入学早々脳破壊される新入生達
「ご、ごめんなさいっ!」
「「「っ!?」」」
背中に感じるのは、小さく震える彼女の身体と、柔らかい感触が……意外とでっか———いや、感想を述べてる場合じゃない!
なにせ、彼女が俺の背中にくっついてきたことで、
「
「っ!」
「
「んっ……」
同じく俺に撫でられている
「……ハル、なんか撫でておけばいいとか思ってない?」
「いや、別にそんなつもりはなくて……」
「まぁ、別にいいけど……」
そんな風に愚痴を言いつつも抵抗しないあたり、
「す、すごい……
「猛獣のって……もしかして、君は———」
「す、すみません、申し遅れました! 私は
「っ! へぇ、
「はいっ! その、先輩……ですよね?
「じゃ、じゃあ、
いい加減、皆の視線が痛くなってきたから!
「あっ、ご、ごめんなさい! その、先輩の背中が何だか安心して———」
「「「…………」」」
「「ひっ……!」」
ギンッと3人の視線が鋭くなる。
何を言い出すんですかねこの子は!
「い、いえ、その……先輩も獣人ですよね……? 草食系の……。私もそうなので、肉食な方達よりも安心できるというか……」
「そ、そういうことね! みんな、怖がらせたらダメだぞ!」
「ハルがすぐに女の子を落とそうとするからでしょ」
「どうしてお兄はそう、すぐに女の子を引き寄せるの!?」
「そんなこと言われても……」
「ゴロゴロゴロゴロゴロ……」
「
「と、とりあえず早く行かないと遅刻する……!」
カオスすぎるこの状況、一刻も早く抜け出したい……!
とにかく学校に向けて走り、何とか時間には間に合った。校門付近には新入生達も多く、時間に余裕がないはずなのに、結構人が多いようだ。
「ハァ、ハァ……なんか初日から疲れたな……」
「す、すみません……私がぶつかってしまったからですよね……」
「気にしないでいいよ。ケガもなかったし、時間にも間に合ってるしね」
「ギリギリになったのは、誰かさんが早速新入生の女の子を落とそうとするからよね」
「俺のせいか!?」
「初対面の後輩女子に『安心する』って言われて、鼻の下を伸ばしているんだもん」
「
「おい、見てみろよあれ……」
どこからか、ふいにそんな声が聞こえてくる。
気が付けば、その場にいる生徒たちからかなり注目を集めているようだ。
それもそうか……
「うわっ、すげぇ美人……」
「入学式の時、あんな子いたっけ?」
「先輩なんじゃない?」
「こんな可愛い先輩と一緒の学校に通えるなんて……!」
「あれ、彼氏か?」
「いや、まさか。さすがに釣り合ってないだろ」
「でもなんで男一人に美少女が4人も……」
「注目されてるわね、ハル」
「これ、俺じゃなくて
「……
そんなことを呟いた
「っ! 油断しましたっ!」
突然、二人の美少女に腕を組まれるリアルハーレムの光景に、
「やっぱり鼻の下伸ばしてるじゃない!」
目つきが鋭い、
そうだ、男一人に美少女が二人だなんて間違っている! 頼む、俺達の気持ちを代弁してくれっ……!
「あーあ、あたしもぶつけた足が痛くなってきたわ。ハル、教室まで負ぶって行ってくれるわよね?」
「ちょっ、危なっ……!」
あれ……?
どうしてこの美少女はあの男の背中に飛び乗って、おんぶされているんだ……? いや、まさか……。でも、全員が頬を緩めて嬉しそうな表情を……
それはつまり、これだけの美少女が3人もいて、3人ともあの男の———
「「「こんな世の中、間違ってる!」」」
男からすれば夢のようなリアルハーレムの光景に、新入生達の中から絞り出すようにそんな声が聞こえてきた気がした。
♢♢♢♢
新入生と在校生の顔合わせ……『対面式』が体育館で行われる。新しく入学した彼らの視線の先には、
美しい白銀の髪に、高身長、すごいスタイル……これだけの人が集まっても、
けど、それも今の内だけ。
入学したばかりの新入生の
「新入生諸君、まずは入学おめでとう」
さらりとした黒髪を靡かせ、スカートから眩しいほどの綺麗な太腿を晒し、それでいて新入生達を前に自信に満ちた表情でそう言い放つ彼女は、今年3年生となった『
『三大美女』と称される彼女は、生徒会長として人前に立つことも多く顔が広いため、
アリサ先輩の姿を見た彼らは皆見惚れ、華々しい高校生活をスタートしようとアリサ先輩に告白して玉砕し、
去年も起こったこの流れは、きっと今年も同じだろう。
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