第2話 まめやか

生まれて72秒。夜の概念を会得。

気付く。日が少しずつ傾いていることに。

彼の計算では、あと10時間後に暗闇が街を

襲ってしまう。


生まれて75秒。反射蛍光テープの発明。

猶予が10時間あったが、ものの3秒で片付けてしまう。

信者たちが手順通りに作り、量産する。


『じゃあこれを街のみんなに配ってきます!』


『若ぇ衆、お待ちなされ。』

生まれて80秒。資本主義の発明。

作るのに、費用はあまりかからないが、費用の3倍の金をせしめることで、莫大な利益を生む。


街は驚天動地の騒ぎよう。

夜の支配から解放されるのだ。

『これを発明されたのはどんな著名な発明家なのですか!!』

そいつが齢0歳ってんだからみんなまたもや

おったまげよ!


『会わせてください!会わせてください!』

信者が家を教えると、全員一直線。


ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン

『母親や、いないふりをするのだ。』

『ほんとに出なくていいの?』


生まれてから5分。居留守を発明。


生まれてから10分。頭の回転がおぼつかない

サムは眠りをご所望だ。


しかし、眠るには、環境が悪すぎる。

生まれてから605秒。耳栓を発明。


伝説の始まりにふさわしい幕開けである。

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サム・アンティアゴの半生 ラッキーじゃんそう(新作執筆中)(俳句) @rockyjonson

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