第37話
やれやれ。
結局、あんまりよくわからんかったな。
「きみが来たのが悪いのよ?」
お前、人を巻き込んでおいてなんてことを。
「ふふ。
嘘よ、うそ。
楽しかったわ。」
は?
なんでそうなるんだ。
「……
なんていうのかな、
みんな、素直よね。」
お前、田舎民をバカにしてんな。
目白庭園だからって。
「あはは、違う、違うわ。
いいのよ、それで。」
ん?
あ。
めっちゃ突然、思い出したけど。
「えんそくのとき、
たすかったよ。」
「あら。
なんだったかしら。」
「はなしをふりつづけて、
ごまかしてくれたんでしょ?」
「!
そう……。
……ふふ。
ほんと、君って、
どうしてそんなにわっるぅい人なの?」
ん?
……
!!??
「つぎはもう、
おなじところじゃないからね?」
んぶっ!?!?
「ふふふっ。
大丈夫よ。
きみ以外、この姿が私とは思わないわ。」
そ、それは、そうだけどっ!
「じゃあね、満明くんっ!」
っ!
は、早いっ。
もう裏通りに消えてるっ。
パーカーとスニーカーだもんな。
そりゃ、早いわ。
……
っていうことじゃ、なくてっ。
!
な、なんか、
いま、ゾクぅってきたんだけど。
*
「お前、またハーレムを増やしたらしいが、
ほんとに死ぬ気か?」
……なんてこというんだろうねぇこの嘘保険医は。
「そんなわけないでしょ。
お父さんのかいしゃの、
しゃちょうさんのれいじょうなんだから。」
「お前、父親に
会社辞めさすんじゃなかったのか。」
あれ。
そんなこと、話してたっけな。
嘘保険医、捜査の腕はない癖に情報通なもんだから。
「……
まぁ、いい。
例の通路の件だ。」
あら。
わざわざ呼び出すから何事かと思えば、それか。
「どうせお前は勝手に調べそうだから、
先に連絡しろとよ。」
う、わ。
バレちまってんなぁ。
あの若い刑事あたりかよ。
「通路は、下に続いてた。」
は?
「思ったよりずっと規模がでかい。
横の通路幅よりも、下のほうがでかいんだよ。」
な、なんだそりゃ。
徳〇埋蔵〇かよ。
「そんな古いもんじゃねぇな。
建築系の連中が調査したら、
せいぜい、70年ってとこらしいぞ。」
70年。
っていうと。
「推測はいろいろ立つが、目的がなにもわからん。
所轄の信頼できる奴も惹き込んでちまちま調査してるらしいが、
なんか、めんどくさそうなやべぇもんが出そうなんだよ。」
やべぇもん?
「そうだ。
正直、私の管轄じゃないんだがな。」
そうだろうなぁ。
そういえば、
「そっちはどうなってるの?」
「あぁ?
なんで私がお前に話すんだよ。
これ以上、攪乱されてたまるか。」
それなら。
「うごいてるんだ。」
「あたり前
ぶっ!?」
……
進歩、しねぇなぁ。
*
……ふぅ。
まどかちゃんを外で待つ朝のひとときって感じだな。
千景さんが手入れさせた緑が日を浴びて眩しいこと。
もうちょっとで、衣替えかぁ。
あと9か月、無事に護りきれるだろうか。
「お、おはようございますっ!」
え、まどかちゃん、
いつのまにそっちか
……は?
え゛
「えっと、佐橋さん?」
「!
は、はいっ!」
い、いや。
服装も、おさげ三つ編みも同じだけど。
「こんたくとにしたんだ。」
「は、はいっ。」
っていうか、なんで敬語なの。
「……。」
っていうか、うわ。
ただの清楚系美少女じゃん。
まぁ眼は綺麗だったけど、思った以上だなぁ。
眼鏡外すだけでこうも変わるとは。
「あ、あの、
に、にあわないですか?」
「ううん、ばっちりっ!
めっちゃキレイだよっ!」
「っ!」
いや、これは相当だな。
まぁ、まどかちゃんや皐月は図抜けてるけど、
文果とかな
「……。」
あ。
降りてきたか。
「おはよう、まどかちゃんっ!」
「!
う、うんっ。」
なんだ?
一瞬、もの凄い間があったぞ。
なんか、千景さん、溜息をついてたような。
「早く行きなさい、早く。」
「はーいっ。
じゃぁね、ちかげさんっ!」
「……
もういっぺん死ぬ気なのかしらね。」
は?
*
「あら。」
は?
「ふふっ。
おはよう、まどかちゃん。」
「!?
……
う、うんっ。」
な、なんだ。
皐月のやつ、急に。
「そろそろ、いいかなって。
ね? 満明くんっ。」
ぶっ!
っていうか、お前は前からそう呼んでただろ。
「そうだけど、
そうじゃないわ。」
は?
「いいのよ。
美奈ちゃん、よね?」
「は、はいっ!」
「あら。
敬語なんて、使わなくてもいいのよ?」
「い、いえっ。」
ほんと、どしたんだろな、皐月の奴。
朝っぱらからえっらい爽やかな
金髪さらさらスマイルを乱発してるけど。
「お、お父さまが、
みつあきくんには、
ぜったいに足を向けて寝るなって。」
は?
「あら。
それって、どういうこと?」
う、わ。
とんでもねぇ燃料注いでくれやがったっ。
まどかちゃんまでこっち見てるじゃん。
あのおっさん、なんてことしてくれたんだよっ。
ぐっ!?
し、しかたないっ。
「ぼくのお父さん、
いっぱいがんばって、
佐橋さんの会社、たすけたんだよっ。」
間違ってはいない。
救ったとはひとことも言ってない。
「そう。
そういうことにしておいてあげるわ。
ね? まどかちゃん?」
っ。
ぜ、ぜんぜん通じねぇな。
ヘンなことでは隙を出す癖にっ。
「!」
「あら。
おはよう、文果ちゃん。」
「!?」
……はは。
文果のやつ、眼、白黒してやがる。
そりゃま、そうだわなぁ。
急に下の名前呼ばれたんだから。
しかも。
「……!
あ、あなた。
もしかしてっ。」
「は、はいっ。
佐橋美奈、ですっ。」
「さ、さはしさんっ!?」
お前もイメチェン組だろうが。
っていうか、8歳児にイメチェンなんて意味あんのか?
っ!?
こ、皐月っ。
い、いつのまに近づいてやがる。
「ど、どうしたの、
こうづきさ
「まなか。」
は?
「愛香、よ。
そう、呼んでくれるんでしょ?」
し、してないぞそんな約束。
な、なんでそんなこと、
勝手に、
「あの夜のこと、
みんなに言いふらしてもいいの?」
ぶっ!?!?
って、
っていうか、あれは、お前が勝手に
……
な、
な、
なんだ??
「……。」
「………。」
「…………。」
ま、まどかちゃん、眼が、
マジで鋭くなって
「……
ふふふっ。」
ま、愛香ぁっ!?
お、お前ぇ、
ま、マジもんの騒動屋だなっ!!
ピカピカの逆行転生は修羅場だらけ
第3章
了
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