第28話 吟遊詩人リディア Ⅴ


 ついに開催を迎えたピチピチ水着コンテスト。俺たちの最終的な目標は優勝して賞金を勝ち取ることだ。リディアには超セクシーで大胆で極端な水着に着替えてもらっている。


「アルト待たせたな!」

「来たな……ってうわっぁああ!!」

「何だよお前その反応は!!」

「すまん、つい、その、凄すぎて」


 実際に水着を着させるとボインで変態染みた、如何にも見せる気満々の水着姿となったリディアちゃんがいた。

 とにかく猛烈にエロいとしか言いようがない。


「そんな格好で街中歩いてたら捕まるぞ」

「歩かねーよ!!」


 少し恥じらいを見せていたリディアだったが、しっかりと隠れてはいるので、すぐにやる気を出し始める。


「二人で賞金を掴み取ろう!」

「こうなったからにはやってやんよ! ウチの美貌を見せ付けてやる!」

「頑張ってね!」

「じゃあ行ってくる!」


 今大会は、特別な審査員が五名と観客約百人の投票をもってして、大会の覇者が決定される。


 冒険家業に疲れ果てたこの俺には打ってつけの目の保養となる大会だ。

 なんせ色んなタイプのピチピチギャルが目の前で拝めるんだからな。


「そろそろ始まるか」


 大会主催者の司会がマイクを持ちながら、一人目の登場を促した。


『今回は一人目からとんでもない人物が登場致します!! それでは一人目の挑戦者に入場してもらいましょう!』


「ずいぶんと持ち上げるじゃん。そんなすごい選手なのか?」


 舞台裏から歩いてくる一人の麗しき女性。

 ま、まさかあのお方は……。


「エリシアちゃん?!!」


 な、な、な、なんでこのコンテストに出てるの!!

 今日朝早く何も言わずにどっか出かけたと思ったら、まさかの水着コンテストに出場していたとは驚きである。

 エリシアちゃんがあんなに肌を露出させているのも珍しいが……。


「美しすぎて素敵すぎてエロい……」


 水着なので露出度が高いのは当然なのだが、エリシアらしく、隠す箇所はしっかり隠れている。

 下はフリフリなスカートタイプの可愛らしい水着で、上は谷間が若干見える程度の刺激が低い物となっている。


「さすがはエリシアちゃん」


 エリシアはぺこりと頭を下げて自己紹介を始めた。


「わたくしはエリシア・モンテローズです。今回は夏に開催されるこのコンテストを活気付けようと、恥ずかしながら参加致しました。どうぞよろしくお願いします!」


 自己紹介が終わるとエリシアは様々なポーズを披露していく。

 あまり大胆なポーズこそないものの、普段では確実に見る事が叶わない、水着姿のエリシアを拝めるのだ。


「可愛いがすんごいぞ!!」


 脇があんなに綺麗で、脇フェチの俺からしたら最高過ぎるご褒美だよ。

 白く透き通った素肌に健康的なボディライン、どれを取っても超一流。

 さすがはディルナッド戦記のメインヒロインと言ったところか。


 一回戦から観客の声援が凄まじく、コンテストは大盛り上がりを見せる中、エリシアは退場していく。


「てか何でエリシアちゃん出てるのよ。これじゃどっちに投票すればいいか分からないじゃん!」


 とりあえず最後まで見てから判断しても遅くはないんだ。

 確かリディアの番は最後だから、残りもじっくりと女性の水着姿を眼福しながら決めよう。


 様々な美女達を眺めながら、ついに最後の女性が壇上に姿を表す。

 リディアのドギツイ水着を前にした審査員達は、目を鱗にしてマジマジと観察していた。


『こ、これはすごい迫力の水着ですね。何というか……大胆で豪快です』


 そのとてつもないエロさに観客達は釘付けになっていた。

 前後左右あらゆる角度から見物しようと、皆が位置を移動したりと忙しい雰囲気だ。


「エロに勝るもの無しだな。全く下品な連中だよ」



 ◇



 全員の披露が終わったところで投票の結果が発表される。


『水着コンテスト優勝者の発表です! 優勝は……エリシア・モンテローズ様です!』


 結果的には、エロさを追求し過ぎたが故に票は伸びず、エリシアの健気な姿に心を奪われた人が多かっただけだ。


「惜しかったな」

「エリシアが出るとか聞いてねーよ!」

「結局賞金はなしかぁ」

「もっと正攻法でいかないと無理だろ。次はもっと可愛らしい水着を用意するんだな」


 その後、エリシアは賞金を全て寄付した事で、王女としての人気はますます上がることとなった。




 

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