サム・アンティアゴの半生

ラッキーじゃんそう(新作執筆中)(俳句)

第1話 夜明け

彼の功績を数え始めた6歳の少年が、最後まで数え切ることができず、寿命で亡くなってしまったという話があるように、サムは歴史上類稀なるほどの恩恵を人類にもたらしてきた。


このほんの一片を皆さんにはご覧にいれたい


『わをーん』

サムは生まれて3秒で『ワ行』を発明した。


何気なく私たちが使うワ行だが、実は使われ始めたのはサムが生まれてからだ。

考えてみてほしい。

『ワ』はともかくア行にある『オ』と全く同じ音や、口を完全に閉じて発生する『ン』。


ワ行というのは叡智の塊なのだ。


生まれて18秒、促成栽培を発明。

サムはキョロキョロして、世界の理を75%理解した。そして、結びつけた結論があった。


野菜というのは植物であり、植物にずっと光を当てていたら、植物は早く実を成すのではないか、と。


サムの本質は洞察力や、発想力ではない。

人間の全てが味方であるかのような善性こそが彼を彼たらしめていた。


生まれて、58秒。鉢植えを発明する。

『はあー綺麗なお花が見たいわ。』

病院の一角で、叶うはずもない願いをポツリと言った。


ここで、サムの脳内は究極の答えに辿り着いていた。

小さい花壇が家の中にあれば良いのでは?と。今、鉢植えの概念が誕生した。


優しい優しい発明である。


生まれて63秒。帽子を発明。

暑いなと思った。また、外は日差しで室温以上に暑くなることをすでに知っていた。


自分も含め、全員を困らせる日差しを止める一手を思いついた。帽子誕生である。


日差しを遮ることは、太陽一神に背く行為だと当時は思われたが、サムは言う。


神が本当に私たちのことを思ってくれているのならば、私たちが進んで苦しむ道理はないはずだ。と。


信者は咽び泣いた。

サムを崇める、サムストロング教の歴史も

今日、歩みを進めることとなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る