第4話 フラッペなるものが飲みたい
最近のコンビニには美味しそうなものが沢山ある。その中でもずっと気になっているものがある。それはファミリーマートで見かける季節折々のフラッペシリーズである。
何だ、フラッペかと思う方もいるかもしれないが、これが私にとってハードルが物凄く高い買い物だと言うことを先に述べたい。何故なら私が人見知りであり、フラッペを買って飲むためには幾つもの手順を踏まないといけないからだ。
まず一つに、フラッペを買った後に機械の操作をしないといけないらしい。だが私にはこの機械の操作が分からず、かつ店員さんに聞くのにも相当気合いを入れないと声をかけられない。なのでいつもフラッペが置いてある前にいっては、「お前、美味しそうだな。だが今は時ではない」と言い聞かせ諦めていた。ところが今日は濃いラーメンを食べたせいか、無性にフラッペなるものを飲んでみたくなったのだ。私は検討に検討を重ね、店員さんに声をかけるシチュエーションを3パターン用意し、一つのフラッペを握りしめ、レジに向かった。フラッペがレジを通り値段が出る前に小銭を置く。検討を重ねる間、穴が空くほど見た値段だ。直ぐに用意できる。そして、意を決して飲み方を聞く。
店員さんは優しくフラッペを揉みだし「此方の機械にフラッペの蓋を全部剥がし、フラッペと言うボタンを押してください。ありがとうございましたぁ」と教えてくれた。
ここで一つ、今後のために得るべき教訓を教えよう。
機械音痴で人見知りな私は、機械の使い方を教えられても一人でその機械の前に立つと、ボタンの多さや「本当に合っているのだろうか」と不安からフリーズしてしまうのだ。さらに間が悪いことに私の後ろにコーヒーを待つ人の姿が。そう、勝手に一人で追い詰められ焦るのだ。
後ろに待つ人に見られながらドキドキしてフラッペをセットし、ボタンを押す。機械がガタガタ音を鳴らしながら、暫くして牛乳が出てくる。終わるタイミングが分からず、牛乳が出終わった後も暫く居座る私。全てのボタンの色が点いたことで、ようやく終わりだと分かりフラッペを取り出す私。
私は初めてフラッペを飲んでいる。
だけど、飲み方と正解が分からない。カップの真ん中にアイスのようなものと、それを取り囲む牛乳。私の手には急いで取ってきたフラッペ用のストロー。取り敢えずアイスのようなものにストローを差すが、刺さらないしなにも飲めない。周りの牛乳はちょっとアイスが溶けた味がする。
そして今、私の手には牛乳の無くなったアイスの塊だけが残っている。多分、もっとカップを揉んだり混ぜないといけなかったんだと今は思う。だけど良いのだ。私は初めてフラッペを買えたし、次はもっとスマートに買えるはずだ。
だけどもし贅沢を言うのであれば、後少しフラッペが出来るまで簡単にしてほしい。例えばカップだけ買って、ボタンを押すと完成したフラッペが出来ているとか。
そういうフラッペが欲しいのに挑戦できないでいる人達のために、優しい世界であって欲しい。
今回、私がお伝えしたかった事とは、何の事はないただのフラッペを買う行為でも苦手な人はいて、挑戦できずに諦めてしまうことがあると言うことだ。
もし、皆さんの周りにフラッペを買うのを躊躇している人がいたら是非付き添ってあげて、ボタンの操作から飲み頃まで見守ってあげてください。きっと凄く感謝されますよ。私は今、フラッペになれなかったフラッペを食べてそう思うのです。
了
エッセイと呼ぶには早すぎるのですよ! ろくろわ @sakiyomiroku
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