猛獣達に囲まれる朝
とある休日の朝……と言っても、窓から差し込む日差しの強さから察するに、すでに昼に近い時間だろう。
その光で夢から覚めた俺は、部屋に何者かの気配を感じて意識を急浮上させる。
ゆっくりと目を開けると、そこにはもはや見慣れた光景があった。
「あっ……ほら、起きちゃったじゃない。
「今の私ですか!? ほとんど
「ううん、最後は
俺の顔を覗き込むようにベッドに身を乗りだし、何やら言い合っているのは、もちろん
『罰ゲーム』とか『最後
「せっかくの休日なのに……みんなして俺の部屋に集まって何してるのさ」
「休日
「お兄、昨日の夜夜更かししてゲームしてたもんね?」
「その代わり、せっかく来たのだから
「……俺の寝顔見てて楽しい……?」
「「「もちろん」」」
「えぇ……」
「
「ね、女の子の格好したら、もう男ってバレないんじゃない?」
「女装なんてするかぁっ!」
「えー、似合うと思うのに……」
……彼女達に対して俺がぎこちなくならないようにと、
まぁ確かに、お陰で変に気を使わなくてよくなってるから助かる……けど、それも今のうちだけだ。
「
ほんのりと頬を染め、少しだけ甘い声を出した
「っ───」
これだ。
最初は断ったり誤魔化したりしていたものの、次第に学校内でもねだるようになってきて……
さすがにそれは止めてほしいわけで……俺はついに折れて、『一日に一回だけ』という条件で撫でてやるようにしているのだ。
それで一日は大人しくなるから、ひとまずそんな関係を続けている。
「んっ……♡」
……あまり気にしすぎると俺もヤバイから、
「……ハル、いつの間にそんなに手懐けたのよ」
「そ、そうです! 羨ま───じゃない、お腹を撫でてほしいなんていやらしいですよ!」
「何を言ってるのかしら、
「えっ……何を───」
「首のそれ、ワンちゃんの首輪じゃなくて……?」
「あっ……! こ、これは違います! ただのチョーカーですっ!」
「どう見てもペット用───んぅっ♡
「ご、ごめん、つい……」
「べ、別にっ……今はこれを着けたかった気分なだけですしっ!」
「ふぅん、ペットな気分なのね…………もしかして、
「ひぅっ……♡ だ、誰かお兄なんかのっ……♡」
俺は二人の会話はあまり理解できないけど、二人に通じ合う何かがあるなだろうか……?
「はぁ……二人とも似たようなものじゃない……」
そう言って呆れた表情を浮かべる
睨み合う
「……ふふ」
「っ!?」
上着とインナーをはだけて肩を露出し、顎下まで届く
挑発的な眼や表情も相まって、なんかもう、エッッッッッッッ!
「
「それを言うなら
「ん~……別に、好きにすればいいんじゃない?」
「なっ……!」
「……この状況で
「だって……あたしはもう予約済みだもん。ね、ハル?♡」
「「っ!?」」
「ひっ……!」
ギンッ! と鋭くなった
あ、相変わらずナイフみたいな眼力だね……?
「お兄、予約って何!?」
「
「いや、あの……助けて
「ふふ、頑張ってねハル♡」
「
「お兄!」
「ちょっ、待っ───」
あっ、無理。
結局俺は、いつまで経っても肉食獣に勝てる日は来ないのかもしれない。
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