第7話

「っ…どなたですか?」


「若葉亜由子と若葉士郎は?」


唐突に言われた名前に、私は目を見開く。


なんで両親の名前を知ってるんだろうか。


「いません……」


「お前、若葉詩由わかばちゆだな。娘の」


個人情報が知らない男達に筒抜けだ。


うちの両親がとんでもない人達と関わっているという事実だけが物語っている。


「お前の親が借金して金返してくれねーんだよ。どうしてくれんの?」


「借金…?」


「しらばっくれてんのか。5000万、今返せ」


「5、5000万?」


縁もゆかりも無い金額に、手の震えがおさまらなかった。


残された僅かな理性をなんとか保ちつつも、動揺を隠せない瞳を覗き込んで男はフッと笑った。


「無知は罪だな。てめーの親の事ぐらい把握しとけ。他にも組の下っ端共に小遣い程度借りてたみたいだから、それも回収するように若に言われてんだよ」

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