第249話

「絶対捨てないでよ?春風。」 


 

私の腰回りに抱きついて、膝枕をするように甘えてくる六神。私の懐で包み込んでくれと言わんばかりに。



「捨てないってば。」


「世の中には絶対なんて言葉はないから」


「自分が言ったんじゃん」


「誓約書作ろっか。」


「作ったって失くすのがオチじゃない?」


「春風から貰った手紙はずっととってあるよ。」


「……え、嘘」


「ちゃんとラミネーターでラミネートして保管してあるし」


「…まさか、会社にあるラミネーター使ったの?」

 

「いんや、自分で買ったやつ」


「………」


「そのためだけに買ったって言ったら俺を捨てる?」


「もうそのくだり疲れたよゆがみくん〜」




恋って臆病になって矛盾ばかりを生むけど、二乗しちゃえば臆病も相容れる愛に変わるんじゃない?



こんなこっ恥ずかしいこと、実際には口にできないけど。私がそう言えば、きっと六神は必ずこう返すだろう。



『それを共依存と解釈しますけど』



厨二病だから仕方ない。厨二病で、プロのストーカーで、はたまたゆがんだゆがみくんで。許容範囲なんてメッセージの時点でとっくに突き抜けてるよ。




「ねえ好き?俺好き?」


「ンっ、す好き、」


「そんなんじゃだめ。」



夕方したにも関わらず、また流れで身体を求められる始末。っとに男って!なんでしんみりした雰囲気でもセックスに関しては秒速で頭が切り替えられるんかね?!

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