思ったより肉食かもしれない
お昼休み。
昼食を取りながら友達同士で話す者、複数人で集まってスマホゲームで盛り上がる者、一人机に向かいスマホを高速でタップし続けている者など、各々が思い思いに過ごしていた。
そんな喧騒の中でもやけに目立つグループが一つ、教室の隅で注目を集めていた。
「
「それだけじゃねぇ……
「ぜってぇ食べきれないだろあれ……」
「だから皆でシェアしてるんだろうな……」
「つーか一人増えてない? 誰あれ」
「1年生? ってことは、妹ちゃんの友達とか?」
「あの子も結構可愛い……のか?」
「いや、周りが
「まさか、リスちゃんの奴もう1年生に手を出したってのか……」
「なんて奴だ……! 草食なんて嘘だろ、
そんな会話が、そこかしこから聴こえてくる。今年から『四大美女』となった美少女のうち、3人が集まっている様子は、誰もが気になって仕方がないらしい。
そんなわけで注目を集めている俺達は……というか、
注目されて落ち着かないのは、俺と
そう、今日は昼休みに
周囲が先輩ばかりで、しかも注目されて、ちょっと可愛そうな
「えっ、お兄、学校祭実行委員会になったの?」
「そうなんだよ……
「全然柄じゃないのに、お兄にできるのかな……」
「
「私も、
「でも、
「
「まぁ、お兄って昔からそんな感じだし……」
「まだ四月だからいいけど、近くなってきたら授業後に集まりとかあるんでしょ? 大変そうだし、手伝ってあげないこともないけど?」
「いや、大丈夫だよ。遅くなったら
「えぇ、お兄……」
「
「えっ……皆して何? もしかして俺また地雷踏んだ?」
「私は
「それが心配だって言ってるんでしょ! 私も一緒に帰りたいから手伝ってあげるって言ってるの! 分かったら返事!」
「は、はいっ!」
「よろしい!」
『手伝ってあげないこともない』というのは、『手伝ってあげるから一緒に帰ろう』ってことか……これだけ一緒にいても女心が分からない俺って……
「……
「何がよ?」
「今の言い方も、
「伝わってくれればあたしも言わなかったけど……?」
「ぅっ……もっと精進します……」
「
「まぁ……仲は良いと思うけど」
「私だったら、先輩達に睨まれたら泣く自信がありますから」
「お、おう……」
そんなに自信満々に言わなくても……。
「べつに、あたしはハルがこんな風だからよく睨むだけで、誰彼構わず威嚇するなんてことはしないからね?」
「……でも、
「ひっ……ゆ、許してくださいぃっ……!」
「
「そ、そこまで怖がるとは思わなくて……」
震え上がって縮こまる
俺が慣れているだけで、こういう反応が普通なんだよな……ヒョウに睨まれる草食動物って。
俯いたまま、嗚咽を漏らして震える
そんな彼女が落ち着くまで背中を擦る俺。
泣くほど怖かったのかとおろおろする
そんな中、
「ハル、ちょっと……」
「どうした?」
「……いや、そんなに女の子の身体に気安く触らない方がいいわよ」
「ハッ……泣いてると思ったらつい……! ごめん、嫌だった……?」
「んっ……ううん、大丈夫、ですっ……」
「泣いてるというか、どっちかと言うと発───」
「あっ……! そのっ、私そろそろ戻りますね……!」
なにやら慌てた様子を見せた
急に態度を変えたように見えたけど、何かあったのだろうか?
「
「
「えっ、何の話?」
「
「えっ……マジで何の話!?」
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