マーキング
「期末テストもだんだん近づいていますので、早めに勉強をしておくように! それでは、終わりましょう」
「起立! 気を付け、さようなら!」
「「「さようなら!」」」
帰りのHRが終わり、ふと
ついサッと目を逸らしてしまうのは、俺の意気地がないからだろうか。彼女の宝石のように綺麗な目で見つめられると、なんだか居たたまれなくなって……。
「
「はっ、はいっ!」
「……何で敬語?」
「いやっ、なんか……はは、何でだろう……?」
「クラスメイトなんだし、別にタメ口で良いのに。それで、今朝の話の続きなんだけど……ちょっと人が多いわね」
キョロキョロとクラス内を見渡す
「移動しましょう?」
「なん───えっ?」
「来て」
「ちょっ……あぁぁぁ!」
躊躇い無く俺の手を掴んだ
ぁっ……
人がいない場所を目指しているのだろうか。俺は
「ハルッ!」
その少し後、
キョロキョロと教室の中を見渡し、
「遅かったかぁ……」
「あぁ、
「っ!? 何処に行ったか分かる!?」
「さすがに分からん……けど、人がいないところが良いみたいな……」
「人のいないところね、ふぅん……」
ストンッと表情が抜け落ちた
「泥棒ネコが……あたしのハルに手を出すだなんて、良い度胸じゃない」
「ひぇっ……」
ニヤリと口を裂き、牙を剥く
♢♢♢♢
ただでさえ利用者が少ない図書室の、さらに図書当番の人からも死角になっているこの場所は、よほどの大騒ぎをしない限り誰にも見つかることはないだろう。
「ふぅ……
「んっ」
「っ!?」
俺の目の前で、突如としてブレザーを脱ぎだす
思わず視線が吸い込まれてしまうのは男の性だ。
しかし、驚愕はここで終わらなかった。
俺が言葉を失って見つめている間に、なんと彼女は胸元のボタンを外し始めたのだ。
「ちょっ!?
「だって……こうした方が、ちゃんと匂いが付くでしょ……?」
頬を染め、熱い息を吐きながら彼女は胸元から何かを引っ張り出す。
俺の見間違いじゃなければ、どう見てもあれはブラ———
「えっ、ちょ———」
白いカッターシャツ一枚を隔てたその向こうに、心なしか薄いピンク色の突起が見えるような……いかん、視線が吸い込まれる……!
「昨日あなたのハンカチの匂いを嗅いでからずっと、身体が疼いて……あなたが欲しくなっちゃったの……♡」
「んむっ!?」
俺は抵抗する間もなく
「
「んぅっ、っ……
しなやかな指が背中を這い、ムチッとした脚を絡められ、顔が埋まるほどに胸を擦り付けられる。訳が分からないまま、気持ちよさだけが俺の中に募っていく。
「
「ちょっ……ふぉぁぁぁぁあっ!?」
おもむろに俺の手首を掴んだ
薄い布一枚隔てた向こうに
いや楽しんでる場合じゃない!
「
「え゛っ」
ボタンが外されたシャツの襟に手をかける
「
「いいよ、
「そこまでにしなさい、この発情ネコ!」
突如として響いた声に、俺はハッと我に返る。
入り口の方に目を向けると、目を細めてこちらを睨みつける、明らかに不機嫌な表情の
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