第12話 戦闘の後に
「デュエル! スライム! ゴブリン! エロ精霊に!」
自身を強化し、エロ精霊への強化も試してみたが、カードは消費せず手元に残る
どうやら俺のスキルはほかの人への強化は出来ないらしい。
一つ学んだなと思いつつ、ゴブリンメイジに集中。
下品な笑みを浮かべ、古びた杖をこちらに向けている
すぐに次の魔法がきそうだ。
「エロ精霊! スキル発動を出来るならやれ!」
「わかってますよ! 常闇!!」
「ギャ!?」
常闇、エロ精霊のカードにも載っていたスキルだ。
発動と同時に、ゴブリンメイジは黒い煙に覆われる。
予想していたとおり、目潰し的なスキルか。
ゴブリンメイジは目を抑え、苦しそうに暴れる。
チャンスだなと思い、ジリジリ近寄る俺。
暴れる、血を吐く、杖を落とす、倒れる、体が黒く変色していく。
ゴブリンメイジは、それはそれは見ていて可哀そうなほどの苦しみかたをし、そして……。
「ギャ……ぎ」
そのままお亡くなりになった。
攻/火属性 ゴブリンメイジ 火球 レア度D ゲット。
目の前では腰に両手をあてたエロ精霊がドヤ顔ドヤポーズ。
俺はささやかな拍手を送るとともに、こいつのカードを確認。
攻/闇属性 名のあるサキュバス 状態異常付与:常闇 レア度A
うん、やっぱり状態異常付与だったよな。
てっきり、相手の視界を遮る系の、そんな程度のものだと思っていた。
でもこいつが使った常闇は相手を苦しめて殺す威力をもっていた。
「私にはカードの効果使えなかったみたいですね? まあそれはいいです。どうですか私のスキルは!? 惚れ直しましたか!?」
「おまえそのスキル、俺に使おうとしてなかったか? 少し前に」
俺が指摘すると、明後日のほうを見て口笛を吹き始めるエロ精霊。
この切り替えの早さは見習いたい。
「は、早く……ム、ムラムラしてください……」
ゴブリンメイジを倒した後、俺はいつものスライムゴブリンをせこせこと倒して回った。
しかしこいつは、そのザコモンスターに先ほどのスキルを連発。
スキルと魔法、特に強力なものは連発するとぶっ倒れる。
これはこの世界の常識、こいつはそれを知らなかったのかな。
「知ってましたよ。でも……こんなに早く……おっぱい」
「卑猥な言葉言われてもムラムラしないから。そこまでガキじゃない。まあそろそろ帰るぞ。ゴブリンメイジがいたっていうのも報告しないとだし」
「受付嬢はDカップ……」
くっ……ちょっとムラムラしてしまった自分が情けない。
どのみちこいつのお腹を満たすには、俺がムラムラしないといけないみたいだから、これはこれでいいんだけどさ。
「ふぅ、ご馳走様です。そういえばハルト、知ってましたか? 私たちつけられてますよ」
「え? 誰に……」
「こんにちわ! ハルトさん!」
振り向くと、そこには酒場の女神、シンシアさんが立っていた。
「たまにこうして薬草取りに来ているんです! でもハルトさんと会えるなんて、今日はお天気もいいですし、すごい良い日ですね!」
「そ、そうですか……」
天然の切り株ベンチに隣り合わせで腰かけ、俺とシンシアさんは二人きりで食事をとっている。
俺の左手にはシンシアさん手作りのおにぎり、右腕はなぜかシンシアさんに抱き付かれて動かせないでいる。
てか距離近くね!?
メイド服(酒場の制服)が当たってるんですけど!?
絶対エロ精霊がなにかやっている! そう思い先ほどから探しているのだが見当たらない。
「冒険者の人の腕……すごく逞しいですよね……」
む、胸が当たる……Fカップってこんなにも……。
『理由をつけて一度離れてください。おしっこ行きたいとかでもいいです』
妙に冷静なエロ精霊の声が聞こえ、俺は用を足しにいくと小声でつぶやき立ち上がる。
すごく恥ずかしい……。
そのままシンシアさんから見えない位置にくると、エロ精霊が目の前に現れる。
『ハルトは何も言わなくていいので、というか声を発しないでください。いいですか、今から言うのはとても大事なことです』
俺はうんうんと頷く。
『そういう動作もいりません。シンシア、普通の人じゃないです。これ、前から気付いてたんですけどね。ハルトと酒場に行った時に』
エロ精霊に初めてシンシアさんを見せた時のことか。
そういえばシンシアさんはエロ精霊に気付いていた? みたいなことがあったな。
もしかしてエロ妖精が見えているのだろうか。
『私は鑑定でスキルが見えます。感情もわかります。シンシアはハルトにとってムラムラ対象なので当然鑑定しました。そこまでは知ってますよね? この時、危険ではあるものの特にハルトにとって害はないものと判断しましたが……』
なんだよそのムラムラ対象って……。
『シンシア・アルグレット、その所持スキルは……暗殺者S級です』
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