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マリアSide


「ここが教室だ。呼んだら入って来てくれ」


そう言ってガラガラと教室に入っていく大男。

変に勘のするどいやつは面倒くさいですわね。ここで殺してしまっても良かったけど、あいつがうるさくなるからやめますわ。


いつもライ様から離れない男の顔を思い浮かべる。


「自己紹介ってするのかな?」

「そうね。本当に何も知らないんだから、変なこと言わないでよ」

「変なことってなにー?」


ニタニタと笑いながら話しかけてくる、この横にいるおちゃらけた男はコウといって、私のパートナーみたいなもの。


普段から行動を一緒にしているのもあってコウのことはよく知ってるけれど...うざいの一言に尽きますわね。


「マリア、今ウザいって思ったでしょ?」

「うるさいですわ」


おまけに人の心を読むことにも長けているから、なおさら面倒ですの。


「二人とも入っていいぞ~」


ガラッ


ざわざわざわざわ


私とコウが教室に入ると生徒たちがおもむろに話し出す。外国人は珍しくはないはず...あぁ、私たちの容姿かしら。


ライ様ほどまではいかないけどそれなりの容姿だからモテるはず、私に関してはイジってますしね。


「今日転校してきたマリアと如月だ。」


「マリア・フランソワです。仲良くしてください」


ふんわりとした笑顔で軽く会釈すると、教室中の生徒たちの顔が赤くなる。


ふと、ニコニコしている窓際に座っている女の子が視界に入る。


「(変わらないわね、、、桜)」

「僕は如月コウ!よろしく頼むぜ!」


物思いに耽っていたところに隣でデカい声を出されて思わず睨む。


ちゃんと挨拶しなさいって言ったわよね?


「怒んないでー」

小声で言われる。


「二人の席はあそこだ。来栖、渡辺、教えてやれ!」


「如月やったか?ここ座りぃや!」

「来栖さんは私の隣ね!」


呼ばれた方を見て、そこに座っている女の子の元に向かう。


近い未来に起きることに期待感を膨らませながら。


「はじめまして。マリアです」

「はじめまして!来栖 椿(くるす つばき)です!」




マリアSide END










コウSide


マリア、良かったねぇ〜。本当久しぶりに話せるんじゃない~?


マリアの悲しそうな、それでいて嬉しそうな表情を見ながら、隣の席になった高身長くんに挨拶をする。金髪に耳にはいくつものピアス、ズボンは七分くらいの長さでシャツをラフに着ている。


「よろしくー」

「よろしゅうな!俺は渡辺十全(わたなべ じゅうぜん)って言うねん!」


渡辺十全...?

あれ~、もしかしてあの人の~。まさか隣の席になるとはねぇ~。まぁ、いっか。あとで連絡して教えてあげよ~


「如月コウだよ。十全でいいかな」

「ええで!俺もコウって言うわ!マリアちゃんとは友達なん?」

「どして?」

「仲良そうに入って来とったからな~」


ふぅん。鋭さはお兄ちゃん譲りかなぁ~。


「そうそう。幼馴染みたいなもんかな?」

「そうなんか。マリアちゃんお人形さんみたいやな~」

「人形、?」

「俺も十全に同意する~」

「せやろ~?るい」

「うん~。あ、コウくん俺は篝るい(かがり)っていうんだ~よろしくね~?」

「よろしくー」

「それで~二人は付き合ってるの~?僕マリアちゃんとも仲良くしたいな~」


僕と似た間延びで話す男は、これまた高身長。ワイシャツのボタンをガッツリあけて女子を誘惑している。なんていうか...卑猥?


「私は遠慮するわ」

「え~そんなこと言われたの初めてだよ~」

「もうッ、るい君!マリアちゃんに近づかないで!卑猥だよ!」

「桜ちゃんまで~ひどいな~」


そういえばと、ふと来栖椿と楽しそうに話すマリアの方を見る。人形ねぇ~そんなこと感じたことなかったなぁ~、顔は綺麗だけどいろいろと怖いし~。


マリアに睨まれる。おぉ~こわ~い。


まぁでも...これがの反応ってことなのかな~?


「十全、そのあたりにしておきなさい」


横から少し冷たい声が聴こえる。


「悪い悪い!転校生なんて久しぶりやから思わず」

「私は藍澤夏稀(あいざわ なつき)と言います。十全とるいがうるさくてすみません」

「全然大丈夫だよー」


藍澤夏稀。僕たちと似た空気を感じたけど、使えそうだし、ライ様に報告だけしておけば良いかぁ~。


「桃李も挨拶してください」


そういって全員が桃李よ呼ばれる男を見る。


桃李...ねぇ~。

マリアの雰囲気も変わったのが分かる。感じたのは僕と、、、藍澤夏稀。

僕たち今回仕事で来てるんだよねぇ~、ちょっとそういう僕は違うんだって雰囲気出すのやめてくれないかなぁ~。


マリアと誰にも気づかれないよう目を合わせる。藍澤は気付いてるか。


「.........遠坂 桃李だ。」


「よろしくー」「よろしく」

「...それだけなん?」

「え、何が?」

「いや、桃李のこと知らんの?」

「私、フランスから日本に来たばかりだから。コウは遠坂くんのこと知ってる?」

「いやー、僕もわからない」

「知らない人いるんだ~。マリアちゃんはまだしも結構珍しいよね~」

「そんなに有名な人なのー?」

「そうそう~遠坂って言ったら、日本のy「るい。話す必要はない」あら~、ダメだった?ごめんね~」


まぁ、知ってるんだけどねぇ~。


遠坂を知ってるというより、ここにいる全員の情報が頭に入ってる。

誰が何をしているのかも、、、全部。


「ねぇねぇ、マリアちゃん!コウくん!良かったら一緒にお昼ごはん食べない?」

「お昼ごはん?」

「そうそう!私たちいつも空き教室でご飯食べてるんだけどね、食堂行くより気を遣わないからどうかなって?桃李、良いよね?」

「......あぁ」


積極的に話す子だなぁ~。マリアとよく似てるよねぇ~。まぁ、ここはマリアに任せるかぁ~。


「ありがとう。せっかくのお誘い嬉しいんだけど、この学校にいる友達と食べることになってて...」


少し寂しそうな顔でそう伝える。嘘くさぁ~ライ様と食べれるのが一番うれしいくせにぃ~。


「お友達がいるの!?誰だろッ、私も会いたい!」

「さ、桜。落ち着いてちょうだい」

「あッ、、ごめんね//」


恥ずかしそうに話すのも似てるんだぁ~、この面白いなぁ~。


「私は全然良いんだけど、聞いてみないとダメだから、また次回誘っても良い?」

「うん!全然良いよ!!」

「じゃあそのときは僕は行くのやめておくね。十全たちと一緒に食べさせてもらおー」

「全然ええで~」

「みんな、そろそろ授業がはじまるみたいですよ」


藍澤の声と同時に教師が入ってくる。


授業めんどくさぁ~。まぁ、お昼までの我慢我慢~。


「(あぁ~...早く仕事したいなぁ~)」


ゆるみそうになる頬と疼く体に蓋をして、今日もらったばかりの教科書をゆるゆると開き、授業を受ける。


コウSide END

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