地獄っ……!
「ハル~、一緒にお弁当───何この空気?」
4時間目が終わり昼休みに入ると、
ただ今回、教室に一歩踏み込んだ
……具体的に言うと、
周りの男子も同じように罰が悪そうな顔で、女子達は
「……なにこれ」
「あー……ごめん、
「まぁなんだ……朝の
「あっ(察し)……拗ねちゃったんだ?」
「拗ねちゃった」
「
「ご、ごめんなさい……
「だからぁ、そういうところなの! たった今発言気を付けてって言ったばっかりなのに! 今ので何人の男子達が変な想像をしたと思ってるのよ!」
サッと目を逸らす男子が多数。
「…………」
とりあえずドン引きした目を向けておいた。
「ま、まぁ……別に、男ってそういうものだとあたしも分かってるつもりよ……」
「んっ……私も
(耳が熱くなってる。これは……満更でもない感じかな?……もう一声かしら……)
「
「私? 私は……あまりピンと来ないけれど、嫌ではない……かな……」
「でしょ? 私だって別に……ハルがどうしてもって言うなら協力してあげても……」
自分で言いながら、顔を真っ赤にして声が小さくなっていく
そして、人知れず食べていた弁当を吹き出す
「……ってことは、俺らも頼み込めばワンチャン
「はっ? 死ね」
「ゴフッ……あまりにもシンプルでストレート過ぎる拒絶……」
「結局リスちゃんだからってか? ちくしょうがっ!」
「これが格差社会か!」
「信じられるか? 俺らは画面の向こうを眺めるしかないってのに、幼馴染みにして貰える奴がこのクラスに居るんだぜ!?」
「この屈辱、ぜってぇ忘れねぇっ!」
「何よ、何か文句ある?」
「「「「「無いです、すみません」」」」」
口々に文句を言う男子達を睨み付け、
(((
これ以降、このクラスの女子から、
「ってことでハル、何も恥ずかしくは───あれ? ハル?」
「どこ行ったのかしら……せっかく私がフォローしてたのに」
「リスちゃんなら、さっき委員長が『手伝ってほしい』って言って連れてったよ~」
ということらしい。
♢♢♢♢
「ありがとう、委員長」
なかなかに重いプリントの束を職員室へと運ぶ途中、
夢精の時点であれなのに、それが妹にも幼馴染みにも、さらには
その上フォローまでされるなんて……あのまま教室に居たら、俺は羞恥心で死んでいたかもしれない。
そんなタイミングでの
「……私はちゃんと
「ご、ごめん……ありがとう
「別に……お昼の間に終わらせておこうと思っただけですから。あなたが一人だったから声をかけ易かっただけです」
「それでも助かったことには変わらないからね」
「……お礼は受け取っておきます」
ぶっきらぼうにそう言う
けど、そんな彼女がクラスの誰よりも頼れる存在だということは、クラスメイト全員の共通認識である。
みんなが想像する通りの、しっかり者の学級委員長。それが、
「……ところで、
「ぅっ……」
クルリと振り向き、メガネの奥からこちらを見つめる目は、ハッキリと言葉にしない俺に対する不満が見えるようだった。
「それはそうなんだけど、事実だから否定できないし恥ずかしいしで……」
「それもありますが、
「
「えぇ……あの2人、あなたを見る目が普通ではないように思えますが。獣人としての特性を考えると、怖いとは思いませんか?」
『見る目が普通ではない』というのは、
「……確かに怖いと言えば怖いんだけど……それ以上に
「……好きか嫌いかで言ったらどうですか?」
「好きか嫌いかなら……まぁ、す、好きかな、2人とも……」
「……それが聞ければ十分です」
今の会話はなんだったんだろうと、少し釈然としないまま、とりあえず何も聞かずに俺は彼女の後ろを付いていくことにした。
プリントを運ばなければいけないのも、居心地悪そうにしていた彼を教室から出させるつもりがあったのも事実。
ただそれ以上に、
それは、『
そして、最近になって
それなのに、当の本人から返ってきた言葉が……『2人のことは好き』である。
(はぁぁぁぁっ? 小動物が肉食獣に恋とかてぇてぇが過ぎんか? そんなの美味しくいただかれる(意味深)に決まってるじゃん)
しかも本人は、心のどこかで『それも悪くない』と思っているような感じが見てとれる。
(獣人なら全員が羨ましいと思ってしまう、関係の
しっかり者の、みんなが想像する通りの学級委員長である
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