第21話


松明たいまつに火がついた。一つ、二つ、左右に一つずつ着火していく瞬間がワタシには長く感じた。


「やめろォォォォォ…」


叫んだ、ニンゲンに届かぬ声で叫んだ。


まん中に体当たりで突進したが、

ワタシの身体はニンゲンを通過した…


これはやはり現実ではなく、

かみの走馬灯の中か。


止めたくても、止められないのか…


松明たいまつの小さな群体が足並をそろえ、

森の入り口を見つめている。


ワタシハそれらを立ち尽くし、見ることしかできず、

涙を流すしかなかった…。



絶望という魔の荒廃地を、ワタシハこれ以上味わいたくなかった。







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