そして研究施設へと
05
研究施設に到着し、真瀬さんが私を窺う。
それに首を傾げることで返していたら施設から沢山の人たちが出てきた。多くは白衣を着ていてその内の1人がゆったりと真瀬さんと私のいる方に歩いてきた。
[こんにちは。初めまして。]
男性とも女性とも聴こえる声で私に向かい頭を下げる、その人は、子ども、、?
[雨ノ望未さんですね。僕はここの研究施設にて施設長を務めている、藍沢と申します。大体のお話は真瀬から聞いているでしょうか。これからこの施設で過ごして頂く為、我々は雨ノさんをサポートしていきます。ご不明な点は真瀬を始めとした我々職員にお申し付けください。条件付きの生活とはいえ、不自由を強いることになることに変わりはないので、...?なんでしょうか?]
呆然としていた私に気付き、施設長、藍沢さんが言葉を止める。私は慌てて
『いえ、えっと、施設長って、え、失礼ですがお幾つなんですか、』
としどろもどろになりながら聞く。
藍沢さんは頷き、言葉を繋げる。
[これは失礼。僕は雨ノさんとそう変わらない年齢ですが、記憶にまつわる研究をしている中で失敗してしまい、この姿で止まっているのです。詳しくはいつか。雨ノさんのサポートには基本真瀬がつきますので、僕の出る幕はそうないかと思われます。]
そう言われ言葉少なに頷く。頷くことしか出来なかった。そうして部屋に案内される。
この時の私は思いもしなかった。私の記憶と、藍沢さんのその成り立ちが深く関わっていたことに。
私のもの、と呼べるものは? 棗 @072natsu
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