第6話
主の再婚が皆を騒然とさせたのは、もちろん身勝手な理由だ。
主自身がすぐさま別の女を見つけたのは、まだ良いとして、さらにはなんのお披露目もないままに後妻として迎え入れていたことだった。
役場より、文書での知らせだけはあったのだが、『二度目の妻であるから大仰な祝い事は控えたい、書状のみで失礼する』、そんな簡潔なものだったようだ。
理由としては尤もだと思えたが、町の者は、これに対し、集まっては口々に文句を連ねていた。
ただ彼らの憤懣は、相手の素性のせいにより、不安から来るものでもあった。
しかし、その事を人前で堂々と口に乗せるのは憚られた。
それでも何か一言残さねば気が済まず、歪んだ形で、彼らの不満は発せられていたのだろう。
瞬く間に、話題の中心となってしまったその人。
彼女は、私とは違い、父だけとはいえ親や家があった。
普通の町娘であることに変わりはない。
それなのに、彼女は一度として、社交場やガーデンパーティーなどへ現れたことがなかった。
彼女が――正確には彼女の父親が、一躍その名を馳せたのは、その罪によるものだったからだ。
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