2-2
ライアーSide
なるほど。表情では分かりませんが、今日とくに楽しそうにしている理由はこれですか...
私たちの目の前には、赤いコートを纏い白面をつけた男が立っている。
顔も見てもいないのにどうして男だとわかるのか。それは、私たちがこの人物を知っているから。
「おや、誰かと思えば。闇鬼ですね?」
「......知っているのか」
「えぇ、日本では有名だと。聞いたばかりですが」
「...そうか」
しばらく無言が続く。
「お前たちは何者だ」
「何者とは?」
「気配がほとんどない」
「私たちの気配に気づいただけでも合格です」
「どういう意味だ」
「そのままの意味です」
また無言が続く。相手の出方をうかがっているのか、言葉を慎重に選ぶべきだと思っているのか。どちらにせよ利口であることは確かですね。
「私たちが何に見えますか?鬼?それとも、悪魔?」
「...........................闇」
しばらく考えてからぽつりと呟く。
ライ様にちらりと視線をうつしてからの反応ですが、、、面白い答えですね。
「闇、ですか。」
「何も分からない。確かに存在しているが、存在していない、そんな風に見える」
よく喋る人だ。
もう何度目の沈黙か。
「それで、何者なんだ」
「なに、、、しがない殺し屋ですよ」
「俺を殺すか」
「だとしたらどうします?逃げますか?」
「逃げられないのにか」
「どうして逃げられないと?」
「白々しい、上にもいるだろ。あと、そこの路地にもなにかいる」
......影の気配も分かると。ライ様が気配を出すよう命令しているとはいえ、感覚に敏感なところはかなりの高得点です。
でしたら、私が試すのはこの辺りで終わりにして良いでしょう。
「零狼」
私が微笑みながら名前を口にすると、闇鬼は驚く。
「れい、、、、ろう、、、?!」
情報もきちんと追えているようですね、噂程度でしょうが。
零狼は口角をあげながら、殺気を出し闇鬼に近づく。
普通ならライ様の微々たる殺気だけで失神するが、闇鬼は冷や汗をかくだけ。ライ様もそこまで手加減はしない。
そう、これは貴方の始まりの試練なんですよ。闇鬼...いえ、藍澤夏稀。
『、、、、、?』
藍澤夏稀の耳元でライ様がなにか話している。解答は一つしか許されない。
間違えれば殺され、当たれば勧誘される。
ライ様に仕える全員が通る道。幼いライ様も愛おしいほど狂っていたが、7年経ちすでにそれは完成を超えている。
誰も届かない、誰も傷つけられない、誰も、殺せない。
この世界でライ様を殺せるのは、ライ様自身だけだろう。
昔を思い返しながら考え事をしているとライ様が戻ってくる。
「望む答えが返ってきたんですね?」
『あぁ、行くぞ』
放心状態の闇鬼を置いて、手すりや壁を上手く使って雑居ビルの屋上にあがり、ビルとビルを飛び越えていく。
飛躍した運動神経は訓練によるもの。ライ様はXのメンバー全員を殺すつもりで訓練してきた。
–– 全てはライ様の夢のために
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