第263話

水色ストライプのノーカラーシャツに白いズボン。堀田さんはスーツの日もあれば、工場での現場監督の日、つまり作業着の日もあるらしい。今日は現場監督だったのか就業後は爽やかな私服姿だった。



「実来さんて電話でのイメージそのものって感じで、安心感がありますよね。」


「え、そそそうですか?それって褒められてます?」


「もちろんです。もしカッコいいキャリアウーマンとかおっとり系オフィス女子だったら、俺、斜に構えちゃいますよ。」 


「あれ、やっぱけなされてます?!」


「ふふ、やっぱり実来さんは実来さんで正解ですよね。」



電話でのやり取りばかりをしているせいか、変に緊張してしまう。こんな風にくだけた感じの堀田さんを前にすると、ただプライベートで会っている感が否めない。



六神には適当に言っておけばいいか、いや、お土産でも買って帰ろう。どうせ奴は今日研修会だし、その後には飲み会だか懇親会があるだろうし。



「美味しいコーヒーが飲めるとこ知ってるんですけど、もうこんな時間ですもんね。もしよければ、なんですけど。いっそこのままご飯でもいきません?」


「……え!いや、あのっ、」


「…そう、ですよね。いきなりすみません。コーヒーよりご飯だと時間取らせちゃいますし、色々まずいですよね…。」


「ええと……、」



最初はコーヒーだけだと言われたから、あくまで仕事での異業種交流ができればと思っていた。

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