魔法の基礎

昨日、倒れた後、昼過ぎ頃に目を覚ました。

母上からひどく心配されて「今日は安静にしているように」と言われ、素直に従って安静にしていた。

そして次の日の朝、いつも通り食事を終えると、父上から話しかけられた。


「ラストよ、魔法の基礎を教える者を手配した。この後中庭に行け」


「あ、はい」


その言葉に少し驚いた。確かに鍛錬をしたいとは言ったものの、こんなに早いとは思わなかったな。

父上の言葉に従い中庭に向かうと、そこには爺様が立っていた。


「爺様」


「おお、ラストよ。今回は儂が魔法の基礎を教えてやる、それと光の魔法も軽くな」


爺様は微笑みながら僕を見下ろす。爺様も光の魔法使えたんだな、知らなかった。


「まずは魔力の流れを感じてみなさい。目を閉じて、体の内に意識を向けるのじゃ」


そう言うと、爺様は僕の両手を握った。

言われた通りに目を閉じて、意識を体の内側に向けると、すぐに体中に巡る何かが温かくなっていくのを感じた。これが魔力だと直感的に理解できた。


「感じ取れたか?よし、それなら次じゃ。魔法というのは想像力が大事でな。まずはお手本を見せるぞ」


そう言うと、爺様は軽く手を振り、目の前に輝く光の槍を生み出した。黄金色に輝く槍は、まるで神々の力を宿しているかのような美しさだった。


「さあ、ラストよ、お前もやってみろ。この槍を想像しながら魔力を放出するのじゃ」


僕は爺様の言葉に従い、頭の中で光の槍を想像しながら体内の魔力に意識を向けて、魔力を放出すると空中に光の槍が現れた。

爺様が目を見開いて驚く。


「おお!さすがは儂の孫じゃのう!初めてでここまで早く使えるとは」


僕は少し誇らしい気持ちになりながら、槍を見つめた。爺様は指をさして続けた。


「それをあそこの的に意識を向けて、放ってみるのじゃ」


「はい」


指し示されたのは中庭の端に置かれた的だった。僕は光の槍を操り、勢いよく放つと見事に的へ直撃した。

それを見た爺様は満足そうに頷いた


「使う魔法には名前を付けると、イメージしやすくなるぞ。好きな名前を付けてみると良い」


僕はしばし考えてから、手を掲げて呟いた。


「槍よ」


その瞬間、再び空中に光の槍が現れた。僕はその槍を再び的に向かって放ち、見事に命中させた。


「うむ、良い感じじゃの」


爺様はにっこりと笑みを浮かべた。

すると爺様は再び手を振り、今度は半透明な光の壁を生み出した。


「光の魔法は応用が利いてな、例えばこの結界じゃ。光の結界は魔法や物理攻撃を防ぐことができるんじゃよ。試しに槍を放ってみい」


僕はその光の壁を見つめながら、再び光の槍を生み出し、結界に向かって放った。

槍は結界に当たったが、強固な光の壁に阻まれて消え去った。


「凄いですね」


「カカカ、魔法覚えたての小童に壊されちゃ笑い者じゃて。光の結界は強力じゃが、もちろんある程度の威力をくらうと壊れる。魔力を込めればより強固な結界にできるが維持する分魔力の消費も増えるぞ」


「なるほど…」


さすがにこの辺はゲームのようにはいかないな、ゲームだとただMPを消費するだけだったが。

爺様の教えに感心しつつ、僕は次の言葉を待った。


「さて、次は魔力の回復方法じゃ。やり方は体内にある魔力の流れを早める、たったそれだけじゃ。

これをやると体が魔力を多く消費したと錯覚し、魔力の吸収を早めることができるんじゃ。これは日常的にやりなさい」


「分かりました」


僕は早速、体の中の魔力の流れに集中し、それを少しだけ早めてみた。少しだけ体が熱くなってきている気がする。


「うむ、良いじゃろう。最初のうちは面倒だろうが、そのうち無意識にできるようになる」


爺様は頷き、ゆっくりと息をついた。


「まぁ、魔法の基礎はこんなもんじゃな。後は自分で色々と試してみると良い。創造力と応用力、それがお前をさらに強くするからな」


「はい、爺様。ありがとうございました」

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