第31話 ドSな令嬢バニラ Ⅲ



「フハハはははっ、どうだいバニラ気分は」

「どうもしないわよ糞勇者。わたくしをこんなおかしな場所に連れ込んでどうするつもりなのかしら?」

「お前の感じるままに身を任せるんだ」


 自分の意思をしっかりと持っているバニラは、密会に引きずり込んでも中々性欲が高まらない様子だ。


「わたくし、頭がおかしくなりそうですわ」

「ああ。すぐに抗えなくなるぞ。人間の三大欲求は強烈だからな」

「……」


 バニラは完全に黙りこんでしまった。

 下を向いてしまっているから表情も確認できない上に、何やらぶつぶつと独り言を言ってる気がする。


「……」

「ん? なんか言ったかー?」

「貴方、そこのベッドに仰向けになりなさい。これは命令よ」

「へっ?」




 バニラ様の指示通りにベッドで仰向けに大の字で寝て、ゆっくりしてたんだけどさ、気付いたら馬乗りになって僕の上に乗っかってるんだわ。

 もうびっくりしたよ。

 乗っかってるだけならまだいいんだけど、微妙に腰揺らしてきちゃって焦るよねほんと。

 服の上からだけど、股間と股間が合体決め込んじゃってるんだ。

 次にいきなり僕のズボンを下ろし始めて、ボクサーパンツのモッコリした部分を触ってくるんだよ?

 酔っ払いの背中を摩るように、優しく優しく撫でてくるんだ……。

 愛撫ってくるんだ……。

 更に更に僕の大事な逸物を隠すためのボクサーパンツをさ、思いっきり剥がしてきて、すんごい顔で股間を見てたんだ。

 そんで、おもむろに美しい手をクネクネさせながら触診してくるのよ。

 当然僕も男の子だから、やっぱり下腹部の蛹が羽化しちゃってて、それはもう凄まじい勃ち方だったんだ。

 だって始めて直で触られたんだもん!

 ママにも触られたことないのに……。



 回想終了。



「ば、ば、ば、ば、バニラさん!!」

「何よ。わたくしが調教してあげてんだから静かにしなさい」

「ちょっと、も、もう限界……発射しちゃって良いですか?」

「もう少し堪えなさい。まだ舐めてないのよ」


 シローナとはまた違った攻めを受けているのだが、こっちは直でチ◯コに触れてくるからタチが悪い。

 人に触れられるのと自分で触れるのとじゃ訳が違うな。


「どうかしら! わたくしのテクニックは!!」

「ああ、凄いよ。アンタは凄い」

「もっと褒めなさいよ勇者アルト。貴方はもうわたくしの従順な奴隷なのだから」


 ようやく俺の東京タワーを握りしめた手を、上下に動かすことをやめた。

 もはや俺の股間は少し触れただけでも何かが出てしまう勢いで、既に我慢汁が大量に噴出されている。


 バニラは自身の長い髪の毛を後ろにもっていき、口でくわえやすいような体勢を作り始めている。


 徐々に美しいお顔が俺の股間へと近づいてくる。

 プルンとした唇を開け放ち、中からうねうねとベロを出しながら舐め回し始めた。


「いやーーー、もうお婿に行けないーー」

「もっと感じちゃっていいのよ。わたくしがちゃーんと搾り取ってあげるわ」


 そして、俺は…………白い液体を口内に発射し、一人で絶頂を迎えた。


 閉廷。



「お帰りなさい。今日はどんなエッチな事やってたのですか?」

「今日は責められてた……なんか全てを失った気がするよ」


 好き放題やってはいるものの、未だに童貞を貫いている俺だが、また一歩大人の階段を駆け上がれた気がする。


 満足そうな顔をしたバニラが、少しだけ和らいだ表情で話す。


「今回は貴方に免じて、この従者は解放してあげましょう。感謝しなさいな」

「おぅ、助かるよ!」

「ふんっ。あの部屋に行くと、感情がコントロール出来ませんわね」

「まあ最高に気持ちよかったよ」

「……また今度誘いなさい。これは命令よ」


 ドS令嬢バニラを仲間に加えることに成功した。


【バニラ】

【親密度:MAX】


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