第223話

太ももからふくらはぎを這うように塗られて、なぜか膝裏のくぼみを重点的に触られる。



「く、くすぐったいって」

「ここ?それかこっち?」

「ふふ、あははは」



うつ伏せから上半身を持ち上げて、後ろを振り返る体勢で六神の頭を抑え抵抗する。でも六神は無表情のまま、私の脚をくすぐるのをやめず。



付け根あたりに手が這わされて、自分の笑い顔がいつの間にか情欲を誘うものになっていたらしい。



「ん……」


「あー糞やば」


「な、にが……」


「策士くん、 策に溺れかけてて悶えじぬ」



な、なにが策士くんだよゆがみくん。などとつっこみを入れる間もなく六神に唇を奪われて。舌を無遠慮に食べられる。



ショーパンのウエストゴムに浅く手を入れ這わされいく。今にも六神の手に侵されそうな時だった。




「別れから約一年の歳月が経とうとしています。胸に宿るものが、今またこの瞬間に燃えあがろうとしています!」

 

「今回の実況解説は、福間と池駒の二人でお届けいたします。」

 

「このプールに吹いているのは春からの湿り気を含んだ風。遥かに春風を想いながら六神選手、長い戦いの始まりです!」

 

「やるなら部屋行けって感じですよね福間さん。」


「ムムッいいんです!ここだっていいんです!それより私はまだあなたを許したわけではありません池駒さん!」



カーテンの影絵に映る二人の男女が、不穏な空気の中実況を繰り広げている。

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