第22話 魔女エレナ Ⅴ


 


 常軌を逸した欲望まみれの写真撮影がカリュナイヤ海岸にて執り行われている。


 後ろ姿でおっぱい丸出しの状態のエレナ。

 マロンベージュの長い髪が、肌色とマッチしていて似合っている。

 必死で胸を寄せて隠そうとする姿がウブで愛らしい。


 さて、残っているのは一番大事な場所を守るための下着のみだ。

 今まで体験した中で一番過激である。


「アンタだから……ここまでやってあげたのよ……誰にでも見せる訳じゃないんだから……」


(可愛すぎ可愛すぎ!! 振り返って後ろを見る顔とか尋常じゃない!)


「よし。ラスト行ってみようか」

「どスケベ……変態魔神…………じゃあ……行くわよ」


(あァァぁあああっ、興奮死にしそう)


 よくよく考えると、むしろ後ろ向きってヤバい気がしてきた。

 多分前向いてる時よりガッツリ見えちゃうよね……。

 知らんけど……。


 エレナは後ろ向きの体勢のまま少しだけかがんで…………下ろし始める。

 


 ————— !!!???



 ————完全に下ろしてしまった。


 産まれたばかりの赤ん坊のような、一糸纏わぬ

姿に変わり果てたエレナ。

 ビーチには人がほとんどいないが、仮に見つかった場合は勇者といえど懲役刑は免れない。


 両手で後ろの大事な部分と胸を隠す。

 プルんとした張りのあるお尻が可愛らしい。

 日差しの影響で光が反射しているように見える。


 ……そんなことよりも。

 俺はついに見てしまった。

 不本意とはいえ、見えてしまったんだ。

 禁忌中の禁忌であるアソコを……。


 事故ではあるが、本気で謝らなければならない。


「え、エレナさん。本当にごめん!!」

「何よ今更……」

















「エレナが少しかがんだ時————ほんの少し……ほんの少しだけ……中身が見えてた……」

「……そ、そうなのね……ど、どうだったのよ……初めて見た感想は……」


(言えないよ! 完全に18禁だよこれ!!」


 感想を聞いてくるって、どんな思考回路してるんだ。

 この質問には動揺せざるを得ないだろ。


「さ、撮影しないとだよな! アハハハ……」


 兎にも角にも、人生初見の瞬間だった。

 見えている世界が反転するかの如くグルグルと同じ映像が回っている。

 もはや立っているのも精一杯だ。


「撮るなら早く撮りなさいよ。さっさと済ませて帰るわよ!」

「了解! ミッションを完遂しよう!」


 大人しく写真に収まることを許可してくれた。

 とにかく撮ってしまおう。


『パシャ!』


 うんうん。

 よく撮れてるし充分満足できたかな。


 俺に取っては充分すぎる程の大収穫なのは間違いないが、あの神がこの程度で納得するのかな。

 仕方がないから、もう少しだけエレナにおねだりしてみよう。


「じゃあ次は、自分が思う一番エッチなポーズよろしく!」

「はっ、はははははぁぁぁぁあ??!!」

「どうしたんだエレナ。早くやりなさい。俺の奴隷になる約束だっただろ」

「ただでさえ動けない状態なのに……無理に決まってるじゃない!!」


 約束は守らなければならない。

 幼い頃に魔王から教わらなかったか?

 絶対に嘘は付いちゃダメなんだ。


 エレナは当たり前過ぎる言葉を俺に投げかけた。


「アンタって頭おかしいでしょ? 脳みそ腐ってるんじゃない?」

「俺の脳は勇者になった瞬間に溶けちゃったのさ!!」

「開き直ってるわね……まあいいわ。仕方なくやってあげるわよ。アンタには借りがあるしね」


(拒否しなくていいのかよ!)


 半分くらい冗談で言ったつもりなんだけど。

 悪い方向に染まりきってるなこりゃ。


 エレナは肘を曲げて右手を後頭部へ持っていく。

 右側の横乳が見えてしまっている状態だ。

 俺がほんの少しでも横にズレれば、圧倒的に見えてしまう。

 ここは欲望を押さえ付けなければミッションの達成は難しい。

 エレナの雷魔法に直撃すれば人溜まりもないだろう。


 さすがに下は隠したままだが、腰を少しくねらせて、グラビアアイドルの様なポーズを取ってくれた。

 後ろ向き全裸で。


(もうエロ過ぎて気絶しちゃいそうだ)




 ……とりあえず撮れた。

 撮ってどうするんだという話ではある。

 ゲームオーバーになる気は毛頭ないんだし。


 何らかの方法で神に会う機会があると信じたい。

 そしたら魔女のほうきと交換しに行こう。


 頑張ってくれたエレナには労いの言葉をかけてやらないとな!


「お仕事の時間は終わったよ! お疲れ様!」

「アタシのを生で見といてよく平然としてられるわね!! 軽く変態通り越してるわよ!!」

「それ程嫌がってなかったじゃん」

「まあ……アンタなら……許してあげなくもないわね」


 もっと過激な撮影も可能だろうが、今日はこの辺でお開きとしよう。


「じゃあ先帰ってていいぞ!」


 エレナを先に帰宅させ、しばらくビーチでのんびりしていると……。


 

 ◇



「……???様、発見しました。ターゲットは砂浜に座っております!」

「了解です! 今すぐ討伐に向かいます!」


 騎士を連れて突如乱入してくる一人の剣士。

 もしかしたら魔女のほうきは必要ないかもしれない。

 転生者を探す手間が省けて、こちらとしても願ったり叶ったりだ。


 果たしてこの人物は本当に噂のJKなのだろうか??


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