第22話

視界がぼやけ、松明たいまつの火が膨張して見えた。


ふと、端にいるニンゲンに目が向いた。



「あのニンゲン…、まさか…ハッ!」



数時間前、山ノ神に花を供えに来た

あのニンゲンの男ではないのか?


ワタシハ近づいた。


気のせいか後ろ足に痛みを感じる。



松明たいまつを握る手が身震いしているように見えた。


(やめてくれ、たのむ!)


そのニンゲンに伝わるはずもない声をかけた…


まん中にいるニンゲンが枯れ木に火を放つ。



チリチリ、ジリジリ・・・ボァッ



(やめてくれ、こんなことやめるんだ!)



端にいるその男の動きが止まった。




ゆっくりと男の顔がワタシのいる方へと傾いた。













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