だいぶ早咲きの百合

ねこのて

一話

 9月、「暑いぃ…」と嘆く友人、ふと窓を眺めると、想像もしたくないほど熱いであろうグラウンドで、各々が羽を伸ばしている。

仕方がない。動いていないと、暑さでどうにかなってしまうのだろう。あいにく、売店には熱々で甘々のおしるこ位しか売ってはいないだろうし。

そして私は夏なのに、クーラーの付かないような教室で数少ない友人、由実(ゆみ)と雑談をしている。

 でも、私は今、とっても気持ちが良い。

夏の暑さもどこかに消えてしまうほどに。

 お、彼女が暑いグラウンドから、いくらかマシな教室へと帰ってきたようだ。

そして窓際のいちばん後ろの席。私たちのもとへと近づいてくる。

 「「おつかれー」」私と由実は口々に、隣の席に座った、私の数少ない友人2人目、いや、つい昨日、恋人になった、奏(かなで)に言った。

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だいぶ早咲きの百合 ねこのて @April_first

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