第19話 ヤンデレ娘シローナ Ⅱ
「我が寝室領域へようこそ」
「……」
欲望渦巻く寝室へシローナを招待した。大きなベッドの中心に座る二人の間には沈黙が流れている。
その沈黙を切り裂いたのはまさかのシローナだった。
「はぁはぁ……お願いです。私のことを……ちゃんと見て……下さい」
俺の手はシローナの頭のテッペンに置き、上から髪の分け目を間近で見下ろしている状態だ。女の子の髪を眺めるのが好きだから、これだけでも結構きてる。
「しっかり眺めてるから大丈夫だよ」
上からじゃ足りないとばかりに首を横に振りながら頭を上げる。
俺は少しずつ頭の頂点から前髪へ。前髪から顔の正面へと視線を移動させる。だけど前髪で隠れてしまって瞳がはっきりと見えない。
「私の前髪を上げて、目を見てください……私の顔を見てください」
さっきまでしゃべることすら碌に出来なかった女の子が、急に積極的な姿勢をみせている。
ここまで効果が現れるのが早いとは……。鬱憤が溜まっていればいる程に堕落するスピードは早い。
俺は目にかかっている前髪を上げるために、おでこに手を通した。
「ほら、顔しっかり見てあげてるだろ?」
シローナの瞳はウルっとしており、目尻が大幅に下がっていた。頬を少し赤らめて僅かに微笑んだ表情で誘っている。
「もっと……もっと近くで見てください。私だけを見てほしいんです」
「わ……分かった」
その顔は陰鬱な女の子の顔ではなく、部屋に引き込んだ瞬間に堕落してしまった、まさに愛に飢えた一人の女だった。完全に二人きりのこの状況に満足しきっている。
(ゴクり……)
何かを求めるその表情には迷いが一切感じられない。絶対に逃さないという強い意思さえ伝わってくる。
俺が少しだけ目を逸らした瞬間を見逃さず、鼻の下を長くしながら語りかける。
「やっぱり顔だけじゃ満足できませんか? そうですよね。勇者様だって男の子ですもんね」
近づいていた顔が離れ、上に羽織っていたカーディガンを脱ぎ捨てる。細い紐によってギリギリ繋ぎ止められている黒のキャミソールがあらわになった。
明らかに胸のサイズに合っていないキツそうなキャミソール。首から胸元、肩から手まで、透き通った素肌を惜しみなく披露している。
もはや拝む場所が多過ぎて困惑しているのだが、それどころではなく……事件は起こってしまう。
「あっ……」
右肩にかけられていたキャミソールの紐がどんどんズレていき…………ポトんと落ちた。
俺の目線は一瞬にして胸元へと向けられる。
(微妙に見えないのが嫌らしすぎる!)
「勇者様は、顔よりもこっちの方が興味あるんですね。いいですよ。これで私のことだけを見てくれるなら……」
わざと肩の力緩めて落としたよね。谷間がかなりはっきりと見えている危なげない状況だし、反対側の紐も落ちたら解放されてしまうじゃないか。
「シロちゃん、大丈夫だよ……もうほとんど見えちゃってるから」
ここまで積極性が高くなるとは思ってもみなかった。今までと違って向こうからグイグイ来るパターンは初めてだしな。
「勇者様って意外と怖がりなんですね。本当は、もう片方の紐も外したいくせに……私のおっぱい見たいくせに……」
この子はとにかく俺に見せなきゃ気が済まないみたいだ。自分だけを見てほしいという願望がヒシヒシと伝わってくる。
シローナはキャミソールの紐に指をかけてゆっくりとズラしていく。俺の顔を観察しながら……まるで誘惑するかのように……。
「待って待って! それ以上はさすがに……」
シローナが途中で手を止める。
「見るのが怖いんですね。だったら直接触って私の存在を実感してください」
「えっ?」
「見るのが怖いなら目を瞑ってくれますか」
言われるがままに目を閉じる。真っ暗で何も見えないが、シローナが俺の手を取ってどこかに誘導しているのがわかった。
(えっ……何この跳ね返るような厚み……)
触れたことのない物体がどんな感触なのかは知る由もない。だが、俺にはその物体が何なのか瞬時に理解した。
(これ完全に直で触れちゃってるよね?)
「あぁっ……勇者様の手が私のおっぱいにくっ付いて…………直接手の温もりを感じられます」
何とも例えようのない手触りに俺は我慢の限界を迎え————揉んでしまった。
(すごい弾力だ……)
「あぁんっ……勇者様……やっぱりそういう事……したかったんですね……」
手探り状態ではあるが、思いっきり掴んでしまった。人生初のお触りをここでやらかしてしまう。
「あんっ……もっと……揉んじゃっても……いいんですよ……」
(変な声出しちゃってるよこの子!)
「もっと私を感じてください。指を開いて……手前の方へ進んで……動かして……」
指を突き立て上下に軽く動かしてみる。
(なんか突起物が……立っ……)
「あんっ……摘んじゃってもいいですよ……」
乳首を摘ませようとするシローナに対し、思わず手を引っ込めてしまった。
「もう充分シロちゃんを感じれたよ……! シロちゃんも俺の温もりを実感できただろ?」
「——————おっぱいでも満足できないんですね」
「えっ……」
拒絶されたと感じたシローナは、全く満足感を満たせていなかったようで、今度は別の場所に俺の手を持っていく。
「ここ……どこだと思いますか?」
「脇腹じゃないかな……」
「さすが勇者様、正解ですよ。じゃあ次は……ここはどこだと思いますか?」
「えーっと……おへそじゃない?」
「正解です。次はちょっと勇者様には難しいかもしれませんが…………ここは……どこだと思いますか?————————」
どんどん下に向かってる……おへそから下って……もう一つしかないじゃん……。
いやいや……そこ触っちゃったらマズイよ! そりゃ幸福だけど、限度ってもんがあるんだ! ある程度段階を踏まないと……!
くそっ、このままいくと間違いなく純血を奪われる。エリシアの手前……それだけはできない!
————————閉廷。
【 シローナ 】
【 親密度 : MAX 】
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