第6話 失敗

緑川両親と私の両親が一緒にお祝いと称して我家で晩酌していた。ドンチャン騒ぎで私が抜け出した事にも気付かず…深夜まで盛り上がっていた。

その時にカラッポだった緑川の家で事におよんでしまったのだ。


キッカケは…親達の相手をして飲みすぎた私。

外の空気を吸うのに外に出たら、偶然そこに陽斗が帰宅して来て言葉を交わしたところから。

かなり私も酔っ払い状態だった。


崇斗が恋しくて、欲しくて…。欲望が抑えられなかった。

言い訳するなら、弱ってたんだよ。こんなにも依存してるなんて思わなかったから。

現在いま程ではないけど、あの頃も…凹んでいたから。


酔っていたせいもあて…崇斗に似て見えて、思わず寄り添ってしまっていた。

その気になってしまったら、そこからはトントン拍子に進んでしまった。

 

あの時の記憶は正直曖昧で、陽斗とシているはずなのに崇斗の様に思えて…夢と現実が行ったり来たりしている感覚だった。


正直陽斗だった自信もない。

ただ、崇斗が私とお酒の勢いでするような性格ではないし。そもそも成人式の時には今の奥さんと付き合っていた。

だから陽斗だとしか思えないのだ。


私が自信のない理由はもう一つ。事後、私が目を覚ました時のせい。


気配を感じて微睡まどろみから目を覚ますとリビングには陽斗と崇斗の二人が別々の場所にいたのだ。

凄く空気が重くて急いで肌蹴た身なりを整えた。どれくらいの時間が経過していたのか…。

二人とも既に部屋着に着替えていたから、余計にわからない。

その場の空気に居心地が悪くて、私は逃げるように家に戻った。


「あの頃が一番、似ていたよね…」


私はボソリと呟いた。 

私の中では崇斗だったから、初めてなのにも関わらず無我夢中に求めた。

多分何度も崇斗の名前を呼んだ気がする。


「陽斗に申し訳ない事したよね…私」


申し訳なさで項垂れていると、窓の外から声がした。


「何が?」


そこには窓に肘をついてコチラを見ている陽斗の姿があった。

いつの間にそこにいたのだろう。全く気が付かなかった。


「陽斗、何しているの?いつの間に?」

「ん?いや…芽衣ちゃんが落ち込んでいる様に見えたから気になっただけ」


満面の笑顔で優しく声をかけてくれる。


「私は…大丈夫…だよ」

「そう?」


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