お屋敷での日々

第17話



 確信はしていたが、初めから決められていたかのように、私は招き入れられた。



「働く気はあるか」



 そう旦那様が問い、あると答え、それで決まりだった。






 孤児院上がりの子守には不相応なほどの、立派な部屋を割り当てられた。


 幾ら無頓着な私でも、さすがに気が引け旦那様に問う。


 他の使用人との仲を、多少心配したこともある。


 旦那様は、「下らないことで煩わせるな」と、眉を顰めただけだ。


 噂通りに、言葉は少なく、気難しい方のようだ。



「息子達の部屋が隣だ」



 必要だから、この場所なのだと。


 話はそれで終わった。

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