第15話

その家らしき物は黄金色こがねいろに輝いていた。


ああ、これは、神の家だ。

そうに違いない。山ノ神様が棲まうところだ。



『思い出したか。』


かみの声がした。



『どこへ居るのですか⁉︎』

ワタシはそう答えた。



声は山ノ神の家から聞こえた。

だが姿は見えない。


『わたしはかつて、そのホコラに居たのだ。だが、ある事が起きて、二度とその家に行く事ができなくなってしまった。』



ワタシは、かみの言葉にジッと耳を傾けた。


どこからともなく風が吹く。生暖かな違和感があった。


かみは続けた。


『わたしは樹々の生い茂ったその山を守る神として何百年、いや、それ以上の長い時間をそこで見てきた。』


かみの見てきた美しい景色、川のせせらぐ声、鳥のさえずり…野生動物達の足音。

ワタシは今、それら見て、聞いて、そして山の生命力をじっくりと味わっている。


『だがあの日…この山の全てが変わってしまった。』


かみの声から、微かに憤る鼓動を感じた。



その瞬間、

ワタシの目の前が、赤々とした火の海へと変わった。



オソロシイ、



なんと恐ろしいのだ。

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