第四話 職業安定所のミユキ
『意識』のチャクラが再び開いたゴロウ、見知らぬ土地に浮遊中。此処は明らかに地球じゃ無いのは分かる。空は漆黒色の一色のみで展開。
(今は夜中か?..)
だがゴロウの記憶に残る地球の夜空とはハッキリ違う点が..ソレは巨大な惑星達が地面ギリギリに浮かんで居る事。ゴロウの直ぐ目の前で浮かぶ感じ。思春期男子の荒れたニキビ面の様な惑星の表面が見えるゴロウ。何ならばソノ惑星のニキビ面に触れる事が出来る程、低い位置に浮かぶ巨大惑星群。
(コリャ圧巻だ..確かに近くには見える、が..遠近法の一種だな。一回見たらモォ良いや)
サバサバした感性を持つゴロウ、続いて興味は真っ黒な夜空から地上へと移る。自身が浮遊する遥か向こう側に、平家造りの建築物が見えた。長屋みたく横に細広く繋がって居て、建物の両端は無い。要するに一個の細長い建物が、〇い惑星を「グルリ」横断して繋がって(..るのかな?——ゴロウ談)いる。建物の色は(真っ赤?——ゴロウ談)焔が燃えて居る様に「ユラリユラリ」揺れてる感がする。地球人の感覚と常識を大きく超えたコノ展開に、軽く眩暈がした位の衝撃に襲われたゴロウ。つい今し方のソフィアとの体験を通して『意識』の位がチト上がった様な気がするゴロウ、これ位の違和感には動じない構えを見える。元社会地球人の自尊心が「キラリ」。ゴロウの『意識』から見る地面の色は真緑。濃い緑色、だが決して雑草や自然の恵みの“深緑”では無い。砂や土全ての色が“真緑”なのだ。草木の一切が存在して居ない真緑色の砂漠。
(何て色遣いなんだよ、此処..)
ゴロウが見渡す限りの真緑の地平線上には、ゴツゴツとした剥き出しの超巨大か、超極小の二種類かの、地球人が好む“御手頃感覚”の岩は皆無。“真紫色”の岩が転がり、漆黒の天界世界よりも高い渓谷の様な尖った“真紫色”の岩もアチラコチラに点在。ゴロウが一個の高い“真紫色”渓谷の先を眺めて見ると、何と一個の巨大惑星(地球)の心臓部をブチ抜いては、其の惑星が“真紫色”渓谷の胸元辺りで「ブラリンコ」ペンダントの様にブラ下がって見えて、チト御洒落に感じるゴロウ。
(ん..?アあ?俺いま“渓谷”って呟いたよな..?だけど“渓谷”って地面から底に向かって聳えてんのに、俺が今見てる“渓谷”は、確かに地面から真っ暗な空に向けて聳えてんジャン?..其れなのに何で“渓谷”って比喩したんだろ..?)
其れから更に“渓谷”に付いて考えてみたゴロウ。
(..“渓谷”って云う解釈と言語は地球人が創った偶像で、今の俺は既に地球人何かじゃ無い。だとすれば別に超高層ビルが地面奥深くに聳え立ってる..って表現してもオカシクは無いかぁ..。彼処に見える真っ赤な平家団地だって俺が察するに、絶対に切れ目無く繋がってるに違い無い。「オイオイオイ!?そんなの地球じゃ絶対に有り得ないよッ!」て云う事が此処では確かに起きている。って云うと次の展開はこうなるわなァ?「だったらさゴロウ、此処は一体何処なんだよ?説明してみろよ。」..待て!待て俺..落ち着け、落ち着けって!俺。たった今オレが分かった事が在る、ソレは..この大きな宇宙空間には“絶対”何て云うイイ加減な解釈は絶対に存在してないって事..)
ゴロウは絶対に気付いて居ない。実際に彼が目にしてる“渓谷”は、確かに地面を切り裂いては暗闇の奥底まで続いて居る。ゴロウは落ちない様に気を付けて「ソぉぉ..」っと、割れ目を覗いてみた。そこでゴロウが見たモノは、自身の『意識』の後頭部、丁度ツムジら辺の天辺。地面の裂け目を見詰めるゴロウの頭の天辺を見詰める地面のゴロウが地面の裂け目を見詰め.. .「もお良いっ、頭が狂いそうになるッ!要するに“上下南北”が繋がってるって事だろッ?!俺が見上げてる高い山脈は実は渓谷で、俺が見下ろしる渓谷って本当は山脈なんだ。俺が見える刺さった惑星は..惑星は..コ..、こ?この俺が今居る惑星..か?..」
(ハイっ、ゴロウちゃん!大正解です。——作者談)
こんな攻撃的な台詞を吐きながらも、流石は好奇心旺盛のゴロウ。下上コト南北の世界は繋がって居る事が分かった。
(じぁあだったら、“右左コト東西”は如何なんだろ..)
其の興味をスッカリ地表へと移したゴロウ。地面は深緑一色で、地面に浮かぶ障害物(石、岩、山)の全ては真紫色で全面展開。ゴロウがチト興味を示しては、自身の『意識』の真下に在る一個の岩の塊を持ち上げてみる妄想をした。元地球人の経験だと「重い、よね?」の筈なのだが、持ち上げた岩は光速の速さで、ゴロウの『意識』の目の前を急上昇、そして黒い天界の彼方へと消え去った。
「ははァん..大方あの岩は、宇宙空間に飛んでった..って感じか..」
コツを掴んだ?ゴロウ。続いては自身の『意識』上に高く聳える真紫色の崖、其処まで『意識』を浮遊させて行き、その巨大な崖を妄想で力強く押してみる妄想をした。すると、一瞬で崖全体が全く音も立てずに地平線の遥か彼方、飛んで行っては消えた。だが面白い事にソノ足跡?は地面にシッカリと残って居て、ゴロウの『意識』の位置から始まっては、進行方向に伸びる巨大な一本線が確かに存在して居る。
(重さの解釈が如何やら、地球人の“ソレ”とは違うんだな。ア、後は色遣いの美意識の違いもか..、こんな色と色の組み合わせで描く画家の絵何て、絶対に地球で売れっこナイわな)
重さの解釈は違えど惑星は〇い事は宇宙共通。今さっき、ゴロウが冷やかしで押したアノ巨大の崖が、其の儘の姿で惑星を「グルリンコ」一周して戻って来てはゴロウの背後に突如出現。そして止まる事無くゴロウの真横を通り過ぎては再び出現からの消失からの出現..それを只繰り返す。永久に。地球でアッサリと殺された事も確かに意外性が在ったが、その後からの展開の方が驚きの連続で飽きないゴロウ。確かにソフィアの力によって成仏出来た事も在るが、好奇心旺盛の元地球人、現『魂』のゴロウ。自身の『意識』の真ん前で行ったり来たりする巨大な崖の存在に(押した方向、間違っちゃった。俺あの建物に行きたいんだけど、この崖が“電車の踏み切り”みたいに邪魔して行けないジャンさぁ..)、「チっ..。」
ならば如何してゴロウは、崖を細長い建築物の方面に向けて押さなかったのか?(だってモシ崖を建物の方に押したら、『建造物等損壊罪』で宇宙警察捕まっちゃうかも知れないジャン?其れにヤッパね..俺も一児の父親だからさ、子供の模範になる行動を取らないと駄目だろ?——ゴロウ談)だが実際の話は、作者が事前の打ち合わせで「ゴロウちゃんッ、頼むから崖を建物に打っけないでェ!?何でかって云うとね、此処、宇宙ジャン?地球みたいに『物』と『物』が衝突したら『物物』になる訳じゃ済まされない世界ジャン?此処、宇宙だから。頓珍漢で奇天烈な展開を創造すんのがチト難儀なのよ、僕タン。だから御願いッ!建物と並行に崖を押してくれる?其の代わりにさ、来世を又ゴロウちゃんにしてあげるかんさ!」ゴロウに懇願して居た事は此処だけの話。然し、肝心の“開かずの崖電話踏切”の描写に付いては、一切の忖度無しの作者(たかがコレ位の困難も自己解決出来ないならば、今直ぐに“ゴロウ役”を降りろ。地球に戻れば、代わりのゴロウ何て腐る程居るかんね。——作者談)。
「嗚呼とォ..だったら此処から如何しようか?今一度ココで整理してみよう。..えェと俺はソフィアの案内で、この惑星に『意識』を飛ばされたんだったよな?確か彼女は『職業安定所』って言ってた様な気がする..って事はだよ、この気狂いじみた惑星のドッカに『職安』は在るんだな?この紫色の石や岩が流石に『職安』な訳が無い..って考えるとさ、やっぱアレだよな?彼処にユラユラ揺れてる赤い建物がそうだよな?アレが『職安』に違い無い。ジャア行くか?って今の俺の気持ちがなってる、だけど俺の押した崖が、〇い地表の上を光速の速さでグルグル廻ってて、向こう側に行く事が出来ない..まるで紫色の高い壁だ。紫色の崖の残像が創った高い壁は、天界の天井を突き破って天辺何かには辿り着く事が出来ない..(ン..?そっか..そうだそうだ!だったら俺は反対側に『意識』を飛ばしたら、何時かは建物の反対側に着くわな。今の俺は自分の『意識』を支配出来るって事を忘れてたッ)。」
答えを見出したゴロウの行動は早い。踵を返して一八〇度「グルリンコ!」方向転換。早速、建物の裏側に向かって、自分の『意識』を進める。実際問題のハナシ、現場の建築物に辿り着く迄の惑星の情景は相変わらず一緒。
(全然景色が変わんなくてツマンネぇ..そうだなァ、建物に着く迄にコノ惑星の事、一回オサライでもしてみよっと..
..“真っ赤っかで細長い平家の長屋の様な、〇い惑星を「グルリ」一周して繋がって建ってる、土星の輪っかみたいな建築物”
“見渡す限り、草木の存在が一切無くて、果てし無く続く深緑色の地面。地面の硬度は不明、何故なら俺は『意識』で浮いてるから”
“深緑色の地面上に在る大小の石や岩の色は真紫色。地面の硬度は不明、何故ならは俺は『意識』で触る事が出来ないから”
“地球人の御馳走コト酸素と水らしき物は無い。何故ナイと断言出来るのか?ソレは俺が『意識』で存在意義が無いから、そんなモンは必要ナイ”
“重力何て云う胡散臭い空気力学も熱量も存在して無い”)
「この俺の実在根拠だって怪しいモンだぜ..ア、着いた。もお着いちゃったよ..」
ゴロウの目の前でユラユラ揺れる深紅の建築物。実は太陽なのだがゴロウは知らない。
(畜生ッ!そうか..そうだよな、裏側だから玄関何か在る筈が無いよな..如何するか?..)
「アっそうだ!俺の『意識』を空中に飛ばして建物を乗り越えたら良いんジャン!幸い高さも“紫色の壁”に比べたらナイに等しいし。」
ゴロウの『意識』の左足は、太陽の焔が「メラメラ」揺れて黄金色に輝く深紅の建築物屋根を「ヨッコイショ..」乗り越えた。
「あのね?痛いわよ、チミ。」
ゴロウの深層世界に何者かが侵入しては呟く。
(ん..エ..誰?..)
今この状況を“一枚の絵”にするのならば、ゴロウの右足は建築物(太陽)の裏側に軸足として置き、左足を建築物(太陽)の正面側に伸ばして地面に付けて居る状態。両足で建築物(神聖な太陽)を跨った図とナリ、怒り狂う建築物(神聖な太陽)の焔がゴロウの男性器を「メラメラ..じわじわ..」ジックリこんがり焼く画で完成。だが、ゴロウの男性器が苦痛を味わって居る訳では無い様だ..。
「だからさァ、痛いッつうのッ!踏ん!でん!の!チミさ!..モぉお」
確かに今、ハッキリとゴロウが聞いた変声期前の男の声は、ゴロウの『意識』が感じる左足と地面の間から発声してみたいだが、其処に見るのは地面の真緑色だけ。(気のせいだな)そう思ったゴロウの『意識』は、もう片方の右足も持ち上げて、建築物の正面側に二本足で直立不動した妄想をした。
「モォっ、だから痛いってさッ!私の頭から早く退いてくれるゥ?」
又もやゴロウが聞いたコノ台詞(ん?..誰だよ..?地面には誰も居ないんだけど..)だが、確かに地面には虫すらも居ない様な枯れた土地。ゴロウの『意識』が辺りを「グルリンコ」隈なく見渡しても、あからさまに生物の存在など確認出来ない。
「確認出来る訳無いじゃんッ、僕だってチミと同じく『意識』何だからさ。チミの『意識』が私の『意識』の真上に乗ッ!かッ!てんのッ!私達の頭上に存在しても良い絶対的なモノって『宇宙世界』だけよ?モォオだから早く降りてくれるゥ?」
「あ..アァぁあ成る程ォぉお..僕イマ理解出来ました!御免なさいッ僕、土足でアナタの『魂』の上を踏んじゃった..って事ですね?スミマセンっ今直ぐに降りますからッ!」
「ン..?何かチミの声って声変わりしてるから、もしかして私よりも年上なのかも知れないね。」
「いえ!ボク感覚で分かるんですよ、確かにアナタは僕に比べて年下かも知れない..ですが此方には僕よりも前に居たんでしょ?だったら僕の先輩に当たりますよォ!」
「ハハッ、そぉそお!そうなのよぉワタシ先輩!んでさ?チミ、見た(察した)ところ、チト初々しいからココに飛ばされて来たばかりナノ?」
其れ迄のゴロウの『意識』に対して、チト威嚇的な態度の『意識』だった男の声の強弱が一転、ゴロウが持上げられるや否や、ソコからは穏やかなモノに変化。だが鼻に付くチト甲高い声質は相変わらず。
『下手に出られて嫌な気分になる人間は先づ居ない、いやさ絶対に居ない』
出会い頭から相手に遜った態度を示しては腹を見せると云う、先手の一手を見舞ったゴロウ(ソフィアの雰囲気とは違って、コイツの『意識』からは何だか“俗世界”の臭いがする..もしかして地球人か?)だが、こんな事を同時にアタマでは考え居る策士(お手並み拝見と行こうか。フフ..)。貧しい母子が生き延びる為、幼少期から始めた大人相手の違法密造酒の販売を起点とし、『ペロ。第一話』にて早速殺されたゴロウが其れ迄に体験した豊富な社会人経験から学んだ格言(一見チト自虐的にも捉えられる処世術だが、“心”を持ってる宇宙人ならば必ず通用する!)。その確信の元、ゴロウは思いっ切りソノ姿が見えない男の『意識』に遜った。この瞬間ゴロウが想う自身の出立ちは、髪型はポマァド「べっとり!」七三分けからの、上下「バシっ!」糊の効いた背広からの、胸元には「ビシっ!」巻いた豹柄ネクタイからの、足元は「ピッカピカ!」革靴からの、体勢は「カックシ!」腰を九〇度に曲げて、相手に深々と御辞儀。だが一切の感情も込められては居ないのは此処だけの話、そして生前のゴロウの職場は、第一営業部だった事も此処だけの話(常に営業成績は一番からの、全同僚に自身の成績を均等に分配して居た人情派のゴロウ(競争社会って嫌い何だよね、俺。だから地球から差別って無くならないんだよね。——ゴロウ談)
「あ、ハイそう何ですよォ..確かにツイ今し方コノ惑星に、宇宙の創造神なる女神の方から飛ばされて来たばかり何です。そうかッ自己紹介マダでしたね?!僕はゴロウと云います。やって来たばかりなので、東西南北上下左右の全てがチト分からなくて..」
「マぁマぁマぁマあ、私もチト何かキツい言い方したかも知んないからさ、そんなに気にしないでよね!私ね..私はミチヲって云うの。ウン確かに私はゴロウちゃんよりもチト早く、ちょっとだけの鼻の差でココに飛ばされて来たのさ。宇宙世界は何でも早いもの勝ちの文化でさ、私の方がゴロウちゃんよりも先に転生出来るって事。」
「アっ!あのっミチヲさんっ?!チト話を折ってしまいスミマセン。宇宙世界も地球と同じで、“早い者勝ち”みたいな世知辛い文化が在るんですか?ソレだと何だか、宇宙に抱いてた浪漫が崩壊してしまいますよね..」
「ハハっ!良い疑問符だねソレ。良く在る一般的宇宙人民族が勘違いしてる壮大な勘違いね、ソレって。詳しくは*と**を読んでみて!ところでさぁ、ゴロウちゃんって一体何で死んだの?」
「あぁハイ..僕ゥ殺されちゃったんですよォ無防備の状態で。後ろからザックリ刺されて。仕事帰りに。もぉトホホですよ、ミチヲさん..」
「嗚呼..はいはいアレかぁタチが悪い終わり方ね..。でも、勿論ゴロウちゃんには非は無かったんでしょ?私にも分かるもォん!ゴロウちゃんてさ、絶対に廻りから怨みを買う宇宙人じゃ無いもんね?!」
「タチが悪い終わり方って..一体如何云う意味ですか?」
「悪い方の宇宙人殺し!宇宙にはね、“良い殺宇宙人”と“悪い殺宇宙人”ってのが在ってね、ゴロウちゃんのは悪い方。自身の快楽や煩悩を満たしたいが為に他者を殺める悪い方。良い方は他者を生かす為に自身の命を捧げて自決する事、中々出来る事じゃ無いわ。」
直感でゴロウは気が付いた(このミチヲさんが今、俺に説いて居る内容と、ソフィアが俺に説いた内容がマルで酷似してるじゃないか..単純でいて実はトテモ難解な話、聞いてても飽きない)。
「マ、けどさゴロウちゃん。此処まで来たらアトは黙って順番を待つのみよ」
飄々としたミチヲの『意識』の後ろで浮遊するゴロウの『意識』。其の後ミチヲの『意識』はソレッキリ、何もゴロウに話し掛けて来る事は無かった。(もしかしたらミチヲさん、俺から何か喋って来んの待ってんのかな?..言った方が良いのかな..?)ゴロウは無音の世界を築いてしまった自身を責めてしまい、頭の中で互いの共通点を探ってはナニカ話題を創ろうと試みた..が停止した(そう云えば此処はモォ地球じゃ無い。悪式風習の社交辞令など、宇宙に迄やって来て本当に必要か?否や、必要ではナイ)。悟ったゴロウはミチヲの『意識』に深入りする事を放棄した。ミチヲ同様、ゴロウに話し掛けて来る事も無かった。
(もっと俺は、ガッチガチに固まった地球人時代の悪い癖をブッ壊して行かなければ駄目だ)
気が楽になった気がしたゴロウ。
(こう考えると地球人文化って面倒臭いモンだったんだな..)
時間の解釈が存在しない宇宙世界、一体どの位の***トキが経ったのか?無心で浮遊しては『意識』の透明な行列に並ぶゴロウ。タッタいま気が付いた事なのだが、自分の『意識』の背後****に更に気配を感じた。後ろを振り返ってみたものの、ゴロウの『意識』に入り込む景色とは、見渡す限り真ッ黒な空と真ッ緑色の地面と真ッ紫色の岩、三色展開の世界。
(そうか..今まで俺は俺を中心として、ざっくばらん単純に解釈してたけど、此処に“俺”って云う存在が在るって事は、其の他にもミチヲさんの存在然り、別の生命体の存在が在ってもオカシクは無いか..偶々ミチヲさんが、俺に話し掛けてくれたから認識出来ただけで在って、もしも彼が俺に話し掛けて来なかったら、俺は此処で何も知る事は無かっただろう..と云うかさ、この全宇宙世界って..モシカシタラ俺の『意識』の中に在るマボロシ、なのかも知れないな..)
マズイ、此処でゴロウに達観されて、『意識』そのモノが完全成仏してしまうと、『ペロ』が遺作且つ未完作にて終了してしまう..話を変えよう、だが後一言だけ言わせてくれないか?
「宇宙って追求すればする程、深くて何処までも潜って行ける底無しの深海世界みたいだ..」
——在る起点を境に目醒めたゴロウが感じた『意識』の行列。確かにゴロウの背後にニョロニョロユラリンコ揺れては、今この瞬間も新たな意識の難民達がサマザマな宇宙空間の地域から飛ばされて来ては、新たな行列の尻尾を創るのに協力*****。
職安の輪廻転生手続きの速さと、宇宙人の『意識』が此処に送られて来るトキの配分が絶妙な事にゴロウは気が付いた。ソフィアが云って居た、
「我等が宇宙絶対神よ!只今より地球人ゴロウの『意識』、『******第五億職業安定所星』まで瞬間移動させます事をお伝え致します!」
第五億職業安定所星の“五億”とは、即ち“数”を表して居るのだろう。とすると、最低でも宇宙には“五〇〇〇〇〇〇〇〇”箇所の職安が実在して居ると云う事実。
(一体誰がコノ膨大な数の職安に、更に同じく膨大な数の宇宙人の『意識』を割り当てて居るのか?その勤務は交代制なのか?二十四地球時間三百六十五地球日ズット営業して居るのか?その給料は良いのか?福利厚生は充実して居るのか?元地球人の俺でも働けんのかな..?)
様々な憶測が『意識』の中に過るゴロウ。次いでに描写すると、透明な『意識』にも実は種類が在って、巨大なモノだったり極小だったり、歪な形をしてる輩も居れば、薄い紙みたく平べったい者も居たり。中にはチト体臭がキツめな『意識』もチラホラと行列に並ぶ。その臭い『意識』の行列の前後、微妙な間隔が空いて居る事実は此処だけの話。宇宙人だって臭いのはヤダもん。
実はコノ惑星にやって来てから『意識』を操って居るだけで、全く同じ場所にて浮遊して居るゴロウ。色々と動いて居るかの様な描写だが、今も昔も不動の一箇所にて『第四話』のオトギバナシは進行していたのだ。ゴロウを中心としてコノ惑星は自転を繰り返す。ゴロウが歩いて景色が変わるのでは無く、景色がゴロウに合わせて移動する。あの深紅の太陽(職業安定所)も同じくして、徐々にゴロウが並ぶ行列が其処に近付いて居ると見せ掛けて、本当は太陽の方がゴロウに向けて歩み寄って居る錯覚。
(何だかんだで結構進んでんな、行列。チト緊張して汗掻いて来た..)
否や、ゴロウの汗は錯覚。ソノ汗は緊張から来るのでは無く、太陽熱の仕業なのは此処だけの話。
地球の様に“朝昼晩”の変化が全く無い『第五億職業安定所星』の世界。明るい暗闇の中で行列に並ぶゴロウだったが、もうソロソロこの辺りで、“行列”から“行”を分離した表現に移行した方が良いかも知れない。地球の単位で表すと、〇.〇〇一ミリメェトル程の距離に詰めて居たゴロウと、太陽コト職業安定所の正面玄関口。
(フハっ!何だよコノ展開って。ホンの〇.〇〇一秒前には、俺は未だ未だ建物から遥か向こうに居た筈なのに。着いたら着いたで何だが怖いぜ..緊張が増してゾクゾクして来る..)
「ゴロウちゃん、居る?ちゃんと私の後ろに?如何やらね、私達の順番がやって来たみたいよ..」
久し振りに聞くミチヲの肉声、彼も幾分か気持ちが高揚して居るのか?チト発声音が更に甲高い金属音に感じたゴロウ。不快。不愉快。耳障り。(イラっ)っと感じたゴロウ。
「そッ、そォですねェ..如何やらソウみたいですねぇ..僕、年甲斐も無く緊張してますよ、今」
ゴロウの眼と鼻の先に在る正面玄関の一枚戸。硝子戸では無く、建物の内部の様子が見えない。
(こっから一体如何やって中に入んのか?)
初めは自動扉で開くモノだと勘繰って居たゴロウ。残念。此処は地球では無い。戸には取っ手は付いて無く、引き戸では無く、押し戸でも無い。無いモノ尽くめの一枚戸。
“『魂』を妖怪にヒッコ抜かれた”経験が皆さんには在るだろうか?もしも無いので在れば創造して欲しい。職業安定所(太陽)の玄関戸に鼻先をピッタリ押し付けて直立するゴロウ。メラメラと燃えて揺れる太陽(職業安定所)の焔が地球人の細長い一本腕に化けたのを、ゴロウの『意識』は自身の深層世界で目撃した。そして真っ赤に燃えて揺れる一本腕の妖怪は、一気にゴロウの心臓部に向けて突進。ゴロウに抵抗する時間など一切与えず『意識』を捥ぎ取った。痛い何てモンじゃ無い、苦しい何てモンでも無い。恐怖を味わう暇も無かったゴロウは、職業安定所の正面玄関口にてソノ『意識』を失った。
(————..ン?ぁア?エェ..?怖かったァ..今の。夢..?何だ今の?..本当に殺されたかと思ったぜ..)
顔の表情はチト硬め。清潔感溢れる短髪で、揉み上げはテクノカット仕様。ワイシャツは純白で、ネクタイはお気に入りの茶色。紺色の糊が効いた背広の上下を華麗に着こなす男。市役所の受付口みたいな場所。個人情報保護の為か?各受付ブゥスの左右には仕切りが立てられて居て、チト窮屈感を感じる。受付ブゥス向こう側の世界は、職員達が慌しく動いてはチト忙しそう。来客側の受付ブゥスにてパイプ椅子に着席して居る男。姿勢正しく座り、両太腿も「ピッタンコ!」其々が合体。是等の描写が示す通り、この男は緊張して居る真っ只中。
(..俺は此処に一体ナニを相談しにやって来たのか?———ン?..今、“俺”って言った?俺?この男って..もしかして、俺?オイオイオイオイぃ俺って確か死んだ筈じゃ?..だったら如何して、今俺は正装して此処に座ってるんだ?..夢..だったのかもな..ハ、くくっ!クククっ!..そうか、そうだ。そおだよなァ、この俺が死ぬ訳が無いもんな!何で此処に居んのか分からないけどモォ帰ろ、腹も減ったしな。アカネ、確か今晩は豚カツだって言ってたな?)。パイプ椅子から立ち上がって、席から去ろうとしたゴロウ..だが立ち上がろうと試みるが立つ事が出来ない。腰に力が入らずに気張る事が出来ないのだ。そして確かに其れ迄は空腹感を感じて居た筈が、実は空いて居ない事実にも気付く。
「アンタ何してんの?死んだ『意識』の分際で勝手な事したら、消しちゃうよ?立とうとしてんじゃネェよ、この馬ぁあ鹿。動くな」
何とかして立ち上がろうとするゴロウは、床に頭を下げて『意識』を足元に完全集中。頭上でコノ女性の声を聞いたゴロウが顔を上げると、何時の間にか受付ブゥス越しに女性が座って居た。
「えぇとォ、ゴロウさんね?死んでる。合ってる?間違ってたら訂正してくれる?トットと」
女性は見た目は若い。ゴロウが察するに、年齢にして大体二〇代半ば?漆黒色の艶やかな長髪を後ろで結っては、今日日の若い女性には珍しく、化粧っ気が全く無い素顔。そして*******肌の色は“透き通った肌色”。目鼻立ちが恐ろしくハッキリクッキリして居て、化粧品が素材に完敗する事必死(だからアカネも化粧しなかったんだな..てか、俺は死んでねえし)。
「キャハッあんがと!要するに私って可愛いんでしょ?知ってる、そんなの当たり前じゃん。『意識』のクセして、勝手に私の品定めしてんじゃ無えよ、馬ァ鹿。遣り方がエロいんだよ、気持ち悪ィなぁ。でさァ良ぃい?アンタ。ほんっとッ、死んでっから」
確かに美女だが口(くち。ロでは無い)の利き方が恐ろしく最低な受付嬢。美女で無ければ口(クチ。ろでは無い)の利き方が最低でも構わないと云う訳では無いが、長年に亘り、世知辛い社会人生活を体験して来たゴロウとしては、この彼女の接客態度など絶対に有り得ない(この小娘にキツく注意してやろう。ソノ方が後々の彼女の為にも良い)。怒号の第一声を発するソノ直前..
「コッチ側の世界はさァ、地球人民族のチッポケな倫理観なんて全く通用しないからソレだけは良く覚えときな。有り得ない事自体が此処では有り得ないのよ、覚えときな。後さぁアンタ、何っ回も言ってんけど。死んでるかんね」
彼女の言って居る事が完璧に理解出来ないゴロウ「?..」ゴロウよりも遥かに若く、世間離れした彼女の尊大な物言いに対し、地球人時代には世間擦れの達人だったゴロウにはチト許しがたく、チト段々と腹が立って来た(フっ..苛立ちの念かァ..こんな感情を抱くなんて永らく振りだな。吐き出したい..思いっ切りコイツに向けて、俺の脳味噌が脳震盪おこして失神するまで、大人気ナク怒鳴り散らかしてやりたい..)。深層世界の奥底で「フツフツグツグツ..」煮え出し始めては“ソレ”が体内器官の管を蔦い、体内下腹部からネットリ「ニョロニョロネチネチ..」昇って来るのが自身にも分かる。
「ミユキ..」
「..私、ミユキって云うの..キャハッ!こう見えても一応は『宇宙女神』だかんね。あんま舐めた態度取ってんと、ホント殺るわよ」
この自称ミユキが吐いたコノふざけた台詞に対し、一気に溜飲が下がってしまったゴロウ。肩透かしを見事に喰らったゴロウからの、正気を取り戻し、現実宇宙世界に舞い戻って来たゴロウの次の展開がコチラ。
(え?..そうなの?ヤッパ俺って..死んでんの?)
「ウン!そぉアンタ、思いっ切り死んでっから。後ね、あんま慣れない現場でイキったら駄目、勢いが見事に空回りしちゃってんジャン!ウケる。相手を見た目で判断すんのってダメよ。地球人民族の良くない癖だかんねソレ、もっと本質的な部分を抉り取んなきゃね、ガぁンバっ!」
「では..改めて開始致します。私はミユキ、職安の女神。そしてコノ職安ブゥス番号は四千六百四十九番。貴殿の生前の名前はゴロウ、間違いは御座いませんか?」
その場の空気が一瞬で変化し(とは云え宇宙空間には酸素ナド無いが)、突如として始まった二者面談。地球人の営業部時代、数々の大きな商談を纏めて来た経験豊富なゴロウにも、初めのコノ瞬間はチト緊張が走る一瞬。商談の殆どが、実は売り込みたい側の“第一印象”で既に決まる方程式を熟知するゴロウが故に、この“一瞬”と云う瞬間は如何しても緊張してしまう。現場の空気が変わる一瞬と、ゴロウの気持ちが揺れる一瞬。この“一瞬”を地球人時間に「ハメ嵌め」すると、大体『ジュラ紀』が地球上に現れてからの、今日日の白黒テレビや洗濯機が巷に登場し始めた辺りの期間を指す。
兎に角、若しくは何はともあれ、ミユキの迫力と説得力に対し、完全に観念したゴロウの『意識』はパイプ椅子に座ったまま、緊張の糸が解けたのか?肩を下ろしてはミユキ越しに見える彼女の職場に目が行ってしまった描写。
(アっそうだ!取り敢えず彼女に返答を返さないと、又何を罵倒されるか分かったモンじゃ無い。これ以上の人格否定はゴメンだぜ..)
「はい、私の名前はゴロウで間違い在りません。」
この台詞で場の空気を繋いだゴロウだが、スッカリ意気消沈のゴロウ。気持ちが戻って来る迄の間、暫くは自身の『意識』を落ち着かせる為に、ミユキの職場を傍観させてみる。この場の空気を読んで居るのか?幸いミユキもコノ瞬間、何もゴロウには話し掛けては来ない。
広い面積の室内には沢山の机が並び、その机に在る固定黒電話は、常に客?からの電話で引っ切り無しの状態だが職員達は誰も出ない。居留守。職員達は其々が持ち寄ったお菓子を食べては、世間話に花を咲かせては忙しい。客の事などよりも自身の幸せを最優先。そしてソノ花をハサミでちょん切るミユキ。給湯室に一度消えて、戻って来た右手に持つ花瓶に、ソノ花を活けてゴロウの居る受付ブゥスに持って来た。花の色は疎か、茎や葉の色も漆黒色で統一。ゴロウの鼻腔をビンビン刺激する、仄かに香る花の地獄臭が何とも言えず。職員の誰もが全く仕事をする気がナイ健全な職場。そんな懐かしい光景が広がるミユキの職場の雰囲気に、ゴロウにはチト懐かしさが振り返してしまい、気が付くと気分はスッカリ落ち着いて居た。
「どぉゴロウさん。落ち着いた?」
「エっ、っアッ、ハイ何とか!..それでミユキさん?此処って本当に宇宙の職安、何ですか?僕には地球の一般的な会社の様に思えるんですが..」
「そうよゴロウさん、此処は確かに職安。宇宙世界全ての亡くなった『意識』の記憶が、私達職員達との面談後に刷新されて、この受付ブゥスで次の生命体(イノチ)に即生まれ変わるの(転生)。来世の転生(物体、又は物質)の種類は全てが現世(地球人で云う生前の人生)の行いで決まるのよ。簡単でしょ?」
この話を聞いて、全てが腑に落ちたゴロウ。そして同時に、今迄ミユキに抱いて居た大人気無い気持ちに関してもチト大反省。此処は既に地球では無くて異界の宇宙世界、みみっちい地球人の概念など通用する訳が無い。
「アハっ!ゴロウさん駄目よ貴方、チト『意識』が硬過ぎ!」
(あの時のソフィアみたく、このミユキさんにも俺の全てが筒抜けじゃ無いか..)
「え?ソフィア!?ソフィアが貴方の事を此処まで導いて来たの?!ウケる!実は彼女は私の親友なの。大丈夫だった彼女?あんま簡単にココロ開く娘(コ)じゃ無いから、何か客の苦情が多いんだよね」
「ア、はい!ソフィアさんは、それはモゥ丁寧に僕を此処まで導いてくれましたよ。..っアッ、そッそれは別にミユキさんが雑な訳では無くて..」
「っプッ!ウケる。ゴロウさんってホント馬鹿正直なんだね!あの娘ってさァ、子供の頃から引っ込み思案で内向的、だから何時も廻りから虐められての。ソイツ等全員私がシメテた(虐殺)けどね。今宇宙週末も一緒に遊ぶんだァ!」
「苦情..と云うかァ恐らくは『意識』の方々の“客意識”が非常に強くて、彼女にソレを強引に強要してるのでしょうね。彼女はとても繊細な方だから、ソレを真っ正面から受け取って感じてしまうんでしょう、可哀想に..」
「フぅぅん..」
「..っアッ、そッそれは別にミユキさんが繊細では無い訳では無くて..」
態度は確かに横柄だが、全く裏表の無いミユキ。彼女は確かに『創造神』の一宇宙人で、全宇宙人民族の輪廻転生を司る女神なのだ。落ち着いた気持ちに加えて、更に余裕も生まれて来たゴロウ。実はミユキ、ソフィアとの今宇宙週末の予定をゴロウ相手に、手振り素振り交えては熱くブゥス越しにて説明中。仕事そっちのけ。ゴロウには上の空。自身の『意識』に映るミユキの向こう側、『創造神(職員達)』が職務を完全に放棄しては、ひたすらに仕事をしない光景をゴロウは懐かしげに眺めて(確かに俺も全く仕事をしなかったっけ..一生懸命仕事をする奴は大抵が無能だ。最小限の力で最大限の結果を出すのが俺の遣り方、そして其の結果を職場の皆んなで分配し合うのさ)瞬きを一瞬。そして再び両眼を開いた先に見た世界は漆黒の********宇宙色(真っ黒けっけ)。ミユキもブゥスも職場も職員達も全てが消滅、自身が座って居た筈のパイプ椅子の感触も無い、只感じるのは自身の『意識』だけ。其の『意識』も暗闇の宇宙空間にフワフワ浮いて居る感じで恐怖を感じるゴロウ。地球人にとって地面の存在を確認、認識出来ない事はソク恐怖へと直結する。
「キャハッ!ビビった?」
ミユキの姿は見えないが確かに声は聞こえて来て、其の彼女の声はゴロウの『意識』に鳴り響く。この感覚はソフィアの件で経験済みのゴロウ。慌てる事無く、自身の『意識』からミユキに問い掛ける。
「ミユキさん?僕の視界が急に眼を瞑った時の感じで真っ暗何ですけど..これは一体如何云う事なのですか?..」
「うふふ..ゴロウさん、私の本当の転生ブゥスにようこそ。驚いたでしょ?!今貴方が見て感じてる此処が本来の職安の姿。私達は先ず初めに、此処にやって来た『意識』の本性を丸裸にする為に、彼等が持つ生前の記憶に強く残ってる場面を見せ付けるの。ゴロウさんの一番強かった生前の想いは“職場”。だから貴方は此処に“地球の職場”を見せたのよ」
「ええッ?!僕が一番コノ世で大事に考えてたのは家族。..だと思ってたのに、何だか意外だなァ..」
「ウフフ..生真面目なのよゴロウさんって。大丈夫よ、貴方が一番地球人人生で大事に想ってたのは確かに“家族”だから。家族を養うにはお金が居る、お金を手に入れるには仕事が必要、だから“家族”と“職場”の映像って表裏一体の存在なのよ。..如何やらゴロウさんの『意識』が整ったみたいね?行くわよ、良い?深呼吸して『意識』の全てを宇宙空間に解放して..」
(..スゥゥぅぅ.. ..フゥゥゥぅぅぅ.. .)
ゴロウをグルリと囲む大宇宙に彷徨う『意識』のゴロウ、ミユキに言われたまま思いっ切り深呼吸してみた。宇宙を自身の『意識』の中に取り込んでは、俗世界の地球人生活で毒されて穢れた『意識』の全てを再び宇宙に向けて吐き出す。ここでゴロウの『意識』は空っぽとなり、ゴロウの前世の全(宇宙、又は地球)人格が抹消。その古い地球人時代の記憶は、今ミユキが手にして居るゴロウ専用のA四バインダァ(漆黒色)に記録された。宇宙世界から完全にゴロウの気配が消えた事を確認したミユキ、今度は自身の『意識』を、空洞と化したゴロウの『意識』に侵入させては、隅々までゴロウの『意識』の汚れ具合を確認して行く。ゴロウは既に此の『意識』には住んでは居ないが、地球人として生きて来た嘗ての汚れや、破損などが家主を失った『意識』には“記録”と残る。宇宙世界でゴロウが輪廻転生を繰り返しては生きて来た全歴史の内容が細かく記されて居るソノA四バインダァ(漆黒色)を手に持ちながら、『意識』の壁の隅々を凝視しつつ、ゴロウのA四バインダァが見落とし居た居る点を手動で描き込んで行くミユキ。ミユキの表情は真剣そのもの、間違いや不正が在っては決してならない大事な作業。このミユキが行って居る作業を通して、各『意識』の来世の行方が決定されるのだ。判断基準は、今迄全ての転生の歴史と前世の行いとの比較。過去の歴史の“点(総合的な精神面の高さ)”の最後と、前世の“点(善行と悪行を計算して纏めた総合点)”が近ければ近い程良し(右肩上がり)とされる。逆に離れて居れば居る程(右肩下がり)、来世の転生には期待出来ない。ゴロウの『意識』の誕生から始まって、今ミユキが居るゴロウの歴史はチト最近。A四バインダァに残るサムライ時代のゴロウの記録と、その侍ゴロウの『意識』の記憶に誤差が生じて無いか?の確認をするミユキ(へェぇお侍さんだったんだ、ゴロウさん..)。“宇宙塵”から始まり、前世の地球人のゴロウの『意識』製の長ぁあいトンネルの出口が、そろそろ「ソロぉ..」っと見えて来たミユキ(此処まで来ると後もう少しね..嗚呼モォ超かったるい)。仕事終わりの麦酒を「ゴクリ!」やっつけたいミユキの足取りはチト軽い。ミユキの片足がゴロウの『意識』の表に出て、後片脚が完全に出れば終了..の筈が、足がピタリ止まったミユキ。右脚は『宇宙空間』に在り、左脚は依然としてゴロウの『意識』の中の状態のミユキ。
「!..(..コレって、一体..如何云うコト、なの..)」
仁王立ちにて其の動きを完全停止したミユキ。追記として顔の表情も完全に固まっているミユキでも在る。宇宙空間から姿も『意識』も完全に消えたゴロウだが生きて居る。何処に?ミユキの『意識』の中に。
ミユキは胸元にゴロウのバインダァを抱き抱えて、自身の『意識』の中で蠢くゴロウの元に戻って来た。勝ち気な性格のミユキが、ゴロウ其の者(物でも可。バインダァを指す)を胸元に抱いて居る描写が今回のミソ。ゴロウの『全意識』を確認作業して行く中で、チト何かの気持ちの変化が彼女に起こったのか?
「ゴロウさん..どうもお待たせ致しました..。コノ私の持って居る黒いA四バインダァ、ゴロウさんの今迄の宇宙人人生の歴史が記されております。この私も含めて全宇宙人の皆、其々が一冊のA四バインダァを所有して居て、私達は其のバインダァの中の世界で生きて居ります。個々の歴史の全て..過去も現在も未来も全てがバインダァの中に描かれて居るのです。」
「ん?..エっ..未来?あのぉミユキさん?未来って、未来だから未来って呼ばれてるんじゃ無いんですか?現世次第で未来の将来って決定されるんじゃ無いんですか?..」
「ウフフ..ゴロウさん、全ての宇宙人人生運命とは既に決まって居ります。必然です。ですから今回ゴロウさんが殺された事も決まって居た事です。刹那的に思われるかも知れませんが、私達は皆、“運命”と呼ばれる螺旋階段の中で永遠に足掻いて生きて居るのです。」
「ミユキさん、僕には全く理解出来ない内容なのですが、敢えて理解しないと云う選択肢も在って良いんですよね?」
「ウフフ..ハイっ、勿論ですとも!ム..いやさゴロウさんが理解しなくとも、ムラ..いやさゴロウさんの輪廻転生の行方は遥か先まで決定済みデスわッ!ムラタ..いやさゴロウさんの来世の件ですが、この私の権限でお好きな物体、若しくは物質、何なりと転生させて頂きますわッ!」
「あ、有難う御座います、ミユキさん。ですが一体如何したのですか?アレから急にシヲらしくなってしまって..?其れにムラタって、誰ですか?僕ぅはゴロウですが..」
案ずるより産むが易し、ゴロウは体内に何者かが侵入して来た感触を感じた。これ迄はミユキの『意識』の中に居たゴロウ、今度はミユキがゴロウの『意識』に「スルリンコ!」不法侵入したのだった(アっ..又失神かよ俺..死んでから失神付いてて情..け.ェ..)。そして光速でスッポリ落ちた。
———時は大昔よりもチト更に大昔。と或る世界の小さな集落の町、ミユキは家族で団子を売っては日々の生活費を賄って居た。噂は確かに耳にして居たミユキ、流れ者の荒くれ共達が最近、岬の洞窟に住み付いた事を。其れからと云うモノ彼等は偶に町にやって来ては、店から食料や酒などを強引に強奪したり、無銭飲食の末に酔っ払って店を破壊したりとヤリタイ放題の日常。町には沢山の若者の男達が居るのだがチト相手が悪い。荒くれ者達の全てが屈強な肉体を持ち、身長も六尺を超える輩がゴロゴロ。今も昔も、男と云うモノは貧弱で情け無く、勝てる喧嘩で無ければ決して戦う事をしない策士。荒くれ共の姿を道で見掛ける否や、男衆は光速の速さで姿を眩ませた。其れは若い女子衆も同じく、ミユキも彼等を店先から見掛けると、年老いた両親の指示で透かさず姿を店の中に消して居た。これ迄にも何人ものオナゴが奴等に攫われたが最後、この町には戻って来る事は皆無。店先に立つ時は、一家揃って常に神経を配っては団子を売って居た。
この日も自身の店先で団子を売って居たミユキ、異変は無かった。視界に映る何時もの平和な町並み、御天道様の陽射しがチト気持ち良く、こんな日は団子が良く売れる。
「ハイっ、有難う御座いましたァ!」
この悲劇は御天道様のせいと云って良い。店の団子が一瞬だが沢山売れてしまう瞬間が在った。ミユキと両親の『意識』が団子に完全集中した“間(ま。マでもまぁ可)”を、奴等は見逃さなかった。ミユキの背後、何者かが彼女の身体を掬い上げた。視界が宙を舞ったミユキは、一体何が起こったのか?全く見当が付かない。誰かがミユキの臀部を思いっ切り捻った後、勢い良く思いっ切り「パアァァァンっ!」叩いた。
「ヒイィィィィっ!」
臀部に激痛が走ったミユキ、恐怖の前に思わず悲鳴が出た。
「ギャハハハハっ!オイ聞いたかよ!この女、“ヒイィィィィっ!”だとよぉ!?ギャハっ、無様な牝犬だぜェ。今晩シッカリ可愛がってやっからよぉ、オメぇも俺達にチャンと尽くすんだぜェ?!ガハ!」
この下品な笑い方をする男こそ、正にミユキが注意を払って居た荒くれ者の集団の一味。だが時は既に遅し、ミユキは堂々と、肩で風を切っては歩く一人の男の肩に背負われて、棲家の洞窟へと連れて行かれる途中。無骨な男には無骨な歩き方が似合う。一歩一歩オトコの脚が地面を打ち付ける度、豪快にミユキの身体も空中で揺れて吐き気がするミユキ。絶望の吐き気と酔いの吐き気の両方を感じるミユキ、両眼には大量の涙が溢れ、生きる希望を失った失望感で『意識』も溢れて居る。助けなど叫ぶ気も更々ナイ、無駄だからだ。ホラ見た事か、廻りの人間達は確かに報復を恐れて見て見ぬ振り。担がれて揺れる目線に年老いた両親の姿を見たミユキ。彼等は地面の真ん中、伏して腰を抜かして居た。余りにも急過ぎて言葉も出ない。
(私はこの野蛮な漢達に犯される..そして飽きられた後でキット殺される..だったら死ね..私。死んだ私を思いっ切り犯したら良いさ..)
両親が大事に育てて守ってくれた自身の肉体を、こんな気狂い連中達に弄ばれる位ならば、一層の事死んだ方がマシ。自分の将来の旦那様の為に大事に取っておいた処女を、こんな野蛮人共に破壊される位ならば、死んだ方が遥かにマシ。自身の近い未来を察したミユキは、咄嗟に自分の舌を噛み切って自害しようと決意したソノ矢先、意識を失った。
そこから目が覚めたミユキが眼にした光景は、全ての荒くれ者が地面に横たわるモノだった。彼等はミナ脳天から肛門に至るまで寸分の狂い無く真っ二つ、“ギザギザ模様”にて斬られて居た。これは“隠し刀(隠し包丁)”の遊び心、腐った外道共には激痛を味わわせてからジワジワ殺す。だが斬れ味が良過ぎて、全ての死体断面図からの出血は一切無し。勿論全員絶命。
その時には、既に天界高く登って居た御天道様の逆光が邪魔をして、チトハッキリとした顔の様子は窺えなかったが、死体の山の頂に一人立つ漢をミユキは確かに見た。漢の右手には、鞘から剥き出しとなった刀。其の先端が地面に向いて、御天道様の光を吸収しては「キラリンコ」輝く。漢はカナリの数の人間を斬った筈なのにも関わらず、全く肩で息をして居ない。長身で細身ながら身体は筋肉質を思わせ、刀を握る細い右腕には血管の管が浮かび上がる。頭は丁髷では無く、長髪を後ろで結って居る。地面に寝そべって居たミユキ、眩いばかりの御天道様の光線がミユキの視界を遮る。堪らず左手をオデコに当てて光を遮断したが、やはり漢の顔の様子を窺う事は出来ない。だが直感で分かる。この私を助けてくれたのはアノお方だ。
「..あッ、あ、貴方様のお名前はッ?」
「ムラタ、と申す..」
そこからミユキの記憶が無い。
(————..ア、あれ?俺、やっぱ又失神してた?)
「ムラタ様ァっ!いやさゴロウさん..お目覚めになりまして?と云う訳で、カクカクシカジカ..。このミユキ、ムラタ様!..いやさゴロウさんの如何なる来世も叶えて差し上げますわ!勿論私付きで。もぉ決してムラタ様!..いやさゴロウさんの事は、このミユキ。永久に離しませんからァっ!」
勿論の事、ゴロウには古い前世の記憶など在る筈も無いのだが(この俺が昔はサムライだったなんて..何とも驚きだぜ..)、このミユキの誘いに対して、瞬時に閃いた事が在る。
(本当に願いが叶うのならば、もう一度だけ、俺は地球でゴロウをやってみたい..)
「畏まりましたわ、ムラタ様!..いやさゴロウさん。このミユキが叶えてあげましょう。思う存分に暴れては束の間の地球生活を満喫なさって下さいな。只コレだけは釘を刺しておきますわね。浮気は絶対厳禁。もしもムラタ様..いやさゴロウさんがアカネ以外の地球人娘と交わった場合..このミユキ。貴方様の『意識』を宇宙空間に彷徨う“宇宙塵”に転生させては、ムラタ様..いやさゴロウさんは、永久に“宇宙塵”の一部として、宇宙空間を彷徨う事になります。そして今回の輪廻転生に当たっては、一つだけ条件が御座います。ソレは“一瞬”の限定の生命だと云う事。その一瞬を過ぎた時点で、私が宇宙空間から舞い降りては、ムラタ様..いやさゴロウさんの『意識』を強制的に奪い取りに参ります。そして其の後、私達は晴れて夫婦をして永久に結ばれるのです。キャハッ!ソレでも構いませんか?構いませんよね?ソレ以前に選択種など与えませんが。」
(いッ..瞬?って何だ?一瞬って..?)
このミユキの台詞を耳にしたゴロウ、途端に酷く寒気を感じた。このミユキの強引且つ強制的、病的且つ鋭い一方的な思い込み。相手に選択肢を一切与えない強固な思考回路。其の儘すっぽりアカネの性格に当て嵌まってしまい、思わず地球に生きるアカネの事をフト思い出してしまったゴロウ。思わず、ミユキとアカネは同一宇宙人物か?と勘違いしてしまった程。だがココで引く訳にはいかない、ココで引いてしまうと『ペロ。』が未完作で終わってしまう。ソレだけは如何しても読者の為には避けたい。
「ハイ。結構です。」
ハッキリとゴロウは答えた。
「あ、アノぉゴロウさん..?今回の“結構”とは、承諾の結構なのか?其れとも..断りの“結構”なのか..一体どこらの“結構”ですの?地球人の言廻しって煩わしくてキライ。もしかしてお断りしたいだ何て言いませんよね..?だったらイヤだ私。此処でゴロウさんを殺して私も一緒に死ヌ」
(死ヌ..?何だ?死ヌって..死ぬの間違いだろ..ア、..俺、オレも..死ヌ?この感じ..?やな.感ジ.. .)
ゴロウは落ちたか?死んだ。
———補足と云う名の嫌がらせ
*地球人の一般常識はソノママ宇宙世界の常識に当て嵌まるの。地球も含めて全ての惑星はね、ミナ宇宙が発生してからソノ中で産まれて来た子供達、分身よぉ。あぁんとね、地球人文化を例に挙げてみればさぁ、海外旅行に行って現地の風習や習慣に驚かれる経験ってミンナ、無い?在るわよね!だけどソレってさ、向こうの地球人人種にしてもアナタの信じる一般的常識に驚いてる訳。有り得る事はアリエル、勿論よね?そして有り得ない事も宇宙世界では充分に有り得る、今回ゴロウちゃんがコノ惑星で体験した全ての頓珍漢な事が起こり得るのが..宇宙ウゥゥぅぅぅ..。実は宇宙とはアナタの『意識』が在る所。宇宙船で惑星地球を脱出した向こう側の世界が宇宙何かじゃナイの。感じて、『意識』を無にしてモット感じて宇宙を。精神を高めて自分の元に宇宙を構築させて。固定概念はコノ宇宙世界では“悪”よ。
**地球人民族ってさァ『母なる大地』って良く云うジャン?その大地って“ママ”の『子宮』の事を表しててね、子宮を持った地球人のメスが『地球』で産まれて来るじゃん?地球は『宇宙』の中で浮いてるでしょ?そして其の宇宙は“ママ達”の『子宮』の中に存在してんの。この子宮の事を地球人民族は『母なる大地』って呼んでんの。宇宙は輪廻転生の賜物って事。
***この“トキ”を地球人時間に「ハメハメ」当て嵌めると、大体『ジュラ紀』が地球上に現れてからの、今日日の白黒テレビや洗濯機が巷に登場し始めた辺りの期間。この“期間”×七〇〇京=が“トキ”に成る、そんな感じな時のトキ。
****肉体を亡くした(民族によっては“肉体”と云う概念を持たない宇宙人達も存在するのよ)各宇宙人の『意識』は死後、宇宙空間に点在する各『職業安定所星』へと飛ばされてさ、転生の順番待ちで『職業安定所』に一列に並ばされるの。其処では『宇宙絶対神』が全ての『意識』を常に監視してて、横入り等の“ズル”をした『意識』は瞬間で消される羽目になるの*********。皆んな怖いわよね?..視覚化する事が出来ない透明な『意識』が故に、ゴロウちゃんの『職業安定所』裏側から跨いだ左足が、正面で並ぶ『意識』達の行列を空中から「グシャ!」踏み付けてしまったの(犠牲者は私ことミチヲなり)。——ミチヲ談
*****『意識』達の、ゴロウが視覚的に認識する事が出来ない透明な行列を、今回は文章でモッテ忠実に再現!敢えて一本の文章を『、。“”』句読点濁点省いて、一列のギュウギュウに詰まった行列を表現させてみました。——作者談
******職業安定所の様相は各惑星で様々。今回の“第五億職業安定所星”の職業安定所の舞台は、地球人読者にも御馴染みの“太陽”を無断且つ違法に拝借。定めし今作『ペロ。』の作者も、来世は期待出来る様な転生を授かる事がチト厳し!何故ならば“宇宙絶対神”は見て居る。もしも来世の転生に期待を賭けたいので在れば、“一日一善”。この四文字熟語を読者の皆さんに是非実践して頂きたく候。
*******地球人民族の一般常識だと、一般的宇宙人の肌の色は“ミドリ”と在るが、そもそも“緑色”とは宇宙世界の中で、一体ドウ云った“色”を指して居るのか?先ずは考えて頂きたい。ゴロウが発言した“透き通った肌色”、この配色がモシカシテ『宇宙世界』では“ミドリ色”、と云う解釈なのかも知れないし、本当に“透明色”なのかも知れない。
********宇宙色にも、実は様々な“漆黒色”が『黒』を色彩の軸とする宇宙世界には存在。『くろ、クロ、黒、真っ黒、真っ暗、真っ黒けっけ、真っ黒ケッケ、真っ暗けっけ、真っ暗ケッケ..』など其の種類は、読者の皆さんの捻くれ具合次第!
*********『意識』が宇宙空間から完全に消え去る事を意味して、彼等が未来に生まれ変わる事は永久に無いの。要するに未来が無い未来を生き続けるの。“永久**********”じゃ無くて、“永遠***********”と云う表現も可よ!
**********永久的に肉体に苦痛を覚えながら死ねない、自決する事も永遠に許されない..って想像してご覧。こう云う事よ。
***********永遠に精神に異常を来して廻りから理解されず、永久的に独りぼっちで生き続ける..って想像してご覧。こう云う事よ。
「皆さん、如何でしたか?*から始まって***********まで続いた補足の長旅!小馬鹿にされてる様でチト、(イラっ)っと来た読者もチラホラと居らっしゃるのでは?確かにコレは作者からの嫌がらせ!では又何処かデお逢い致しましょうね。ミチヲ」
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