第二十二話 二分の一

 リハビリ期間に予習していたおかげで授業中はだいぶ暇だった。

 座学において復習も重要だって事は知っているけど、俺にはそれよりも優先する事があった。


 ——よし、イメージは出来る。予想では可能だと思うけど、習得には多少は掛かるかな。


 もう一段階上の実力を身に付けるために考えている事。

 理論上は出来るはずだ。あとは訓練するだけ。授業中にやるわけにはいかないけど、イメージトレーニングはやっておいて損はないはずだ。


 授業中の間、俺はずっとイメージトレーニングを続けていた。

 一番後ろの席だからか、目を瞑っていてもバレる事はなかった。


 ちなみに斜め前の席に座っている金髪の男は、真面目に授業を受けているように見えた。

 ちょっとギャップがあって面白いとか思っちゃダメなんだろうね。


 午前の授業が終わり、午後の部が始まる前にはお楽しみのお昼休憩時間だ。

 ……そう、お楽しみの予定だったんだけど……。


「どうして貴方がここにいるのですか? 場違いですので早く何処かに消え失せて欲しいのですが」

「俺が何処にいようと俺の自由だ。テメェに指図される謂れはねえ」


 食堂で別のクラスになった小泉と合流し、三人でお昼を食べようと思っていたんだけど、何故かついて来た男が一人。何を隠そう白夜だ。


 俺たちが先に席を確保し後から小泉が来たんだけど、開口一番がこれである。明らかに敵意が込められている。この二人、何かあるのか? 昨日の一件を除けば初対面じゃなかったっけ。

 ……あ、もしかすると常関係かな? 私は隣のクラスなのに隣の席なんてズルい、みたいな? そんな感じじゃないかな。小泉の事だし。


「まあまあ小泉。白夜は白夜だから気にしない方が良いよ?」

「……どういう意味ですか?」

「クソガキはクソガキでしかないんだから。イライラするだけ無駄って事」

「……良くもまあ本人の前でそんな事が言えますね。それに貴方もどうして無反応なのですか?」

「うるせえ」


 俺と白夜の顔を交互に見た後、最後に苦笑いしている常へと視線を向け、ため息を一つ。

 何かを諦めたかのように座った小泉。当然のように常の隣なんだけど、正面には白夜が座っている。これ、大丈夫かな。


「志季さんは気にならないのですか? 貴方を殺そうとした相手ですよ?」

「まあまあ、俺なら大丈夫だって思ったって事じゃないかな」

「……志季さんは彼の魔操術を知りませんでしたね。一応確認しますが、話しても良いですか?」

「好きにしろ」


 そっけなく小泉に返すと切り分けたステーキにフォークを突き刺す白夜。切ってはいるけど一口がデカい。それにステーキ単品ってマジ? ご飯が欲しくならないのかな。


 俺は肉を食べるなら白米が欲しくなるね。肉の旨みとソースの美味さによってごはんの山へと導かれる。最高のハッピーエンドだ。


 そんな俺の気楽な思考を置いて、小泉は真剣な表情をして続けた。


「地古さんが発動しようとしていた魔法は十中八九彼が得意としている術[審判のジャッジメントレイン]です。そうですよね?」

「正解だ」

「……殺す気でしたよね?」

「いいや、そんな気は欠片もねえ。ただ教えてやろうと思っただけだ。格上のレベルをな」

「善意だとでも言うつもりですか?」

「さあな」


 気が付けば俺を置いてけぼりにし、二人で話している小泉と白夜。

 空気は……悪いね。お互いに魔力は抑えてるけど、小泉は敵意が剥き出しだ。

 ……あれ? もしかして、小泉が白夜を嫌っている理由って……俺?


「えーと小泉、本当に殺す気はなかったと思うよ。確かに白夜はクソガキだけど、悪人じゃないと思うし、それにあの時言ってたんだ。小泉がいる事を知っていたって」

「……どういう事ですか?」

「小泉なら起動前に術式を破壊するって確信してたんじゃないかな。その上でアレを見せたんだ。敗北を確信する規模の力をさ」


 見せてやるっていうのは本当にそういう意味だったんだと思う。格上にはこういう規模の魔法を発動出来る奴もいるんだって、教えてくれたんだ。

 白夜は白夜だからね。そう考えると色々と納得出来る。


「そうでしょ白夜?」

「……知らねえ」


 あれ、もしかするとこの男。案外可愛いのでは?

 予想外の反応に思わず小泉と目を合わせちゃった。常すらも顔を背けて肩を震わせていた。


 ちょっと話題を変えようかな。魅せてくれた白夜にちょっとしたお礼だ。


「そういえば小泉の方は無事に済んだの? 朝のやつ」

「え? ああ、その件なら無事に解決しましたよ。仕方のない理由もあったのでお咎めは無しにしました」

「そっか。良かったね」

「……そうですね」


 ジト目を向けてくるけど、意外と素直だね。小泉だって後輩を罰したくはなかったんだろう。


 さてと、ギスギスとした空気もなくなったところで、それぞれがチョイスした本日のメニューを公開しようか。


 俺が選んだのは鶏もも肉の唐揚げ定食だ。

 朝食が魚だったからね。お昼はお肉をがっつりと食べたくなってこれを選んだ。

 油で揚げたお肉が美味しくないわけがなく、醤油ベースの漬けだれによって下味もしっかり入っていて非常に美味しかったです。


 常のセレクトメニューはボロネーゼスパゲッティだった。

 トマトベースのソースにたっぷりの挽肉。きっと俺と同じ理由でお肉が食べたくなったんだろうね。たっぷりとチーズをかければ満足感は青天井だ。


 小泉に選ばれたのは肉うどんだ。

 常と同じ麺類だけど、朝食に合わせたのかな。

 誰が言ったのかは知らないけど、朝食べた焼き魚やうどん、あとは蕎麦とお刺身とかは和食っていう分類らしい。常が食べてるスパゲッティはイタリアンって分類らしいけど、由来は知らない。

 それからやっぱり小泉もお肉が食べたくなったみたいだね。


 最後に白夜なんだけど、チラッと話した通り彼はステーキだ。しかも肉単品という身体に良いのか悪いのか、サラダがあれば完璧に見えるけど、それすらもない。

 本当にこの男、ステーキしか食べてない。それもダブルを三皿だ。

 実はお前も朝食は魚だったりする?


「そういえば白夜は魔族と戦った事あるか?」

「んあ? あるぞ」


 大口を開いて半分に切ったステーキを一口で食べようとしている白夜に問い掛けたんだけど、ごめんタイミング悪かったかな。


「どうだった?」

「殺した」

「……マジ?」

「とは言え俺一人でじゃねえ。実力しか取り柄のねえクズと二人掛かりだがな」

「そうだとしてもたったの二人で魔族を倒したのですか? それは間違いなく快挙だと思いますよ」

「だろうな。その実績で俺は騎士になった。クズは元々騎士だったから昇級したらしいがどうでも良い事だ」


 個人ではないとはいえ魔族と戦い、そして勝利した。

 それってつまり、白夜の実力は魔族に届くって事だよね。

 白夜を超えれば魔族に勝てる可能性が生まれるって事だ。


「ガハッ、どうやらテメェは魔族と因縁があるらしいな」

「……うん」

「魔族による襲撃だったという事か」

「そうだよ。って、そもそもみんな知らなかったんだ」


 襲撃を受けて死んだ。実際にはこうして生きてるけど、その事はみんな知っているようだった。だけど敵が魔族だった事は知られていない。どういう事だ?


「当然だな。魔族の話は基本的に遮断されているのが現状だ」

「えっ、そうなの?」

「地古さんの言う通りです。魔族とは本来我々人間では勝てない存在とされています。その被害を全て公開してしまえば、その恐怖は大勢を絶望させてしまう可能性が高いですから」

「……どういう事?」


 なんで? 危険な存在だからこそ、その情報を共有するべきじゃないのか?

 理解出来ない。納得出来ない。そんな俺に向かって白夜は口を開いた。


「志季。想像してみろテメェの隣人が魔族だったらどう思う?」

「殺してやりたいと思うけど」

「……そうじゃねえ。はぁー、大抵の奴は恐怖に怯えるもんだ。その感覚を国規模にした場合、秩序を保つ事が不可能になる。だからこその隠蔽だ」

「地古さん。それ以上は場所を選んで下さい」

「安心しろ。どうせ俺の周りに人は来ねえ」

「「「……」」」


 自虐ではないと思うけど、実際にその通りなんだよね。不思議な事に周囲のテーブルには誰も座っていなかった。

 白夜ってこんなにも恐れられてるんだ。昨日の事もあるだろうけど、凄いな。色々と。


「えーと白夜? 俺たちはもう友達だからね?」

「……くだらねえ、殺すぞ」

「志季さんを殺したら必ず私が貴方を殺しますからね」

「ほう、意外だな。まさかテメェは——」

「常ちゃまを悲しませる者には万死を送りましょう」

「……は?」


 ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべていた白夜は、小泉の言葉に目を丸くしていた。

 まあ、うん。勘違いしてたみたいだけど、知るわけがないもんね。


「白夜。小泉にそういう感情はないよ。ただの厄介オタクだから」

「志季さん? それはどういう意味ですか?」

「そのままの意味だよ。常というアイドルの大ファンじゃん」

「あはは……アイドルやってるつもりはないよー?」


 なんだか久しぶり常の声を聞いた気がする。まあずっと話題が話題だったからね。


「志季さんっ!?」

「手遅れだろ。流石にそれくらいは常も気が付いてるでしょ」

「えーと、まあ、そうだね。でもそっか、ファンなんだ。えへへぇー」

「ななっ!?」


 小泉の常への想いはファンと言ってもガチ恋勢なんだけどね。

 俺は空気を読むけど、白夜はわからない。だから小泉が常に向けている激情はそういうものだって事にしておく事にした。


 これなら常としても納得出来るカバーストーリーだと思うよ。


   ☆ ★ ☆ ★


 放課後は約束した通りに俺と水花の剣を買うべく、常がおすすめする店へと向かう予定なんだけど……水花?


「んー、眠りが深いのかなー?」

「徹夜なんて初めてだろうし、ありえるな」


 常から水花に渡している俺のスマホに電話しているんだけど、応答がない。

 使い方は教えたし、複雑じゃないからわかるだろうけど……だめだね。


「春護君、どうしよっか? 先に春護君の剣だけ買いに行って、明日改めて三人で行くっていうのもアリだと思うんだけど、それだと水花ちゃん拗ねちゃうかな?」

「別に拗ねないと思うけど? 寝坊してるのは水花だし」

「それはそうだけど……徹夜に巻き込んじゃったあたしの責任でもあるかなって。ねえねえ、最後にもう一回だけ電話してみるね。それでダメだったら明日三人で行こ?」

「うん、わかった」


 再び俺のスマホに電話を掛ける常。……やっぱり寝てるのかな。

 ——そう諦め掛けた時だった。


『ごめんなさいっ!』


 隣の俺にまで届くほどの声量で謝る水花の声が聞こえた。

 起きたのはよかったけど、常の耳は大丈夫か?


「お、おはよー水花ちゃん。正門で待ってるからちゃんと起きてから来るんだよー」

『わ、わかったっ!』

「——っ!?」


 通話は終わったみたいだけど……大丈夫じゃなさそうだね。


「常、聞こえる?」

「……き、聞こえるよー。うぅー」

「水花には後で言っとく」

「う、うん。でも怒らなくて良いからね。先に説明しておかなかったあたしのミスだよー」


 寝坊した事で焦ったのと、初めての電話でテンションが上がったって部分もあるかもしれないね。

 いや、凄い声量だった。


 待つ事二十分くらいかな。また新しい服装をしている水花が走っていた。


「おはよう寝坊助」

「春護、常、ごめんなさい」

「あはは、誰でも一度に二度の寝坊はしちゃうもんだよ。そんなに気にしないで良いからねんっ!」

「……ん、ありがとう常」

「あーもー、水花ちゅんは可愛いねえー」

「わー」


 水花の頭を撫る常。完全に受け入れてるね。


「それにしても可愛いワンピースだね。似合ってるよー」

「えへへ、照れる」


 わざわざ言うまでもないと思うけど一応補足。無表情のままだ。


 そんな水花が着ているのは常が先に言ってるようにワンピースだった。落ち着いた色のロングワンピース。アニマルパジャマを除けば今までの服装で一番露出が少ない。

 ここまで走って来たからなのか少しだけ息を切らせている水花は、無表情ながらもほんのりと頬が赤くなっていて、何処か妙な色っぽさがあった。


 ロングワンピース効果なのかな。色合いの関係もあって何処かお姉さんのような雰囲気があった。小柄なのに。


「寝起きって事は水花ちゃんお昼まだだよね?」

「うん、まだ。……お腹空いたぁ」

「それじゃあ先に何か食べよっか。リクエストはある?」

「んー、オムライス食べたい」

「それなら近くにあるカフェに行こっ! 前に食べた事あるけど美味しかったよー」

「ワクワク」


 カフェなら昼食を食べてる俺たちでも軽く食べられる軽食があるだろうし、都合が良いね。

 それにしてもオムライスが食べたいとはちょっと意外、肉じゃないんだね。寝てたからリセットされたのかな。


「ここだよー。前にいずみんと来たんだけど、デザートも種類があって女子にオススメって感じなんだよ!」


 一面がガラス張りになっていて中の様子がよく見える。テラス席もあって開放感が凄いね。


 常が女子にオススメって言ってたけど、客層はその通りって感じだった。……うん、ちょっと気まずいかも。


「ふふーん、春護君の考えてる事わかるよー。でも大丈夫だよん。奥の方に区切られた席もあるから、店内に男子一人でも居心地悪くないと思うよー」

「それは助かる」


 外から見える範囲には女子の姿しかなかったからね。制服姿のままケーキを幸せそうに頬張っている女子生徒の姿や、スーツ姿でコーヒーを飲んでいる大人なレディの姿もあった。しかし男はいない。

 もしかすると奥には俺みたいな事を考えた奴がいるかもしれないね。


 四人席に案内されたので奥の席に水花と常が座り、俺は一人で手前の席に座る事にした。


 水花はリクエストしていたオムライスを注文し、俺はハムサンドとアイスコーヒーの軽食セット。常はストロベリーショートケーキとアイスレモンティーのデザートセットを頼んでいた。


「春護春護! ケチャップじゃない!」

「あっ、水花ちゃんごめんっ! 言い忘れてた。そうだよね、オムライスって普通はケチャップの方だよね」

「あっ、違う! 嫌なんじゃなくて、凄いなって思った! オシャレ!」


 このカフェのオムライスはケチャップライスを卵焼きで包んだタイプではなく、ドミグラスソースがベースになっていたみたいだ。


 無表情のまま器用に瞳をキラキラとさせている水花。嬉しそうでよかった。


「そ、そう? それならよかった。ふぅー、助かったぜ」

「大慌てだったもんね」

「そりゃそうだよ! あたしが連れて来たんだよ? 責任がががが」


 オムライスの上からもたっぷりのドミグラスソースがかけられていた。スプーンでソースと共にすくい取り、口へと運ぶ。味に集中するためなのか、目を閉じて咀嚼を始めた水花はやがて石化したかのように固まると、次の瞬間カッと目を見開いた。


「美味い!」

「でしょでしょっ!? 見た目はしつこそうに見えるけど案外あっさりしてて、でもだからといって安っぽい感じじゃなくて、優しいコクに包まれるような感覚って言えば良いのかな!」

「わかる! 噛めば噛むほど複雑な味が口の中に行き渡って、それで……美味い!」


 大盛り上がりの二人娘。水花に食レポはまだ早かったみたいだね。だけどとんでもなく美味しいのはその姿を見れば伝わった。スプーンを動かす手が止まりませんねえ。


「水花、早食いはだめだよ。ちゃんと噛んで」

「——んっ」


 一旦手を止めて頷いた後、追加を頬張る事なくモグモグとしている水花。うん、素直でよろしい。


 俺が頼んだハムサンドとアイスコーヒーについては特に言う事はないかな。マヨネーズとマスタードで味付けされたハムを挟んだパンだからね。味は今想像した通りだと思う。コーヒー? ふっ、俺はブラックだ。


 常のショートケーキは丸いホールケーキを切り分けた三角形の状態で提供されていた。まあ、流石に一人でホールケーキを食べる勇者はいないよね。女の子は甘いものが好きだって良く聞くけど、だからといってその量は胃袋の容量からして無理だ。


 スポンジケーキは二つに切られているのではなく、三つに切られていた。つまりスポンジ、クリーム、スポンジ、クリーム、スポンジという五層造りだ。

 クリームの部分にはたっぷりと苺が使われていて、一番上には大きくて立派な苺が鎮座していた。


 アイスレモンティーはスライスレモンを浮かべているのではなく、くし切りにしたレモンを縁に差し込むようになっていた。

 レモンの濃度をお好みで調節し易いとは思うけど、そういう形式だと確実にレモン果汁が手に付いちゃうのが少し不便だよね。お手拭きで拭ったとしてもちょっと気になる。


「むふぅー、美味しかった」

「デザートはどうする、折角だし食べるか?」

「うんん、今日はいらない。次の楽しみにする」

「次があるの前提か」

「ないの?」

「いいよ」

「むふぅー、ありがと春護」


 このカフェお値段でいうと決して安くはないけれど、水花のためなら仕方がない。それに次は俺もケーキとか食べようかな。ショートケーキも美味しそうだったし。

 一口くらい貰えばよかったかな。……いやいや、いくら相手が常とはいえ、そういうのは男女がしちゃいけないよね。


「それじゃあ次は剣っだね」


 お会計を済ませた後は本日のメインイベントの時間だ。


「あっ、そうだ! 水花ちゃんの剣、あたしがプレゼントしてあげる! 勧めたのもあたしだし、カフェ代を春護君に奢ってもらっちゃったしね!」

「別に気にしなくて良いのに」


 仕方がないというか、当然の事なんだけど、水花の支払いは俺がするのに、常には自分で支払わせるってのがちょっと嫌だった。

 だからまとめて俺が会計したんだけど、常は気にしちゃってるみたいだね。

 まあ、本人が楽しそうだし良いのかな。


 ふと思いました。俺に食事を奢られ、これから常に武器をプレゼントしてもらう。ワンピース姿も相俟って、水花はまるでお姫様のようだね。


「春護君はどんな剣にするの? やっぱりロンソ?」

「うん、そのつもり。やっぱり元々使ってた方が良いかなって」


 魔装の力を得る前まではロングソードを武器にしていた。

 諸刃の直剣。剣としてはシンプルだけど、だからこそバランスも良くて使い易い。それに量産されている一般的な剣だからね。安い。


 この機会に新しい剣種に触れてみようかなって少しは思うけど、まずはロングソードで良いかな。


「俺よりも水花の武器をどうしようかな」


 水花は魔装人形だ。身体の全てが武器と言っても良い。そんな彼女の能力を向上させるような、相性の武器ってなんだろう。


「水花ちゃん。こういうのはやっぱり身体に聞くのが一番早いと思うんだよね。という事で、片っ端から試そーっ!」

「お、おー」


 楽しそうに拳を天に突き上げる常と、それを見て真似をする水花。

 店内ならまだ良かったんだけど、まだ道中だ。一般通行人の視線が少なくない数集まっていた。

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