第27話 吟遊詩人リディア Ⅳ



「リディア〜頼むって〜」

「何でウチが行かなきゃなんねーんだよー!」

「後でご褒美やるからさ〜」

「な、何だよご褒美って……」


 今日はリディアをパーティーに呼んでピチピチ水着コンテストに出場してもらう予定だ。

 優勝賞金はなんと五百万ゴールドという大金である。


 現時点で最もナイスバディなお姉さんと言えばリディアをおいて他には存在しない。

 シローナも良い身体付きはしているが、アイツを出場させるのはリスクが高いのでパスさせてもらう。


「ウチあんな恥ずかしい水着着れねーよ。ほぼ全裸じゃねーか!」

「ばかっ、大事な場所はちゃーんと隠れてるよ。公衆の面前で晒すのは御法度だからな」

「お前がどうしてもって言うなら仕方ないけど……」

「リディアなら優勝できるからがんばっ!」


 こうして何とか吟遊詩人の露出魔リディアの説得に成功した。


 今日履かせる水着はとにかく強烈で、Tの部分がとんでもなく細い激エロ水着を用意している。

 中身を出すのはNGなもんで、ギリギリラインを攻めて、審査員のおっさん達を釘付けにしてやろうと思う。


「ところでリディア。最近は城の風呂には入ってるのか?」

「お前がいるかもしんないから入ってねーよ」

「居ても良いじゃん」

「犯罪者の考え方だなお前……」


 流石の俺でもエリシアに注意されたから行かないよ。

 次バレたらもう確信犯だからね。

 親密度は一気にゼロになる可能性が高い。


「最近エリシアとは会ってるのか?」

「エリシアの奴忙しいからなー、ウチとは中々予定が合わないんよね」

「へぇー、まあ今度相手してやってよ」

「ウチも久しぶりに遊びたいんだけどなー」


 折を見て会わせてやってもいいかな。

 余計なこと口走らないことを祈るぜ。



 ◇



『本日もやってまいりました水着コンテスト! 数々の美女達の頂点に立つのは果たして誰なのか?』


 俺とリディアは、カリュナイヤ海岸のビーチで行われる水着コンテストに参加している。


「おいっ、本当にこれ着るのかよ。ウチはこれでも正統派の吟遊詩人なんだぞ!」

「だからこそだろ? そのギャップなんだよ大事なのはさー」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る