといる。


駅前の少し大きな薬局は、24時間営業と大きな看板を掲げていた。


「らっしゃーせー」


金髪を適当にまとめた髪を弄りながら、眠そうに欠伸をする店員を横目に、赤ちゃんコーナーへと急ぐ。


「粉ミルクってこんなに種類あるんだ」


キューブ型にスティックタイプ。


横には、まだこの子には早い離乳食がズラリと並んでいた。


「鳥雑炊、カレー、中華丼、グラタン、おこわ……美味しそう」


オムツも何を選べば良いのか分からず、右往左往していた。


腕にかけたカゴはいまだに空で、商品を手に取っては戻すの繰り返しだった。


抱っこしている腕が痺れだした。限界かもしれない。


「お客さん、なんか困り中?」


「え?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る