……消すのはもったいないから保存しとくか
「ん……?」
その日の帰り、HRが終わってすぐの時間だというのに、グラウンドの方で何らや慌ただしく動く生徒達の姿が見えた。
「あれは……
「ハル、どうかした?」
「いや、先輩の姿が見えたんだけど、なんだか忙しそうだなって……」
「あー……」
俺と
「えっ……目があった?」
「……なんだか手招きしてない?」
♢♢♢♢
「
「来てくれてありがとう。明日のレクリエーションの準備をしていたのだが、人手が足りなくてな……」
『レクリエーション』とは、毎年新入生が入学してすぐのタイミングで行われる、球技大会的なイベントである。
1年生と2、3年生の交流を深めて学校に慣れるためのイベントで、男子はバドミントンかサッカー、女子はバドミントンかバレーを選択できる。
選択した種目で、学年関係なくチームを組んで試合ができると同時に、バドミントンは
「それで、僕らに手伝ってほしいってことですね?」
「うむ、君を呼んだら他の子達も来てくれると思っていたよ」
行動が見抜かれていて、何とも言えない表情を浮かべる
「まぁいいですけど……あたし達は何をすればいいのかしら?」
「やることはたくさんあるぞ。ライン引きと道具の確認と……体育館ではバドミントンとバレーのネットを張っておかなければならないからな」
「うへぇ……」
「よし、男の子の
テキパキと指示を出す
俺もこのレクリエーションは楽しかった思い出があるから、その準備にも力が入るのだった。
「ありがとう、皆。お陰で比較的早く準備を終えることができた。これで明日はスムーズにレクリエーションを始められることだろう。皆、ご苦労だった!」
それからおよそ一時間後、全ての準備を終えた俺達は、再びグラウンドに集まって
「そして君達も……急な申し出にも関わらず、手伝ってくれて助かった。お礼をしたいのだが、この後時間はあるだろうか?」
「……
「っ……!? ごめん、ちょっとぼーっとしてた」
ぼーっとしていた俺は、
「お兄、話聞いてた?」
「ねぇハル、もしかして……あれ?」
「……
「いやっ、違っ……!」
俺がぼーっと眺めていた先、野球部の応援のためのチアリーディングの練習が行われている光景があった。
俺の視線に気づいた
それは
「まぁ確かに、あの衣装可愛いもんね……」
「でもちょっとスカート短くない……?」
「ハルのフェチ的にはストライクっぽいけど……」
「お兄のフェチ?」
「そこ、詳しく教えて」
「うん、ハルはノースリーブから覗く───」
「わぁぁぁっ! 待て待て待てっ!」
暴露しようとするな
♢♢♢♢
「んっ……?」
その夜の風呂上り、ふとスマホを見ると、いくつもの通知が届いてた。
「
そう思いながらも、何気なくLINEを開く。
そこには———
「っ!?」
『いつでも使えるようにちゃんと保存しといてね!』というメッセージと共に、
衣装の上からでもはっきりと分かる大きな胸、裾が短いからか露出されているお腹、腕を伸ばして撮ってるからかチラリと覗く腋と、首に煌めくチョーカーとハート形のチャーム。
妹とはいえ、これはちょっと刺激が強い。
「まさか……」
とある考えに行きついた俺は、
細めた眼と少しだけ紅潮した頬、そして唇を濡らす舌先が、
ムチッとした太股、見せつけるように晒した腋、そして煽るような眼とぺろりと出した長い舌が、全部俺の性癖に突き刺さってヤバい。
そして、まさかの
「デッッッ……!?」
恥ずかしいのか顔を真っ赤にし、谷間を隠すように胸元に当てた手でムニィッと形を変えており、余計に大きさが際立っていた。そしてちょっと肉感のあるお腹が、刺さる人には刺さりそうだ。
メッセージには、『恥ずかしいですけど、先輩が見たいなら……』『こんなの見せるの先輩だけですから、誰にも言わないでくださいね……?』と……。
……こんなエッッッな写真を送って、どうしろと言うのだろうか……。いや、ありがたく頂いておくけども。
『似合っていて可愛いよ』としか言えない俺は、それぞれにそう返しておく。すると全員からさらに新しい写真が送られてきて……
俺が止めるまで、徐々に過激になっていくのだった。
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