第11話 事故

その時、階段を勢いよく駆け上ってくる音がした。


「崇斗!」


おじさんが慌てて部屋に入ってくる。私も崇斗も驚いていた。


「何?急に」


普段、おじさんが崇斗の部屋に近付くことはあまりない。だから、それがただ事ではない事を感じた。


「陽斗が…自動車事故で…死んだ…」

「…え?」


衝撃の告白に私達は固まった。なんて、言った?


「玉突き事故らしくて…トラックに挟まれて…」


私は咄嗟に口元を押さえた。驚きとショックで動悸がしたのだ。


「あと…言いにくい事だけど…同乗者に」

美緒みおが乗っていた?」


冷静に続ける崇斗。

(なに?これ…。どういうこと?)


崇斗は変わらず冷静を保ちながら淡々とおじさんに確認をした。


「…美緒さん?…ここに来るところ…だったの?」


美緒とは、崇斗の奥さんで優斗の母親だ。

なので、陽斗の車に同乗していても不思議ではなかった。


「ここに来る予定はなかったよ」


どこか遠い目をしている崇斗。私はそれがとても気になった。


「とにかく、病院に行くぞ」


おじさんが崇斗に声をかける。


「悪い芽衣、優斗の事お願いしても…」

「良いよ、行って来て」


私は今晩、この家の留守を預かる事になった。

気になる事が多々あるけど、今はそれを質問する事はできない。


落ち着いたらきっと崇斗が話してくれるだろうと、待つことにした。


落ち着かない…。かなり頭の中はパニックだよ。


(一体…どういう事なんだろう…)


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