おやすみ、美藍
まえがき
コメントであったので、急遽書いてみました。ツンデレからツンが無くなった美蘭ちゃん……
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ピンポーン!
「えっと、
「あら~、いらっしゃい♪」
夕方、俺は
彼女は
それに、実年齢よりもはるかに若く見えるのだ。
「
「検診で疲れているでしょうし、ちょっとでも力になれればと思います」
「うふふ、ありがとう♪」
ヘビとしての特性が強い
……高校生になってもそれが続くから、正直言って理性との戦いだ。
「ところで、
「えっ———いやっ、えっ!?」
「うふふ、ハルちゃんなら大歓迎なのだけど……」
「いやっ、あのっ、俺たちまだ高校生ですから!」
「それなら、卒業したらかしら?」
「と、とりあえず
おばさんの話を遮り、俺は
「あらら……
慌てて階段を上がっていく
♢♢♢♢
すると……
「ハルでしょ……入ってきて……」
か細い声で発せられたその言葉を、
「お邪魔します……」
静かにドアを開けて中に入ると、ベッドの上で横になり、目を閉じたままの
「ごめんね、ハル……こんな格好で……」
「別にいいよ、いつものことだしね」
検診がある日は、朝から採血だのCTだの……果てはピット器官や毒腺の検査もされるらしく、しかも検査に影響するからと、許可されたものしか食べることができないらしい。
今では『必要なこと』と割り切っているものの、小さいころからそれを受けてきた
「ケーキ買って来たけど食べるか?」
「本当? あとで食べるぅ……」
『ケーキ』という言葉に反応し、少しだけ目を開ける
とはいえ、未だに起き上がってこないところを見ると相当疲れているのだろう。
「大丈夫か?」
「ダメ……なんだかすっごく疲れた……。
「ん」
「っ!?」
薄い紫色の、胸元ゆるゆる肌スケスケのキャミソール姿の
冷静に考えたら、俺はこんな美少女を……
「……さむい……」
「ご、ごめん……!」
煩悩をひとまず頭の隅に追いやり、
正面から抱き合い、彼女の頭がちょうど俺の顎の下に来るぐらいの位置だ。
小さいころからの慣れで、この状態が一番落ち着くらしい。
「あったかぁい……♪」
その証拠に、
「聞いてよ、ハル……」
「うん」
俺の胸に頭を預け、目を閉じたままの
「今日ね、牙を見るって言ってね……ぐぃっと口開けられて毒を取られたの……ちょっと痛かった……」
「大丈夫だったのか?」
「うん……でもね、その代わりちょっと褒められた」
「何を?」
「歯が綺麗だねって……」
「そっか、ちゃんと歯磨きできる
「……♪」
さらさらとした金糸の髪に指を通すように、
……なんだか小学生を相手にしているような気分だけど……疲れ切った
「そのあと、CTも撮ったのね……?」
「うんうん」
「狭いところは得意なんだけど……寂しくなっちゃって」
「寂しい?」
「うん……ハルが居なくて寂しかった……」
「っ……」
なんなんだこの可愛い
意識があるのかないのか微妙なので、それが本心かどうかは分からないけど……普段の
まぁ、元に戻ったら忘れてるだろうけど。
「あとね、消毒の匂いがきつくて……」
「あ~。それは俺も分かるな」
「そうでしょ? それが一番つらかった……」
そんな風に
無防備な姿に
「おやすみ、
俺は彼女の小さな身体を受け止め、静かに起きるのを待つことにしたのだった。
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