第61話
「!!
み、みつあきくんっ!!!
よ、よ、
よくもよくもよくもよくもっっ!!」
ま、まどか、ちゃんっ。
「ち、ち、ちがうっ!
ちがうちがうちがうっ!!」
んぐっ!?
こないだの傷が、また開いちまったっ!!
あ、あれは、
「ともゆき、くんっ……?」
滝川、友行。
どうして、倉科花梨をっ。
「……なかま、じゃ、
なかった、の?」
滝川友行に麻薬を横流しにして、
大金を得させているんじゃなかったのか。
「……
ちがう。」
な、なんだと?
あ、
友行が、銃を持ったまま、放心状態になってる。
「滝川友行をやとった人間なら、
きみの、目の前にいる。」
は?
っ!?!?
な、名無氏っ!
い、いつのまにっ。
「しくじったか。
所詮は、子どもか。
仕方、ない。
スマートにいきたかったんだが。」
じゅ、銃口っ!!
こ、
この闇の名無氏、
味方なんかじゃ、なかったんだっ。
し、しまった。
だ、だから、花梨は、
俺に、一人で来てほしかったんだ。
火力が足りないとか、余計なこと考えるからっ。
「偶然とはいえ、
春間満明、お前には感謝している。
本当に、あのパスワードは分からなかったからな。」
くっ!?
お、俺のクソ浅知恵のせいで、
こんな窮地に陥るとは。
そもそも、俺は、どうして、
コイツを、味方だと、
勝手に思い込んでいたんだっ!?
「倉科花梨。
お前は、やり過ぎた。」
っ。
ど、どういうこ
「……ふん。」
え。
花梨、お前、なんて顔してんだよ。
小学生にまったく同化できてねぇぞ。
「お前が一人で勝手に自滅し続けるのならば、
我々も無視するつもりでいたが、
他人を巻き込んで
「五十余年に渡る計画を、
台無しにされてしまったら、か?」
え?
「……
そう、か。
春間満明君。
一番最初に近づくべきは、きみだったんだね。
済ま、ない。
こんなことになってしまって。」
そう、だぞ。
なにもかも説明がなさすぎる。
だけ、ど。
「…そんな、かお、しないで。
ぼくたち、まだ、いきてるよ。」
お前のメッセージを
しっかり読み取れなかったのは、俺のほうだ。
「……いや、もう。」
無防備な8歳児が、
人を殺すことをなんとも思わない闇世界の大人に、
冷酷に銃口を向けられてる。
文字通り、絶体絶命。
んぐっ!?!?
や、やばい。
まえよか、ずっと痛い。
たぶん、血が、どくどく流れてる。
それ、でも。
このまま、おわらせてたまるか。
「あ、あきらめたら、しあいしゅうりょう。
でしょ?」
やりようは、あるはずだ。
いま、この瞬間すらも。
「……。」
俯いてしまうのは、分かる。
痛いほど、よく。
そうで、すら。
「ぜ、ぜつぼうは、だめっ
ぐぁんぐっ!?
ど、
どうせ、死ぬならぁっ!!
舌をちぎるように噛んで意識を戻すと、
ぼやけそうになった世界が、
痛みだけで、覚醒する。
「ど、どうなったとしても、
いきていられるうちは、
かのうせいが、ぜろになったわけじゃない。」
「……
きみってやつは。
あんなこと、書くまでもなかったのか。」
「ほう。
これはまた、麗しい友情だな。
安心しろ、まとめて養分にしてやる。」
どう、する。
どう、したら。
あ。
あっ!
「せんせっっ!
あの、わるいひと、たおしたら、おおてがらだよっ!
ほんしょうにもどれるよっ!!!」
「っ!?」
はは、顔がマジだっ。
やっぱり左遷されたクチだなっ!
「!」
振り向いた、
いまだっ!!
「っ!?」
ドロップの缶を全力で耳たぶに投げてから、
毎週施設への山登りで鍛えた全力ダッシュっ!
「くっ!」
リアル警察じゃなくてよかったっ!
規定通りの足元だったら逆にやばかったけど、
本気で殺す気でヘッドショット狙っちゃったら
真下に屈めば
そのまま全力ダッシュで頭から突っ込んで、
「うらぁぁぁっ!!」
一回限りの、超低空、
片腕だけでヘッドスライディングあしがらみっ!!!!
ずがっ!!
やっ、た。
ぇ
「ふんぬぅっ!」
「ぐぁっ!!」
う、うわ。
まどかちゃん、拳で脳天たたき割った。
ほんと、どんな腕力してるんだ。
そ、そうかっ。
まどかちゃんだけは殺すつもりがなかったのに、
っ、つっても、
所詮は8歳女児の力、
一度の奇襲以外は跳ねのけられそうになってる。
だからっ!
「せんせ、いそいでぇっ!
しまつしょふやさないっっ!!」
「あ、あ、
ああっ!!!」
……
銃、端へ蹴り飛ばせた。
手錠、かかった、のか。
あの嘘保険医、頭、廻らない分だけ、
パワーは、ちゃんと
あ。
なんか、
せかい、が
「!」
「!?」
あれ、
ちが、ゆかに、
めが、ぼやけで、
しんぞ
「は、春間っ!!」
「満明っ!!」
「みつあきくんっ!!!」
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