ヘビは人に懐かない
「ハルは、その……な、舐めるのが好きなんだよね……? あたしにだったらいいから……シて……?」
「なっ、なっ───」
予想外の光景に、俺は目を逸らしたまま硬直する。
つまり、昨日の
いや、それでもおかしい。
いつもだったら、
そうせずに
「やっぱり、あたしだと嫌なの……?」
「全然嫌じゃない……じゃなくて! 一旦落ち着け、な?」
なんとか理性を保ち、先程脱いだブレザーを
「あれ……? ハル、我慢できるの……?」
「いや、ドキッとしたけど……さすがに理性がなくなるほどじゃ……」
「??
「はい……?」
上手く話が噛み合わない
そのせいで俺は理性をなくし、
「いや、間違ってないけど……発情期にはなってないからな!?」
「そ、そうなの? 確かに発情期には早いなって思ったけど……待って、間違ってないって言った?」
「えっ、あっ、いや───」
「じゃあ、ハルは本能じゃなくて自分の意思で
「いやっ、違っ……違くないけど違うっ!」
「結局それってそういうのが好きってことじゃない! せっかくあたし、覚悟して───」
声を震わせながらそう呟く
「
「言うなぁっ!!」
瞳孔を狭め、牙を剥いてそう怒鳴る
「ふぐっ……うぇぇぇぇぇぇんっ!」
「!?」
声を上げて泣き出した
「ハルのバカッ……ぐすっ、うぅぅぅぅぅっ……!」
「ご、ごめん! ほら、落ち着いて、な?」
彼女が落ち着くまで、しばらくかかりそうだ。
♢♢♢♢
それから30分ほどたった後。
ようやく落ち着き、部屋着に着替えた
「それならそうと、先に言いなさいよ……めちゃくちゃ恥ずかしかったんだから……」
「ごめんって……そんな話になってたなんて知らなかったから……。いやでも、気遣いは嬉しかったよ、ありがとう」
「っ……」
カァッと頬を染めて俯く
「じゃ、じゃあ約束して……?」
「……俺にできることなら」
「その……っ~~! も、もしハルが発情期に入ったらあたしに言いなさい! その代わりあたしの時もっ———」
「そ、それは……!?」
「分かったら返事!」
「は、ハイッ!」
「よろしい!」
勢いで押し切られたけど……互いに発情期になった時にって、それセフ———や、やめよう!
「ところでハル……あたしの身体を見て、なんて言った?」
「えっ? いや、全然覚えてないけど……」
「『理性が無くなるほどじゃない』って言わなかった? あたしの身体に魅力がないってこと?」
「い、いやっ! それは言葉の綾でっ……!」
「なんかムカつく……ちょっと確認させて」
「えっ———」
そう言いながら隣に座った
「
「いいから。ハルはとにかく見てて」
これを俺に見せて、どうしようというのだろうか……。
数秒見せては次の画像、数秒見せては次の画像と繰り返していく
少年誌の表紙を飾るようなものだから健全なものだけど、基本的に水着姿のそれは、ちょっと目のやり場に困る。
女子と隣り合ってグラビア鑑賞するという謎の時間に戸惑いながら、俺は大人しく過ごすことにした。
「よーく分かったわ……やっぱりハルは変態じゃない」
「どういう意味———っ!?」
しばらく様々な写真を見せられた後、
その真意を確かめるよりも早く、もこもこのルームウェアを脱いだ
その瞬間、露わになった彼女の
「ふふ……分かりやすく反応しすぎでしょ、ハル……。あんたさては、『腋フェチ』なのね?」
「っ~~!!」
「真っ赤になっちゃって可愛い……♡ 私にだったら正直になっても良いわよ? ほら……♡」
「ちょっ、待っ———」
ベッドに押し倒され覆い被さってきた
「落ち着け
「ふふ、ダーメ……♡」
「んぅっ……!」
『ヘビは人に懐かない』とはよく言ったものだ。
その後何があったかは、ひとまず心の底に閉じ込めておくことにする。
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