4話 先生の部屋!?
そう言うと、床に座り壁に寄り掛かっている事に気付いた……
あ、パンツ丸見えじゃない!? ホントに警戒心ゼロ、無防備……恥ずかしっ! 当然、見られちゃったよね……はぁ。
「先生……見た!?」
「な、なにをだ?」
先生が目を逸らして、答えを誤魔化している感じがする。
返事を聞かなくても、その反応で分かりますっ! でもまぁ、さっきのイチャイチャしてくれたし、許してあげよう〜♪
先生がポケットから鍵をだして、解錠をすると重たそうな扉が開いた。
部屋の中は意外と片付けられていて部屋の真ん中には……ソファー? 白いシーツがソファーに掛けてあった。なんでこんな所にソファーなの? 思わず首を傾げてしまう。それにテーブルもあり近くにクラーボックスまである。
「先生……この部屋って何なの?」
先生がニヤニヤしながら答えてくれた。まるで褒めて欲しそうな子供のように。
「それはだなぁ……2、3日前から、この部屋を掃除をして、片付けて使えるようにしたんだぞ!」
「へぇ……先生の隠れ家って感じかぁ〜ズルい」
「応接室で使わなくなったソファーをだな運んできたり、家庭科室で眠っていたシーツを頂いて、掛けたり大変だったんだぞ……」
何その言い方……まるで私の為にって言い方じゃん? 自分のためでしょ。こんな寛ぎ空間を作って。……ん? 寛ぎ空間って昼休みや放課後に使えないよね……昼休みは、空き教室か。放課後は知らないけど。
「自分だけズルっ!」
「まだ気付かないのか? 俺達の空間というか部屋だぞ?」
「……え?」
この発言には驚いた。私達の?
先生がトアを締め鍵も閉めた。密使になった事を意識してしまい鼓動が早くなるのを感じる。私の表情が緊張をしているのが分かったらしく。
「ようこそ、我が隠れ家へ〜。お客様第1号だな!」
先生が、そう言うと片腕を大きく上げると、上げた腕をお腹の辺りまで腕を下げ、お辞儀をして笑わせようとしてくれているのがバレバレだ。そのお陰で緊張が和らいだ。
「……なにその言い方! まるで2号、3号が来るみたい……へぇ……早速、バレちゃったねっ!……先生の浮気者っ」
その言い方だと、冗談だと分かっていてもイラッとするんですけどぉ……先生の……ばかっ。
「ノリと冗談なんだが……」
「分かってるよ。昼休みに、ずっと一緒に居てくれたしね。信じてるよ」
おどけてふざけていた先生が、ソファーの後ろを通り奥側の私の隣に座った。クーラーボックスからジュースというか私が、良く飲んでいた紅茶を手渡してくれた。
ここでお決まりの先生の手が触れ、ドラマとかアニメで手が触れ合ってドキッする場面に……「嘘だぁ。手が触れ合っただけで、そんなリアクションになるぅ〜? 大げさだよね」とバカにしていた自分を思い出した。
うん。今なら素直に信じられる……だってドキッとして、手を引っ込めちゃったもんっ。なにこれ……もお。
「あ、ありがと……先生。私のため?」
「あはは。他に誰のため何だよ。それ飲んで落ち着きなよ」
あれ? なんだか口調が……先生っぽくない。なんだろ……違和感というか、恋人? 友達に言う感じじゃない? 「落ち着きなよ」だって! 不覚にもキュンとしちゃったよ!
先生から貰った紅茶のペットボトルの蓋を、開けるのに苦戦していると、スッと先生の手が伸びてきた。
「悪い。気が利かなかったな。次回は、気をつけるよ。ほら」
うぅん……なにこれ、なにこれ! ホントに、いつもの先生じゃないっ! 優しい! 恋人みたい! 笑顔がヤバい! うぅぅぅ〜顔が、オーバーヒートしちゃう……あついよぅ。
「少しは、落ち着いたか?」
はい? あなたのせいで、落ち着く訳が無いでしょ!
「すぅ〜はぁ……うん。落ち着いたぁ」
「深呼吸するほど緊張してたのか!?」
私が深呼吸をし始めたので、少し驚いた表情をして見つめてきた。
「まぁ〜ねぇ〜! そりゃぁ……男の人と二人っきりだよ? 緊張するでしょ!」
それに、先生の言動の問題! それ、反則だよっ! わたしだって……
「空き教室で、二人っきりだったんだが?」
先生が不思議そうな顔で、わたしの顔を覗き込んできた。
「あれは……学校で……違うでしょ」
「ここも学校だぞ〜?」
そうだった……でも、ここは……学校というよりも……部屋って感じじゃない? ソファーもあって密室空間だし、生徒の出入りもないし……静かだし。まさに二人っきりだよっ。
「ん〜ここは、学校っぽくない」
「だろ? 今度、家からカーテンを持ってこようかと」
ニコニコしながら言ってくるので、注意もできないじゃん。それって、この部屋を完全に私物化してる感じじゃない? 良いの?
「良いの? ここ学校だよ?」
「良いの良いの。だって見に来ないだろ。こんな所……見つかったって、学校の備品を並べてるだけだしな。俺が、置き場所をいじっただけだぞ?」
あ! 今、先生……「俺」って言った! ……カッコいいぃ。いつもは「先生」って自分の事を呼んでるのに♪
「そうだ! んふふ……3時の、おやつもあるぞ!」
「わぁっ♪ ほんと!? 嬉しいっ♪」
思わず先生の太ももに手を乗せた事に気付き、慌ててソファーに手を着くと、指に痛みが走った。
「きゃっ! 痛いっ!! もぉ……何か刺さったぁ!」
「み、見せてみろ! 血が出てるな……」
先生に手を掴まれて、あむっ! と先生の口の中に指を入れられると……ちゅぅぅぅ。と指を吸われた。
え? えぇぇ。 な、何をしているの!? せ、先生って……吸血鬼だったの!? 血を吸ってる……だから、こんなにイケメンだったの……? 納得だわぁ……
「せ、先生って……吸血鬼だったんですね……だから、そんなにイケメンなんだ……」
「バカか? 何が刺さったのか、刺されたのか分からないんだぞ? 取り敢えず吸い出しておかないとな……。錆びた物だと、破傷風になるって聞くしな。虫だったら毒を持ってるかもしれないし」
説明を終えると、再び手を掴まれて指を口の中に入れられた。先生の口の中……温かくてヌルヌルしてる……って、先生? 何で指を舐めてるの……くすぐったい……ゾクゾクするぅ……もお!
「先生っ! へんたいっ! 指を舐めないでぇ……くすぐったい!」
無視されてゴクッと、私の血を飲まれた音が聞こえた。
「えぇぇ……。汚いんじゃ……血だよ?」
「ヒマリの血だろ? 汚い訳が無いだろ。内緒だけどな……他の生徒には、出来ないぞ……生徒の差別は良くないんだがな」
「……しないでください!……私だけで……お願いします。私、生徒ですけど……先生の……か、彼女ですから……」
「あはは。うん。そうだな、俺の彼女なんだな……」
先生が真面目な顔をして、向き合うと抱きしめてきた。
「ちょ、先生……ダメですって……」
「わ、悪い……彼女って聞いて、つい……抱きしめたくなって……」
先生が離れようとするので、背中に腕を回して……私からも抱きしめた。
「ヒマリ……す、好きだ」
ん!? え? えぇぇ。 付き合う、付き合わないっていう話しかして無くて……一度も好きだと言ってもらえてない。それを……今言う? 反則過ぎ! ばかっ。
先生のお得意の、頬に頬を着けて……囁いてきた。
「ヒマリは……俺の事が好きか? 俺は……好きだぞ」
恥ずかしくて声が出ない。勿論、好き。大好きだ。返事が無いのが心配だったのか、顔を離し見つめ合う感じになった。
「嫌い……なのか? 迷っているとか……か?」
私が、目を潤ませながら必死に首を横に振った。
「それは、好きだってことか?」
何度も首を立てに振った。すると、両頬を触られ上にスライドをさせ、指が耳と耳の後ろを触られた。耳と耳の後ろを触られてくすぐったくて……ゾクゾクしてしまう……そんな所を触らないでぇ……。と思っていると。
おでこと、鼻を着けられた。
わわわぁっ。……なに? これって……キスする感じ? だよね……。キス……しちゃうの私。先生と……キスするんだ……展開が早いっ!
先生の唇が、私の唇と重なり合った。男の人の唇も柔らかいんだ……
「ファーストキスは、どうだった?」
「緊張しましたぁ……」
感想なんて言えるわけ無い……恥ずかしすぎる……見て察してください……先生なんでしょ……!
私と先生 みみっく @mimikku666
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