第224話

六神が冤罪を知らせるために両手を私から離し、そのまま入口まで行きカーテンを開けた。



「あ、お前ら使う?」


「俺らはまだ喧嘩中らしいから使いたくても使えない。」



池駒がやたらニヤニヤしながら六神を見て、その肩を叩いた。でも六神がすぐに振り払う。



「ああ因みに俺も池駒に怒ってるから。」


「……は?なんで?」


「福間、こいつ刺して。」



まゆゆがなぜか銃を持つ手を作り、池駒の胸にあてがう。いやなんでハンドガン。刺すの表現どこいった。

 


「後ろからズドン?前からズドン?」



まゆゆの池駒に充てた銃が、池駒のシックスパックに綺麗に沿っていく。それを池駒が照れくさそうに、まゆゆのことをでろでろな表情で見ている。



ああ、知り合いがいちゃついてるの見ると確かに刺したくなるわ。ごめんよまゆゆと池駒。

 


「こう頭から股にかけて刃を滑らせるようにシュッとだな。」

 


「それ刺してないと思うんだ六神さん」

「それ勇ましく切ってるよ六神」



池駒とつっこみが被り、池駒がハハッと私に笑顔を向ける。私もリクライニングからおりて三人の元に駆け寄れば、なぜか六神が左手で壁を作るように、私と池駒の距離を遮断する。



「はいだめ。案外無自覚な池駒旭陽が一番危険だったりするから。」



「…………ないわ。俺まゆう一筋だから。」

「ないない。あったら私今からここのプールの水全部飲んであげる。」



「えーやめなよお腹壊すよ」というまゆゆを引き連れ、ウォータースライダーをしに行くことにした。



「男子は男子で仲良く一つの浮き輪に入って流れてなよ!」



私が離れた六神と池駒に向かって叫ぶと、二人が肩でため息を吐くのが分かった。



で、30秒も経たないうちに私とまゆゆが知らない男4人組に声を掛けられる始末。



六神と池駒が慌てて飛んできたのは言うまでもない。

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