第253話
「……えーと。電話はなるべく無視してるけど、メッセージは端的には返してるかな……。」
「…まあ、先輩だし上司だから完全無視はできないよね。」
「いや、実は3日間完全無視を決め込んだことはあったんだよ。」
「そーなの?」
「六神に悪いと思って。でも先輩、会議でうちの支部に来た時さ、私のスクリーンセーバーにイタズラしてったんだよね。」
「ああ昔からよくやられてたね。」
「…うん。スクリーンセーバーに『僕を無視しないで。さすがに泣いちゃう( ◠‿◠ )』って書かれてさ…」
「うっわ〜、こわ」
まだ同じ支部にいる頃、先輩はよく私のパソコンのスクリーンセーバーを勝手に変更するという意味不明なイタズラをしてきていた。
ひたすら芋焼酎の銘柄を流されたこともあれば、『実来春風は只今旅に出ております。探さないで下さい。』と書かれたこともあった。
まゆゆが神妙な面持ちで韓国のお漬物チキンムをぽりぽりと食べ、飲み込んでから私を見る。
「……あのさあ、言おうかどうしようか迷ったんだけど、」
「…うん?」
「その会議でうちの支部来た時、廊下でたまたま先輩に会って、今度ぱるるたちとプール行くんですよーって話したんだよね。」
「ああ、先輩から水着の画像送ってくれってメッセージきてたな。」
「でさあ、もしその旅行で六神君と実来を別れさせたら、10万円あげるって言われてさあ。」
「え〜、うっそだあ」
「私も笑って返しといたけど、あの顔はマジっぽかったんだよね。」
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