第7話 帰宅し、今一度
結局あれから帰宅し、たらふく夕飯を食べた後、風呂から上がり今一度考えてみた。
あの日見た夢は結局、どうしてこんなにも心を揺さぶるものがあったのだろうか。
今となってはあまり思い出せないものがほとんどだ。
ふわふわと軽い気持ちで想像し続けてきたあの夢が、結局なんでもなかったのではないかという焦燥感から、もはや考え直すことも嫌になる。
もういっそ夢なんか無かったことにしておこうか。
一息つくためにリビングに戻り、ソファでため息をついていると、父さんが僕に話しかける。
「来週、家族旅行に行こうかと思うんだ。どこか行きたい場所はあるか?」
正直なところ、今の僕にはそんな気力は残っていないので
「どこでもいいよ。母さんと姉ちゃんと決めてよ。」
とだけ言い残し、残りの麦茶を飲み干して部屋に戻る。ベッドに寝転がり、眠ろうと目を閉じたその時。
「ああぁっっ!!!」
閉じたまぶたの裏側にあの日見た君が、あの景色が、あの電車に揺られながら心の中でにやにやと酔いしれたあの感情がふいにフラッシュバックした。
僕は急いでリビングに戻り、父さんに言った。
「山奥で、綺麗な星空が見たいっ!!」
驚いた顔で父さんが言う。
「おお、行きたい場所が思いついたのか。良い天文台のある旅行先を考えておくよ。」
今度こそ、次こそ、彼女に逢える気がして僕はパッと視界が明るくなったような気持ちになった。
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