狼狽える生徒会長
「新学期早々騒ぎを起こすとは感心しないな、後藤
凛とした声でこの場を諫めたのは、この学校で一番の有名人……生徒会長の
文武両道、眉目秀麗、明眸皓歯……勉強面でも運動でも彼女に並ぶ生徒はおらず、ルックスもスタイルも、男女問わず憧れるほどだ。
それでいて公明正大。曲がったことが嫌いな彼女を慕う者は多く、なるべくして生徒会長になった人物である。
そんな
「大方、複数人の女子に囲まれる
「ぅ……」
「私から一つ助言するなら……他人に嫉妬を向けるような男はモテないぞ、後藤
「 」
(((そんな丁寧にトドメを刺さなくても……)))
「そして、
「っ……」
「君のような肉食獣は、特に身体能力が高い。もし暴力沙汰が起きれば、不利になるのは自分だと覚えておいてほしい」
「っ……」
薄々思ってたけど、間違いなく
「……ん」
小さく頷いた
そんな
「うむ、分かってくれて嬉しいよ。では、私はこれで───」
「あれ……? ねぇアリサ先輩、アリサ先輩って、他の人を呼ぶ時フルネームで呼びますよね?」
「……? うむ、そうだが───」
「なんでリスちゃんだけ『
「「えっ?」」
俺と
「
「ハル、まさか先輩にも手を……?」
「お兄、いつの間に手を出したの!?」
「いやっ、違っ───お、俺はただこの前
「本当かしら?」
「本当だよ! 俺はただ先輩と一緒にスイ───」
「まっ、ままま待てっ! それは口外しない約束だろう!」
「んむっ……!」
テンパってあの日のことを言いかけた俺の口を、
後ろから羽交い締めにするように押さえられたからか、背中に
「ずいぶん仲良さそうじゃない、ハル」
「確かにちょっと仲良くなれた気はするけど……!」
「決して疚しいことがあったわけではないぞ!?」
「……じゃあ二人で何をしてたのか言ってみなさい」
「「…………」」
「ほらっ! 言えないようなことしてたんじゃないの!」
「うぅぅぅ…………あ、あれだよ! この前俺がヤンキーに絡まれて……!」
言い訳が苦しくなった俺は、咄嗟に適当な話をでっち上げる。
ヤンキーに絡まれてカツ上げされている時、たまたま通りかかった
男女逆だったらラブコメに発展するんだけどな……どう考えても
「う~ん……なんだか怪しいけど、納得できない訳じゃないわね」
「
「お兄、それってどこの誰? 教えてくれたら私が喉笛噛み千切って来るけど」
「いや、怖い怖い怖い!
「あっ、あぁ、そうだな! 他の生徒を守るのも
咄嗟に話を合わせてくれる
と、先輩の方に視線を送ると、小さくウィンクを返してくる。『誤魔化してくれてありがとう』ってところかな……?
ようやく帰れる雰囲気になり、俺はそそくさと離脱───しようと思ったが、
サクッと捕獲された俺は、
「……それで、
「だって……お兄が一人で帰ったら、また変なやつに絡まれるかもしれないじゃん」
「大丈夫だろ……俺だって男なんだし」
「私より弱いんだもん」
「ぅっ……」
ご、ごもっともで……。
妹に守られる兄……情けねぇ~……。
「で、ここで立ち止まってるけど、誰かを待ってるんです?」
「うん……
「へぇ、良かったじゃん」
「それで、いきなりだけど今日家に呼んでるんだよね」
「へぇ……えっ?」
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