第25話 転生JKミユキ Ⅲ



 シローナとミユキを寝室領域へと引きずり込んだのだが、予想していた通りの展開となってしまった。


 勇者独占欲の強いシローナが、何とミユキの衣服を剥きにかかっている……らしい。


 今回に限って言えば、俺は一切の手出しはしないし、目視もしないつもりだ。

 多少の声かけはするが、あくまでも聞きに徹する。

 シローナの回復の為には致し方ない状況だから許してくれ。


「勇者様をNTRするとはいい度胸です。まずはそのマントを剥がしましょう」

「待ってってばシローナさん! 落ち着いて話せば分かります!」

「問答無用です!」


 寝とられた覚えはないんだけど、過剰に妄想を膨らませてる。

 多分だけど馬乗りになってそうだな。


「きゃゃぁぁあ!! そんなとこ引っ張ったらマズイですって!!」

「大丈夫です。なるべく優しくしますからっ」

「あっ、私のマントが————」


 女同士の争いは怖いな。

 あの戦いには関わりたくはないんだ。


「何だか固いですね。ボタンですか」

「それシャツのぼーたーん!! 何やって……外しちゃってんですか!」


 ……。


「もう少しですね」

「キャっ……ちょっと本当にヤバいですって! ブラが出ちゃいます!」


 …………。


「シローナさぁぁぁん! そんな引っ張ったら、はだけちゃいますよ!!」

「開放感を感じてるんじゃないですか?」


 ………………。


「きゃぁぁ、シローナさんキャミ脱げてます! 私そういった趣味はありません! 勇者様助けてぇぇぇ!!」

「今勇者様って言いましたね。様を付けていいのは私だけです」


 ……………………。


「うっ、私もうお嫁に行けなくなりそうです……」

「心配しないで下さい。私も女ですから」


……………………………。


「待って待って、おっぱい出ちゃう! お願いだからそこだけはっ……」

「結構大きいんですね」


 …………………………………。


「あっっ……私の、あぁっちょっとそこ、シローナさん!! ポロって……」

「綺麗な色してるんですね」


 ………………………………………。


「きゃぁぁっっ、シローナさんもう……あぁ……」

「私よりも大きいですね。許せません」


 ……!?


「上は元に戻してあげます」

「女の子だからいいですけど……こんな破廉恥なことは辞めた方がいいですよ!」


 そうだ。

 お前のやってることは相当危ない。

 

「えっ!!? 待ってほんと待って! そっちは本当に洒落になりません!!」

「ベルトが引っかかってます」


 そろそろヤバそうだな。


「ちょ、ち、ちょっと貴方どうかしてます! パンツ……待ちなさい!!」

「意外です。彼氏に見せたかったんですか?」


 参加したくなってきた。


「きゃぁっ、ちょっと!! もう半分いってるんですけど! 待っ……見え、見えちゃってますって!!」

「綺麗なんですね。処女なんですか?」



 ————————閉廷。


 

 コイツをあの空間に入れてはダメだ。

 興味本位で引き込んだのは俺の失態だったよ。

 

 シローナに言われなくても、ミユキが未経験なのはわかってるからな。

 綺麗だの何だのは童貞の俺には理解できない範囲だから。


「お前なーやり過ぎだぞ!」

「だって……勇者様を寝取ろうとしたのでつい……」


 つい……じゃねーよ全く。

 シローナのお陰で多少楽しめはしたが……。


「はぁはぁ。なんて辱めでしょうか。だけど……上手く言えないのですが……そこまで悪い気分ではありませんでした」


 シローナに半ば襲われたにも関わらず悪い気分ではなかったらしい。

 密会の力はどんな女にも作用するからな。


 結果としてこの地に転生した冒険者は、シローナの暴挙によって堕落してしまった。

 まあミユキは元々真面目な人間だから、これ以上酷くはならないだろう。


「あのー勇者様? 先ほどは失礼な事を言ってしまい申し訳ありませんでした」

「気にしないで。ミユキも折角異世界に来たんだから、俺と一緒に魔王を倒そうね!」

「了解しました! 全力でお供致します!」


 近接タイプの仲間が増えたな。

 剣技を扱うヒロインはいなかったから、どこかで役に立つかもしれない。


 そろそろ緊急ミッションも発令される頃合いだと思うから、事前に準備しておいて損はないだろう。



 ◇



 俺たち一向はギルドに足を運んでいた。


 冒険者達が受注できるミッションの一覧を確認するために、大きなモニターに映る数々の依頼を見て回る。


「まだ先だったかな、そろそろ張り出されてもいい頃だと思うんだが」


 一緒にモニターを見ていたミユキが口を挟む。


「緊急ミッションですね」

「世界に二つと無い幻の武具。オリハルコンの剣が手に入るイベントだ」

「私も欲しくなってきちゃいました」


 大剣使いのミユキに取っては、喉から手が出る程欲しい代物だろう。


 既に無双状態ではあるが、やはり勇者の冒険にはロマンとエロが必要不可欠なんだ。

 俺は上記二つを常に追い求めていく。


「まだ発令はされてないから、ミッション出てきたら呼び出すからよろしく!」

「了解しました。それでは私達はこれで失礼します」


 ディルナッド戦記のエリシアを愛するJK転生者、ミユキを仲間に迎え入れた。



【 ミユキ 】

【 親密度 : MAX 】


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る