第21話 銃も効かない最強の身体
ナイトメアを倒し終えて、押し寄せる群衆を撒いて片岡さんの部屋に戻る。
今日は居るんじゃないか。
そんな淡い期待を抱いて帰ってきても、片岡さんはやっぱり居ない。
「そうだ……」
会社なら何か知ってるんじゃないか。
会社には通勤してれば、ただ俺が悪いだけって話だ。色々と迷惑かけたから仕方ないのかもしれない。
『はい、こちらスマイルガール株式会社です』
「あの……実は」
個人的に片岡さんに魔法少女の契約を相談していた、と言う事にした。
「今、連絡が取れなくなってまして……」
これなら特に違和感はないはずだ。
『片岡と言いますと、片岡恵ですか?』
「はい、そうです」
『片岡ですと、今はお休み中との事で』
「……休暇」
これ以上は聞いても仕方ないのか。
『こちらからも片岡に電話で確認してみますが……』
「お願い────────」
します、と言おうとして。
ピンポーン。
と、インターホンが響いた。俺は片岡さんじゃないけど、この来客は対応するべきなのだろうか。
居留守をした方が良いんじゃないか。
「あの、片岡さんに」
電話の続きをしようとして、扉が叩かれる音がした。
「は?」
それは激しくなって、叩くと言うよりも壊そうという意図があるように見えてきて。
「────居留守かよ」
扉が壊れて、男が入ってきた。
「依頼人からも許可もらってっから。恨むんならその人恨んでくれや」
やれやれと肩を竦めるのは、白髪の男。
「誰ですか、アナタは」
俺とホルトさんは警戒したまま構える。
片岡さんの客、じゃないんだろう。というのも、片岡さんにはこんな非常識な知り合いなんて居ないと思ったから。
「とにかく、今この部屋にいる奴を連れてこいって話でな」
急接近。
人間にしては早い。
けど。
「オラッ!」
魔法少女に変身したままの俺なら全然避けれるし、当たった所でって話だ。
「何なんですか!」
「ハッ、やるじゃねぇか!」
ナイトメアと比べても脅威とは思えない。ただ、俺は人と喧嘩した事がないから慣れないだけで。
「これはどうだ?」
「な!?」
右手に銃が見えた。
どうなる。俺も分からない。ナイトメアとしか戦ってないから。
何の躊躇いもなく俺の太腿を撃ち抜こうとしてくるが。
『効かん!』
通らない。
「んな!? マジかよ!」
銃は大した危険要素とはならないらしい。流石と言った所だ。
なら、もう何一つとして避ける必要はない。俺は襲撃者の首を右手で掴み、そのまま持ち上げる。
「ぐっ……!」
銃が乱射される。
けど、その全ては俺の肉を貫かない。
「お前、どこの誰だ」
「関係、あるか?」
「誰に雇われた」
「金払いが、良い客……だ」
「片岡さんの事、何か知ってるか」
「ハッ。誰だよ、そいつ」
ホルトさんが『此奴、本当に何も知らんようじゃな』と呟く。
俺はどうしたら良いか、と悩んで外に放り投げる事にした。殺す気はない。ただ、少し痛い目を見て欲しいだけだ。
「何だ……何が起きてんだ」
俺は部屋に戻って床に座り込む。
片岡さんは居なくなるし、変な奴が銃を持ってこの部屋に入ってくるし。
「……ナイトメア、倒しに行かないと……だし」
片岡さんについても探さないと。
さっきのこともあって俺はまた変身を解かずにそのまま眠りにつく。
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