第274話
くそう、ずりーな堀田さん。私がそんなことを思っている間にも、パクチーオンリー生春巻きをさらに4個作っていた六神。しかし私は見ていた。その生春巻きに、大量のホットチリソースを入れていたのを。
そんな反フードロス派の六神がえらそうに言う。
「よし春風、わからず屋の先方にはお得意の実来砲をぶちかましてやれ。」
隣の堀田さんを親指で指す六神。今、ようやく目が合った。それなのにまたすぐに反らすのなんでだろ。
「時として変化球でくるギャップに女は溺れるもんなんだよ六神。」
「よし、堀田月麦死刑、実来春風拷問刑に処す。」
再び眼鏡をかけた堀田さんが、急に声色をあげ六神の言葉に食いつく。
「え、拷問?六神さん、実来さんを拷問するんですか?」
「まあ彼氏なんで?何度目かな、実来春風を拷問するのは。」
「いいなあ。俺もぜひ混ぜてほしいです!」
「死刑の前に眼鏡割りたい。」
堀田さんは嬉しそうにバナナ酒を飲み干すと、目の前に座る先輩に向けて言った。
「と、いいますか。彼氏である六神さんが怒りたくなるのは分かりますけど、朋政さんが実来さんのことで怒る理由がわかりかねます。」
「あはは、痛いとこついてやったって思ってる?堀田さん。」
「はい。自覚は8割型あります、朋政さん。」
「春風は六神君の彼女である前に、僕のかわいい後輩なんだ。社会人として彼女を育ててきたのは僕だから。過保護になるのも無理はないよね?」
先輩が、堀田さんに満面な笑みを向けつつ、隣にいる私の耳をひっぱりながら言った。おいなぜ。過保護は元気ですかー!
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