どんな味?

「キスの味って、どんな味なんだろうね」


 唐突にそんなことを言い出すのは、私のベッドを占領してスマホを弄っている友達だ。


「そもそもキスに味も何もないと思うんだけどなぁ。ね、どう思う?」


 私に聞かれても困る。私だってした事が無いのだから。けれど──


「そうね、味はともかく好きな人とするのはいいものよ」


「え、したことあるの!?」


「さぁ、どうでしょうね」


「えーなにそr――」


 膝立ちをし振り返っておもむろに友達の唇を奪う。


 なんだ、してみると実際こんなものか。


 最初はびっくりしてかじたばたしていた友達も、次第に大人しくなっていった。


 どれくらいの時間が経っただろう。さすがに息が続かなくなってきた。


 唇を離すと、彼女は頬を赤らめすぐに顔を背けてしまった。


「どう?キスの味、分かった?」


「……気持ちよかった」


 なんだそれは。味じゃなくてただの感想じゃないか。


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