第5話
「着いた」
ギシギシと音の鳴る古い階段を上がって、ドアノブに手をかけると僅かに隙間がある。
「あれ?鍵開いてる…」
玄関に入ると、電気もつかず真っ暗だった。
古い和室のアパートはボロボロで、隙間風が入り込む。
「お父さん、お母さん?」
とりあえず名前を呼んではみるが、当たり前に返事はなかった。
部屋に入っても外と変わらない気温に腕をさすりながら、お湯をためた。
「……」
静かすぎる。
無音の空間に耐えきれず、テレビのリモコンをを手に取りボタンを押した。
棒読みのニュース番組は面白みが無くて、適当にチャンネルを次から次に変えていった。
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