第277話

道連れ?バレるって?被害ってなに。そんなに深刻な事件に二人で立ち向かっていたなら、さぞかしその親睦は深められたことだろう。



「例え、ちゃっかりゲームから抜け出すための代替策として、敵にあなたと六神さんの名刺を渡し、後日穴埋めするといった発言をしていたとしたら、十分な被害をこうむる羽目になるとは思いませんか、朋政さん。」


「え?被害?どんな内容か詳しく聞きたいなあ堀田さん。」


「そうですね。では本人に意見を求めてみましょう。」



堀田さんが私にほほえみかけると、なぜだか先輩まで私を見る。いつものアッパーさはない。



「実来さん、あなたの彼氏の名刺を、勝手に他の女性5人にばらまく会社の先輩って、どう思われます?」


「…え、そうですね。まあひとまず、今後一切その先輩との縁を断ち切って、転職を考えますかね。」


「ですって。朋政さん!」




「あははは申し訳ございません将来有望な堀田係長!」



先輩が突然堀田さんに向け深く頭を下げる。わけがわからず、六神を見つめて意訳を求めれば、残念ながら頭を抱えていた。



「六神さん、大丈夫ですよ、あなただって立派な被害者なんですから。」


「……堀田さん、目が笑ってません」


「例え六神さんの向かいに座る敵に、六神さんのほどよく鍛えられた腕を触られて、さりげなくワイングラスで関節キスをされていたとしても。」 

 

「あれはほんっとにアグレッシブな敵で太刀打ちできませんでしたよね、申し訳ございません堀田さん。」 



そして六神もなぜだか堀田さんに向け頭を下げる。

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