第13話

「うぅ、あー」


やっと帰ってくれた。


今日は人生最大の厄日なのかもしれない。


玄関の鍵を閉めようとすると、私が履いてきた靴は無惨にも潰されていた。


あれだけゾロゾロとこんな狭い玄関に入られたら仕方ないけどさ…もうちょっと気を遣ってくれても…


いや、裏の世界の住人に常識なんて求めても意味が無い。


早々に気持ちを切り替えて、手足をバタつかせる赤ちゃんの元へと向かう。


「どうしよう」


妹?本当に妹なの?誕生日は?出生届は出してあるんだろうか。


なんの確証も得られないこの子は、今の私にとって見知らぬ子に過ぎない。


「んん、ふぇ」


「え?ちょっと待ってね、お腹空いた?おむつは…」


ぐっしょりと濡れている。


鼻をツンとする匂いはおそらくあれ・・もしてるかもしれない。


「とりあえず、ミルクとオムツ買わなきゃ。お留守番…なんてできるわけないよね」


こんな時間に開いてる店なんてあるんだろうか。


スマホが無いから調べようがない。

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